11月6日の物語の作法は、講師インド旅行のため、島本和規くんに司会をしてもらい、自主授業をしてもらうことになりました。島本、がんばれ! 遅れるなよ。アシスタントの松永が補佐をします。
授業内容は、短歌合評です。今回は、作品数が少ないため、以下の3名の作品を同時に合評します。3名の作品をあわせたすべての中から、好きな作品を五首選び、批評してください。得点の高い作品から、順番に合評していきます。「誰が書いたのか?」に捕らわれず、ともかくぴんときた作品を選ぶようにしてください。選んだ作品が、一人の作品に偏ってもかまいません。
横田裕子 作品3A 炎天下で見た夢
滝 夏海 作品3A「キャンディ・カラー」
五十嵐 舞 作品3A/短歌?『コンペイトウ』
参考のために作品を掲載します。(ここから五首選ぶ)
夕食に 肉じゃが作った どうせなら あなたのために 作りたかった
タイミング いつも悪くて フライング 未だ走れず 君までの距離
汗滲む バトルスーツが 脱げなくて 私を笑う 夏の太陽
諦めの 悪さはきっと 宇宙一 時には仇に 時には武器に
アルバイト 鍛え磨いた この腕は 日に焼けまるで 鉄腕アトム
幸せを 指で作った フレームに 彼氏はTシャツ 彼女は浴衣
水蜜を ひとくち齧ると 甘い水 私のだって 負けないからね
お米とぐ ひとり立ってる 台所 後ろに君が いればいいのに
見栄張って 買ったマニキュア 籠の底 誰かの為に 出番待ってる
待ってるよ 振り向いたなら そっこーで 尻尾振って 抱きついてやる
極上の アイスクリームが 溶けるよな 熱い吐息で 部屋を満たして
散り際も 綺麗な花を 咲かせたい 叶わぬ恋も 無駄じゃないはず
夕立で 濡れた路面の 灰色に シグナルレッドの 花咲き乱れ
ガラス戸に 有り得ない夢 描いてる 嵐みたいに 泣けたらいいのに
触れただけ キスのひとつで はしゃいでた 君の姿が 心許なく
雲行きは 気まぐれ風で 変わってく 恋はギャンブル 出たとこ勝負
無意識に 横目で見てる 気になって 煙草くゆらす いつもの仕種
悔しさに 泣かない強さ あったなら 誰か私の 涙腺締めて
忍耐や努力・根性嫌いです 負けず嫌いが呟く本音
女にはなりきれないでカフェテラス 膝小僧とルージュのおしゃべり
騒がしい口に突っ込むロリポップ 今度は話ちゃんと聞くよね
カレのため キミが選んだそのマフラー あたしの方がもっと似合うよ
「好きだよ」と口の中で転がしてガリッと噛んだ 今日はやめとこ
頷いてそうだと言って慰めて 反論批判 キミには不要
キミのこと あとで嫌いになる前に忘れちゃうから ちょっと待ってて
手を伸ばし握りつぶした青い鳥 もう逃がさない もう追いかけない
十六夜に浮びあがる摩天楼 人の闇さえ飲み込む都
蛾のように夜のネオンに群れる人 何に誘われ集まるのかな
夕焼けに照らし出された黒板に 僕と君のさ 影が重なって
漆黒の音が響き渡る子の刻に 梟の嘆きが満ち溢れる
可愛いね 角を突き出し膨れてる 甘さひかえめコンペイトウ
ねえ君さ 誘蛾灯だね 意味もなく 群れる奴らが 邪魔なんだけど
肌見せて誘ってないよと言うけれど そんな風にはミエネェ絶対!
蝕まれ干渉されているんだよ 携帯にねえ自分の時間
露骨にさあ 男の前で 媚びうるの そこまでしてさ 欲しいモンなの?
我が血潮 咲き乱れし赤い花 朽ち果てていく草木のごとく
無機質の大地の裂け目からのぞく 小さき息吹の逞しさよ
ああ止めて 野太い悲鳴 状況見てから騒げ 蹴り倒したい!
あの春に好き、嫌いと毟っていた 恋しい人は 青空に散った
海原に 嘆きの風が吹き荒れる 若き命は戻ってこない
儚いと思うのは勝手 蛍の灯 命を賭けたバトル始まる
ヒグラシの声がこだます樹海には 紫紺の闇の帳が開く
木陰にさ腹ばいになって涼み中 犬は人より辛いんだよね
可愛いと いいながらよく捨てるよね ホント人間って残酷だわ
嗚呼夏が終わってしまう まだスイカ食べてないの もうちょっと待ってて
蜘蛛の糸 朝露がまるで真珠だわ このネックレスは幾らかしら?
栗に柿 マツタケに梨 もう秋ね 頭の中は花より団子
携帯に映し出された人模様 数だけそこにドラマがあるの
振り返るまた振り返るあの人と帰った小道の痕ももうない
こぼれ落ち流れに乗れぬ生き方を恥じる気持ちは全然なくって