「物語の作法」課題提出板 (0044)

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城所洋　課題８／ジャパニメーションの真髄　2004年11月03日(水)20時04分09秒
▼課題と連絡：課題８／わたしの勧める３本の映画への応答

『ガイナックス作品』
　というわけで、いきなり一括りでまとめました。
　まあ、ガイナックスの作品で言えば、一番有名なのが「エヴァンゲリオン」ですか？一応映画にもなっていて（むしろ映画で完結するのですが）、{『新世紀エヴァンゲリオン劇場版　DEATH(TRUE)2／Air／まごころを、君に』（１９９８年）　監督：鶴巻和哉庵野秀明摩砂雪｝というのがあります。
　この辺は大体ご存知であると思うので、今回はＯＶＡ（オリジナルビデオアニメ）『フリクリ』（２０００年）　監督：鶴巻和哉　を挙げたいと思います。
　『フリクリ』という奇怪な題名。本編でも、その意味は全く教えてくれない。（質問はするのに）
　内容ですが、ストーリーとしては、大して面白いものではないのです。簡単に言えば、ハル子（自称１９歳の女の子）という宇宙人がナオ太の頭に備わっているＮ・Ｏ（エヌオー）という超空間チャンネル、言わば「ワープ装置」を使って、メディカルメカニカという所に捕まっている海賊王アトムスクを自分のものにしよう、という話です。何だか分からんちんでしょう？
　しかし、ガイナックス作品において、面白さはそこに求めてはいけない。
　この『フリクリ』ですが、まずは何と言っても、ガイナックス作品特有の「心理描写」がすごい！ここまで大胆かつ極端かつ繊細かつ爽快にしてくれる作品は、今の所見た事がない。
　続いて、ＢＧＭがいい！作中のＢＧＭのその大半が「歌」なんです。大体、各話につき三曲くらい（しかも全部違う歌）。
　そのおかげで、否応無しに臨場感を高め、時には背筋がゾクリとくるシーンもありました。
　物語の面白さではなく、そのサイドメニューを楽しみたい方にはオススメの一品です。

『GHOST IN THE SHELL　攻殻機動隊』（１９９５年）　監督：押井　守
　という事で、ああ、二本目も日本のアニメです。
　この「攻殻機動隊」ですが、これは以前、深夜にも放送していました。今なら衛星放送でも見れます。それの映画版、というか、原作ですね。
　この話は、というと、何と言っても世界観がすごいですね。人とロボットとの境界線が、ものすごく曖昧なのです。というのも、この世界には「電脳」というものがあって（ようするに詰め替え可能な脳みそ）、それによって機械の体を手に入れる事も出来る。しかしながら、機械の方も進歩していて、学習能力を備えた「個体」は、その経験を一応としては「群体」として習得するのですが、しかしながら人間側の「個体」への思い入れや、ちょっとした性能の差、そうしたものが作用して「個体」は次第に「個性」へと変わっていく。
　というのは、物語の本筋ではないのですが、作中にあった表現を自分なりに解釈したら、そのようなメッセージを受け取る事が出来ました。
　これも、物語の面白さではなく、その世界観の設定を楽しむ作品だと思います。

『蝶の舌』（１９９９年）国：スペイン　監督：ホセ・ルイス・クエルダ
　さて、３作目くらいは実写を取り上げねばなるまい。という訳で、こちらをオススメします。
　この作品のすごい所は、エンディングの爆発力です。何が爆発か、というと、涙腺です。
　いや、知人らから「お前は涙腺干ばつ地帯だ！」と言われる自分をホロリと（というかボロボロと）させた作品です。何と言うか、感動とはまるで正反対の、哀愁とか、その類の涙でした。
　内容は、というと、・・・忘れました。
　いや！ほんとに大した話じゃないんですよ！（そればっか）
　でも、何故か、涙が止まらなくなったとですよ。泣き過ぎて、忘れたという事にしといて下さい。
　物語の面白さではなく、涙腺爆発したい方は是非！

　という事で３本終えた訳ですが、どうしてかアニメが２つも・・・。
　まぁ、ジャパニメーションほど、日本の文化を表現しているものは無いと言いますし、日本ではまだあまり地位は高くないのですが、海外では馬鹿じゃないの、ってぐらい高いそうです。
　実写とアニメの差は何でしょうか？小説と漫画の差よりは小さいにしても、やっはり表現方法の幅が、アニメの方が圧倒的に大きいからでしょうか？あのメタモ的な動きといい、キャラデザによる、よりはっきりとした作風の違い、ビルや町はおろか、地球だって壊せる圧倒的な自由度、それに伴う制作費の雲泥の差。
　何せ、あのアクションで知られる「マトリックス」も「攻殻機動隊」から学んだ、と製作者本人らが語る始末。
　ただ頂けないのは、最近急増している「萌え文化」のせいで、どれもこれも画一化しつつあるという所でしょうか？（それがいい、と、日本内外からの熱い声もありますが）
　何はともあれ、映画や一個とした作品において、ジャパニメーション（の一部）は群を抜いていると、自分は思います。

越智美帆子　課題８／秋の夜長に　2004年11月03日(水)18時18分35秒
▼課題と連絡：課題８／わたしの勧める３本の映画への応答

○『KEN・PARK』（ラリー・クラーク監督、2002年、アメリカ、オランダ、フランス）
１９歳で『KIDS』の脚本を手掛け、一躍映画界の寵児となったハーモニー・コリンが脚本を担当しています。『KIDS』と同様、ラリー・クラークとのコンビ。
どこの国でも上映が禁止されたり延期されたり、結局日本がいち早く上映したという曰くつきのＲ１８指定がつけられている作品ですが、別段衝撃的ではありません。
五人のつるみ仲間の生活を各視点で語っていき、次に登場する友人を紹介するというおもしろい方法が取られています。
題名になっているケン・パーク本人は、一番最初と一番最後にしか登場しません。
その意味に気づいたとき、すごい表現力だな、と思わず脱帽しました。

○『シカゴ』（ロブ・マーシャル監督、2002年、アメリカ）
アカデミー賞で六部門を受賞し、他にはトミー賞、ゴールデン・グローブ賞では三部門を取った超有名作品です。
元はミュージカルの作品だったと言うだけ、とにかくダンスのシーンが多く原色が目紛しくて派手。
けれど作品の内容もその派手さに負けてはおらず、主人公ロキシーのしたたかさが小気味良い。またりチャード・ギア演じるビリーの格好よさには釘付けです。
テンポの良さもこの作品の魅力。
こういうことが起こってこうなって、人物の心情がこう変化してという過程がくっきり見てとることができます。

○『ガタカ』（アンドリュー・ニコル監督、1997年、アメリカ）
ＳＦは苦手な私ですが、これはものすごくおもしろかった。
人の優劣が産まれたときから決まっている事実を受け入れながら、しかし最後まで夢を諦めなかった主人公。
とにかく切ない話です。それに、映像も素晴らしく美しい。
個人的にジュード・ロウの大ファンなんですが、そうでない人もジュードの演技に魅了されると思います。ちなみに、主演ではないんですけどね。
とにかく見ろ！　と声高に言いたいです。

滝　夏海　課題８／創作のヒント　2004年11月03日(水)17時58分55秒
▼課題と連絡：課題８／わたしの勧める３本の映画への応答

『アリス』1989年　スイス　Jan Svankmajer監督
　ビデオ・DVDは2000年に発売。監督はチェコアニメーション作家。読み方は「ヤン・シュヴァンクマイエル」か「ヤン・シュワンクマイエル」かどちらか分からなかったので、アルファベットで表記しておきます。
　あの有名なルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を元にした、人形アニメーション。といっても、主人公アリスは人間の女の子ですが。この作品を一言で表すと「不気味」。例えば「法廷の白ウサギ」のお腹の中にはおが屑が詰まっていて、それが裂け目から零れてきたり、その裂け目をピンで留めたり。話自体にはかなりア脚色されていますが、細部が妙に原作通り。忠実なアリスではないけれど「これはアリス」としか言いようのない世界。あの広くて不思議な世界が、１つの建物で完結している作りは見事としか言いようがありません。
　文章なり絵なりの創作活動を行う人間として観るにはお薦めの作品です。

『ルビー＆カンタン』2004年　フランス　フランシス・ヴェルベール監督
　刑務所で出会った２人の男、服役中も密かに復讐の計画を練る寡黙な男・ルビーと、まぬけでおしゃべりなカンタン。必要最低限の言葉しか発しないルビーと同室になったカンタンが、喋りまくる自分に対してけして「煩い、黙れ」と言わない彼を勝手に『親友』だと思いこんだ事から始まるどたばたアクションコメディ。ルビー役がジャンレノなのでそれにつられて観た方もいるのでは。
　あまり変に捻らず、先が読めるんだけど笑っちゃう「うっわ、基本」と言いたくなるようなコメディを久しぶりに観たので紹介。データベースには「痛快」と書かれていますが、それよりは「思わず笑いを漏らす小ネタ集」な感じがします。ラストに関しては物申したくもなりますが。

『茶の味』2004年　日本　石井克人監督
　海外物ばかりになるかもしれないから日本映画を一本紹介しよう、と思ったのでこれを。今期の受講者の提出物を考えると『天国の本屋』を紹介した方が良いのかもしれませんが。「お薦めは？」となると独断と偏見によりこっち。
　なんて事のない日常を描いた作品です。と書くと誤解が生じるのかもしれませんが、そうとしか言いようがありません。田舎で暮らすちょっと変わった人々の、ありふれた日常生活を覗き見ている感じ。淡々とした流れの中で、のんびりと変化していく人々や風景は、観ている私達と同じ。リアリティが無いんだけど「無い」とも言い切れない、「すっごい面白いから観てよ！！」とは言えないんだけど面白い、なんかもういろんな事がどうでも良くなる、そんな作品です。
　ただ１つだけ自信を持って言えるのは「見終わった後に挿入歌『山よ』が耳に残って離れなくなる」という事。気付くと口ずさんでます、あぁ…。

高澤成江　課題８/映像の美　2004年11月03日(水)17時39分56秒
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【キッズリターン】１９９６年/日本/北野武監督
落ちこぼれ高校生二人の青春ムービー。主役のシンジとマサルはいつもつるんでいたのだが叙々に別々の道を歩いていく。
話は淡々としているのですが胸にしみます。久石譲作曲の音楽が美しいです。最後のシーンでシンジとマサルが校庭で二人乗りをしながら言うセリフが素晴らしいです。

【猟奇的な彼女】２００３年/韓国/クァク・ジョヨン監督
主人公は名門女子大に通う美人女子大生。彼女の口癖は「ぶっ殺す」で、性格はわがままで凶暴そして正義感あふれる。そんな彼女と、女の子を望んでいた両親にまるで娘のように育てられ、7歳まで自分のことを女だと思っていた気立てのいい青年キョヌの笑いあり涙ありのラブストーリー。
飽きないで最初から最後まで面白く見れます。笑わせるところは笑わせる、泣かせるところは泣かせる、とはっきりしています。この二人みたいになりたいと思って自分の彼氏を叩いたりしてたら怒られました。

【少林サッカー】２００２年/香港/チャウ・シンチー監督
　“黄金の右”と呼ばれるサッカー選手ファンは、八百長試合に荷担したことがきっかけで、自慢の脚を折られてしまった。夢半ばで諦めざるを得なかったファン。それから20年、ファンは街で不思議な青年と出会う。少林拳を信奉する彼は、くず拾いをしながら道行く人に少林拳を説いて回っていた。ファンはふとしたことからシンの超人的な脚力を見抜き、自らがなし得なかった夢をシンに託すべく、彼にサッカーを教え込む。アクションコメディー。
馬鹿馬鹿しくて大笑いしながら見ました。内容はたいしたことないかもしれないけど面白いです。とりあえず笑えます。でも好みが分かれるらしくつまらない人はホントにつまらないらしいです。馬鹿馬鹿しいのが好きな人にお勧めです。

雨宮弘輔　課題８／栗と椅子とウド　2004年11月03日(水)17時28分39秒
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【アルファヴィル】（１９６５年／フランス・イタリア）ジャン＝リュック・ゴダール監督

　開始１５分で度肝を抜かれる作品です。
製作当時から２０年後の１９８５年の世界が舞台のＳＦ映画。「探偵がある女性の捜索依頼を受けて、アルファヴィルという地球から９０００キロ離れた星雲都市に忍び込む。その都市は巨大なコンピューターによって人間の感情を抑制された場所だった」という映画です。
　内容だけ聞くと『ブレード・ランナー』や『フィフス・エレメント』を思い出させるような、ありきたりな映画ですが、当時としては多分新鮮なストーリーだったのでしょう。　
　この作品の凄いところは、映像でしか出来ない表現を上手く活かしていることだと思います。所々に出てくる不気味に点滅するコンピューターや、廊下に鳴り響く自動音声。テーブルの上でポーズをとっている女性、プールでの処刑。観ていて「なんの意味があるの？」と疑問を持たせられますが、後々大事な演出だと気づいたときには苦笑いを浮かべてしまうこともあります。
　まぁ、巨匠といわれているゴダールの作品なので、観ても損はしないと思います。話の流れも、その奥にある思想も色んな意味でブッ飛んでいる作品です。
古い映画、文学作品に距離を置く人もいますが、観れば結構面白いので挑戦してみてください。

【父よ】（２００１年／フランス）ジョゼ・ジョバンニ監督

「母親を崇拝するがゆえ、父を軽蔑してきたが、大人になってから、ようやく母の愛は単なる自己愛で、父の愛こそ真実だったということに気づく」と述べた監督が最後に残した自伝的映画。
ギャングとの闘争に巻き込まれて死刑判決を受けた息子の特赦の為に、街を走り回るギャンブラーの父親。兄は死に、母親は絶望状態。そんな家族像が印象的です。
　この映画を観て「泣ける」と言った人は結構いますが、視聴者を感動させるような大げさな演出はありません。ただ、淡々と言葉も少なめに話が進んでいきます。それでも大切なことはこの映画に詰め込まれていますので、是非観て、その「大切なこと」を実感してみてください。これは現在でも続々と発表されている「泣ける」映画ではありません。「思わず泣いてしまう」映画です。
　獄中でひたすら文章を書き続ける主人公の姿も、創作を続ける人達にとっては必見です。ぼくも今、この課題を書くために色々とこの映画の内容を思い出しているのですが、それだけでも泣いてしまいそうです。
　
【パッション】（２００４年／アメリカ・イタリア）メル・ギブソン監督

　最近、上映された作品です。海外ではこれを観た人が警察に自首したり、ショック死をこしたりで大騒ぎでしたが、僕は無事に生きて映画館を出られました。
イエス・キリストの最後の１２時間を描いた作品。当時の様子を描写するために話される言葉は全てラテン語かアラム語。また衣服や建物も昔のエルサレムの物を再現したとか。
　僕はキリスト教信者ではないのですが、この映画を観てひどく胸が痛みました。無償の愛を解く者を処刑しなければならない社会に悲しくなりました。
『泣ける』『笑える』『スカッとする』『怖くなる』映画は沢山ありますけれど、これは『落ち込む』映画です。でも、現在でも至るところに影響を与えているキリスト像を描いた作品なので、観たら多分勉強になると思います。ただ、新約聖書を読んでいないとわからない箇所もあるので、事前に一読しておいたらより理解できると思います。
　ついでに僕はメル・ギブソンが好きなので、彼が１９９５年に製作した『ブレイブハート』もお薦めです。

「お薦め映画」ということで、あまり観る機会がないだろうと思われる映画に絞りました。だから紹介する方も難しく、コメントを色々と考えてしまいました。間違った解釈をしてしまったら大変なので。
　ついでに僕の中には「開始１０分で眠ってしまった映画３本」があります。

露木悠太　課題８／キッズ、ヤング、ギャング。　2004年11月03日(水)16時28分44秒
▼課題と連絡：課題８／わたしの勧める３本の映画への応答

　『ハリケーン・クラブ』（1997年、アメリカ）監督　モーガン・Ｊ・フリーマン
祖母と暮らすストリート・キッズの主人公（15歳）。服役中の母親の出所後、生まれ故郷へ帰ることを夢見ている。やがて彼は少女に出会って恋に落ち、さまざまな困難にぶち当たることになる。

背伸びした会話。「大人」として見てもらいたい気持ち、子供の無力さ。純粋ゆえの悲劇なのかもしれない。大人になりたいという切実な思いが伝わってきて、当時、主人公に近い年齢だった僕は同じように憤りや、やるせない気持ちにとらわれ、ラストシーンで何だかよくわからない涙を零したのを憶えています。

　『死にたいほどの夜』（1997年、アメリカ）監督　スティーヴン・ケイ
幸せな家庭を夢見ながら、深夜の工場で働く主人公（決して真面目ではない）。その夢が現実味を帯びてきた時、悪友に誘われ一軒のバーに入る。そこでの一夜は、死にたくなるほど最悪だった。

この主人公は一冊の書簡集を残した実在の人物をモデルにしたとか。本編の冒頭で確か「スーパーヒーロー」と謳われていたような。何でこれがおもしろいと思ったんだろう、と考えてみたところ、やっぱり若者を描いたもので、少なからずそこにシンパシーを感じたからなのかもしれないと思いました。主人公は90パーセントくらい僕とは違う人間だけれども。

　『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』（1984年、アメリカ）監督　セルジオ・レオーネ
ニューヨークのスラムに暮らす少年達の、ギャングとして成り上がっていくさまを半世紀に渡って描いた大作。

何時間だったかは忘れてしまったけれど、とても長い作品。途中、「休憩」みたいな画面に切り替わって驚いたのを憶えています。昔の長時間の映画は、休憩時間を挟んでいたんですね。とにかくラストシーンでのロバート・デ・ニーロの表情が、今もなお消えない。

五十嵐　舞　課題8／四苦八苦！？　2004年11月03日(水)12時01分54秒
▼課題と連絡：課題８／わたしの勧める３本の映画への応答

　私はお薦めするほど映画を観ていませんし、どっちかと言うとアニメ映画のほうが観ている確率としては多いのですが・・・あえて3つ挙げるとするならこの3作品でしょう。

○　ＨＥＲＯ～英雄～〔２００２／香港・中国／ワーナー／チャン・イーモウ（張芸謀）〕
＞話の内容は―無名は趙国の三大刺客を討ち取り秦王に謁見を許された。一人目の刺客・長空倒した功績により王座まで二十歩の距離へ、さらに残る二人の刺客・残剣、飛雪を制して秦王への距離は十歩へ。無名が編み出した剣の必殺剣は「十歩必殺」。その時秦王は無名の語った物語の矛盾を看破するそして改めて語りだされた驚愕の真実とは？－（以下は観て下さいませ！！）
　私は映画の内容よりもこの映画の「色」や映像を駆使した表現の仕方に感動を覚えました。この監督の「初恋のきた道」でデビューし今公開中のＬＯＶＥＲＳ‐謀‐や木村拓哉も出ている２０４６のチャン・ツィイーの成長も私は見所だなと思いました。特に衣装と背景の「色」の表現はとっても好きで素材は何で出来ているのだろうとか染料はなんだろうとか全然違う視点で観てました…構成とか内容よりもこの映画の映像の技術・美術の凄さや見せ方の上手さに惚れた感じです。

○　もののけ姫[１９９７／日本／東宝／宮崎駿]
＞ストーリーは東北のあるエミシの隠れ里にタタリ神が襲った。村のものを助けるためにやむをえず王家の血を引くアシタカはタタリ神を倒すが、その時腕に死の呪いを受け、村の巫女が西行けばその呪いを解く方法があるかもしれないという言葉を頼りに一人村を出て西へ旅立つ。
その途中、謎の男に“シシ神の森”の存在をききそこへ向かう。そこへ向かう途中に犬神モロに襲われたタタラ場の牛飼いの甲六らを助ける、またその時、山犬とともにいるひとりの荒々しくも美しい少女サンこと「もののけ姫」に出会うが、彼女は森を侵す人を激しく憎んでいた。（以下省略）
話も日本の神話とか出雲の鍛冶師の話とかアイヌ的というか蝦夷とか犬神さまなど筆頭とする日本の国津神さまというか神話的な要素がいっぱいなところが好きです。「千と千尋の神隠し」とどっちにしようかと思ったけど、周りでの評価低いのですが、民俗学や文化人類学系の興味を抱かせた要因のひとつだったのでこれをお薦めします。確かにエグイシーンなども多いけどどっかこの映画をみると自然と人間との営みとの共存の難しさが見えてくる感じがしていつも考えてしまうのですがそういうことを再認識するのにはいいかもしれません。後、初映画館デビューの作品でしたのですごく思いいれが強いのかもしれません。

○　ネバー・エンディング・ストーリー[１９８５／イギリス・西ドイツ／東宝東和／ヴォルフガンク・ペーターゼン]
＞原作はあの『モモ』を書いたミヒャエル・エンデの『はてしない物語』です。ストーリーの話は省略させていただきます。私は主人公のバスチアンも好きですが、なんといっても私のお気に入りだったのは、ファルコンでした←今でもあの背中に乗ってみたいと思っています。
映画自体は生では観ていないのですがビデオで弟とよく小さい頃観ていた記憶があって、好きでしたね、繰り返し。私はこの映画をみて原作を読んだ人の一人ですね。また、登場キャラクタ－のユニークさとやっぱメルヘン的ものを映画化するもののハシリ的なものだったかもしれませんね！（以降のハリポタや指輪物語に続くような…）
　
の三作品でした。あまりうまく説明できたかどうか判りません、というよりお薦めするほど映画を観ていないので、こんな感じになりました。

土橋明奈　課題８／暗闇で拘束。　2004年11月03日(水)10時04分27秒
▼課題と連絡：課題８／わたしの勧める３本の映画への応答

『キス★キス★バン★バン』２０００年　イギリス　スチュワート・サッグ監督
腕の衰えを感じた殺し屋フィリックスは引退を決意する。そこで新しい仕事として請け負ったのは３３年間過保護の下に育てられたババの子守りだった。フィリックスは組織から命を狙われつつも、ババと暮らす事で心が変化してゆく。
シリアルをウィスキーで食べたり、最初は嫌々面倒をみていたが徐々にババを好きになるフィリックスが可愛い。
オープニングロールはキュート。色彩も少々レトロで綺麗。笑えてほろりです。

『海の上のピアニスト』１９９９年　アメリカ/イタリア　ジュゼッペ・トルナトーレ監督
豪華客船の中で生まれ一度も陸に降りた事が無く、国籍も戸籍も無い１９００(ナインティーン・ハンドレッド)と云う名の青年は即興の天才ピアニスト。大西洋を往復する船の中で日々乗客を楽しませる。そしてバンドメンバーのトランペッターとの交流。
劇中の音楽がもう素敵。バンドの曲からピアノソロに暴走したり、乗客を見ての即興。トランペッターのマックスとの出会いで船の揺れをリズムにストッパーを外したグランドピアノで回りながらの演奏。ストーリィも良いし、主演のティム・ロスの魅力爆発。

『三銃士』１９９３年　アメリカ　ジョー・ロス＆ロジャー・バーンバウム監督
アレクサンドル・デュマの名作をディズニーが実写で映画化。ガスコン青年のダルタニャンが国王の銃士隊に入隊すべくパリにやって来る。
そこで、アトス、アラミス、ポルトスの三銃士に出会い、枢機卿の謀る国王暗殺計画を阻止すべく力を合せて立ち向う。
爽快な冒険活劇。明るくって良いです。クリス・オドネル、キーファー・サザーランド、チャーリー・シーン等キャストも豪華。

３本だけの選出はとても難しい。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『アマデウス』『ドグマ』『雨に唄えば』等々未練たらしく。
良いマイナも多々。日本映画は暗めなのが多いのは何故でしょう。

菊池佳奈子　課題８／詰め込まれた世界観。　2004年11月03日(水)03時34分57秒
▼課題と連絡：課題８／わたしの勧める３本の映画への応答

＊『CUBE』１９９８年　カナダ　ヴィンチェンゾ・ナタリ監督

オススメの映画といわれたら私の中では圧倒的にこれです。
目覚めたら突然白い立方体の中に自分がいて、左右前後上下すべての壁に扉があり、それぞれのトラップや謎を解きながら、８人の老若男女の人間模様が描かれていく、サスペンスなのかな…。
わりとちんぷんかんぷんなストーリー映画というか、監督の中の世界観を圧倒的に映し出して、受けて側が頭をひねったり、直感的だったりしながらも、自分ながらの解釈をみつける。
そんな風に映画を見る楽しみを覚えた作品です。
シュール。かつ残酷でクール。しかし意味深。
答えの出ない迷路。
画面に圧倒されることうけあいです。

＊『グーニーズ』１９８５年　アメリカ　リチャード・ドナー監督

子供の頃、誰もが一度は夢見る冒険物語。
つまんない日常からぬけだして、海賊と戦って、宝を手に入れる。
そんな冒険映画の王道を素直に描いた作品です。
単純にわくわくして、未来を輝かしく思える、とても素直に語りかけてくる作品。
私は子供の頃に見て以来、何年かに一度は必ず見てます。
屋根裏、秘密の地図、暗号、海賊、財宝。。。。
わくわくするものが全部つまってる。
『スタンド・バイ・ミー』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』好きな人にもオススメ。

＊『シザーハンズ』１９９０年　アメリカ　ティム・バートン監督

美しく、脆く、悲しく、でも優しいファンタジー。
ティム・バートン監督の作品はほとんど見てますが、やっぱり『シザーハンズ』が一番好きです。
発明家の博士によって作られた主人公。両方の手の指が、鋏の刃で作られているので、触れるものは全て傷つけてしまう。
そんな悲しい彼をめぐる、悲しく、美しく、優しい物語。
ティム・バートンの作品はどこか童話的なのですが、その世界観をとことん詰め込んでいるあたりが大好きです。

映画は好きですが、そこにあるのはストーリーだけではなく、美術や音楽、様々な要素が混ざり合ってひとつの作品。
そういった総合美術の中に自分の世界観を完全に作り出している作品が好きです。
そういった点だとアニメが一番になっちゃいそうですが、アニメは所詮二次元であって、三次元の中にそれを作り出し、描きだすことで、その世界をより繊細に彩ることができるのだと思います。
アニメも好きですが、今回はあえて実写（？）を。
作品の中につまった世界観に受け手が共感を覚えようとも覚えなくとも、自分は自分。
監督のそういった姿勢が垣間見えるほどの映像、音楽、ストーリー、キャラクターへのこだわり方や
それでも受け手側の自分が圧倒的に目を見開いて感動したものをあげました。
最近映画を見る暇が無く、最近の映画をあまり見れていないので、わりと昔のものばかりになってしまいました。

加賀麻東加　課題７/純度１００％甘く切ない泣ける話　2004年10月28日(木)10時26分45秒
▼課題と連絡：課題７／わたしの勧める３冊への応答

●羽海野チカ『ハチミツとクローバー』集英社(2002年8月24日)コミックス
　
　舞台は横浜。ボロアパートで貧乏生活をしながら何気に楽しく生活する美大生、竹本、森田、真山の三人。新入生の花本はぐみと出会い、妙で不器用で純粋な三角関係が始まって…！？常にはぐみの隣で支え続け、自分でもはぐみへの想いに気づかない純朴な青年、竹本。互いの天才的な美術の才能に惹かれ合う森田とはぐみ。ある女性を想い続ける真山を傷つきながらも一途に好きでいる、あゆの一方通行な恋。自分の行きたい道が分からず自分探しをする彼らの、純粋で甘く切ない青春ストーリー。

　漫画ですみません(汗)これはまじでお勧めです！！切なくて泣けます！！
この本との出会いは、友達からの勧め。『麻東加に似てるキャラがいる』と言われ、どれどれ…と読んでみてビックリ。自分がよく言う台詞を片想いするあゆが同じ事を言っていました。例えば…好きな人に限ってどうして振り向いてくれないの、とか、好きな人が目の前にいると顔が赤くなって言いたい事も言えずに泣きたくなったり。あぁ～内容を思い出すだけでも泣きそうですっ。純度１００％です。後悔させません！

●谷川史子『愛はどうだ！』集英社(1997年2月19日)コミックス

　初恋もした事がない中学二年生の元気少女、小町はお姉ちゃんの事が大好き。気になる年上の彼はどうやらお姉ちゃんの事が好きらしい…。揺れつつも、二人が好きだから気になる彼の弟と二人の恋を応援する。「好き」という言葉が一切ない、爽やか初恋ストーリー。

　小さい頃読んだ思い出のある作品。月刊誌「りぼん」を四歳から読んでいたのでやはりお勧めしたいです。主人公が彼の弟と丘を下って街並みを自転車で二人乗りするシーンは一昔前の時代を思わせ、青春って感じです。本当、今だに繰り返し読みますよこの作品はっ。見所は、ミステリアスで表情のない彼の弟が、主人公の素直さや明るさに徐々に影響をされて感情や表情が変わっていく姿がいいです。

●唯川恵・選『こんなにも恋はせつない』光文社(2004年1月20日)文庫

　唯川恵さん含む多数の作家による、十作品を収録した恋愛アンソロジー。

　まだ読み途中なのですが、この間初めて小説を書いて皆さんの批評を頂いた時に、貪欲に本を読むべきとおっしゃってくれたので、その日即行本屋に行って目に止まった本です。好きだとか言わなくても、文字だけでこんなにも切なくじんわりと泣けるし、妙に頭に残る作品ばかりなので、単純に、すげーと思いました。そして純粋！文の作り方とか勉強出来る話ばかりです。

越智美帆子　課題７／課題になってたから　2004年10月28日(木)01時29分08秒
▼課題と連絡：課題７／わたしの勧める３冊への応答

雑談板にも、漫画小説の各オススメ３冊を載せましたが、課題になったのでさらに３冊オススメを書きます。

○『「イメクラの血液。」』　エンドケイプ著
これはネット上に掲載されている物語なのですが、管理人の方に許可を取っていないのでアドレスは控えておきます。サイトのほうには十の物語と、絵本のようなお話が掲載されています。最初読んだとき、凡庸な表現ですが、まさに頭をガツンとされたような感覚でした。中心に合わせるという文字配列をした文章や、日記のように綴っていく物語があり、どの文章にも切れとねっとりとした生々しさがあります。

○『もしもし』　二コルソン・ベイカー著　白水社
最初から最後まで、テレクラでの男女の会話のみの話です。でも話している内容が眉唾というか、かなり感覚的なことばかりで、読んでいると人の本当に微細な部分を覗いている感じでおもしろいです。それに、見えているものを表現する言葉が詩のように美しい。表紙は私の敬愛する岡崎京子が描いています。

○『電話がなっている』　川島誠著　　国土社
表題の『電話がなっている』が収録されている『誰かを好きになった日に読む本』を図書館で手にしたのは、私が小学三年生のころでした。呑気にページを開いて読んでいった私は、最後から二つ目に収録されていたこの作品を読み終わり、そのまま一生消えることのないトラウマと出会ってしまったことに気づきました。
そのトラウマは今の私を見事に形成し、小説を書きたいという衝動に日々突き動かされる人間につくりあげました。
それほどインパクトの強い作品であり、とても大事な物語です。
是非読んでみてください。

室橋あや　課題７/眠れない夜。　2004年10月27日(水)22時49分23秒
▼課題と連絡：課題７／わたしの勧める３冊への応答

「重力ピエロ」伊坂幸太郎　（新潮社　２００３年）

一番最近読んで眠れなくなった本。ミステリー？サスペンス？ヒューマンドラマ？とりあえず読み終わった朝方に奇声を上げてました。お父さんが癌だったり、主人公と弟が父違いの子だったり、内容的には本当に暗い。でもなんだか軽く読めてしまう訳は読み終わってタイトル見たら分かります。映画のネタが多い。セリフも多いし、主人公の弟がやたらキザっぽくて惚れる。作者も若い。ジェットコースター小説。

「ＢＡＮＡＮＡ　ＦＩＳＨ」　吉田秋生　（小学館　全１９巻）

漫画ですが。中学生のときに読んで眠れなくなった本。このとき空前のアッシュ（主人公の名前）ブームが我が家で吹き荒れました。私は初めて漫画で黒人やら、コカインやら、ヘミングウェイやらＣＩＡやらコルシカ・マフィアなんかの存在を知り、穴あきジーンズにえらく憧れ、ニューヨーク市立図書館といえば、マシュマロマンではなく、バナナフィッシュだよとすり替えられたのでした。

「二分間の冒険」　岡田淳　（偕成社　１９８５年）

小学生のときに（以下略）小学生上級からの児童文学です。図書室で冒険とつけばなんでも読み漁っていた私が発見した一大事でした当時。まあ異世界いっちゃうんですけど、小学生の空想の域を出ずにあのころみんなが憧れていた剣だの勇者だの竜だのが出てきて、あまりにも怖かったので私は絶対、選ばれし者なんかになるかよとやさぐれた本。竜が息を吹きかけるとみんなじじばばになるんです。怖い。

読んだ時眠れなくなったものを選びました。
みんなで眠れぬ夜でも過ごしましょう。ところで３冊どころじゃないですね。すみません。

滝　夏海　作品１／スクールノート　2004年10月27日(水)19時56分05秒

前ならえ・戻れ・気を付け・回れ右っ　左回りのキミと目が合う
あの屋根を越えたらきっと上手くいく　願いを乗せて飛べ！シャボン玉
歌い出す二人の声は寄り添って未来へ繋がるDNA
カレカノジョ　三単現のSを付け　アイじゃないよと言い聞かせてる
夕焼けの屋上　冷えて刺さる風　継げない言葉　君の目に赤
卒業で　ひとつピリオド打ったなら　今日からキミは見知らぬ誰か

滝　夏海　課題７／なんだかんだ言ってもこの3人から抜け出せない自分　2004年10月27日(水)19時48分24秒
▼課題と連絡：課題７／わたしの勧める３冊への応答

●クラフト・エヴィング商會著　『ないもの、あります』（2001　筑摩書房）
　『夢の標本箱』を本にした物、というとイメージしやすいでしょうか。クラフト・エヴィング商會は毎回違ったテーマで空想の固まりをでっちあげてくれます。しかも現物（や縮小版）まで作り上げてくれます。この本は実際には無い慣用的な言い回しでのみ存在する「舌鼓」「左うちわ」なる代物を取り扱っているカタログなのです。この本には現物の写真はありませんが。

●別役実著　『淋しいおさかな　別役実童話集』（1973　三一書房）
　別役実の短編童話集、と言っても子どもがこれを読んで喜ぶかは別ですが。どれもこれも、ナンセンスに満ちあふれ、くすっと笑えたり、不条理のままモヤモヤした物を抱えたり、切なくさせてくれます。そしてどれもこれも2度読みする事を勧めます。別役はラストを知った後に読み返すのが面白い。22話あるうち1話くらい、感性を刺激される話があるのではないでしょうか。私は『白いロケットがおりた街』という「SOSを発信するロケットと助けようとする街の人達」の話が好きで、読むたびに泣きそうになります。

●津原やすみ著　『ロマンスの花束』（1992　講談社X文庫）
　最後の最後まで他の人の作品を紹介しようか迷い続けましたが、あまり読まれないのでは無いかという事で、これを。現在はホラーや怪奇物を主に書いている津原泰水が少女小説作家時代に書かれた作品。男性の書いた少女小説（本人は「もどき」だと書いていましたが）の中編が2話入ってます。1話目の『フラッシュライト』はカメラ好きの不器用な少年がよく知らない年上の女性に恋をする物語。2話目の『ヒマワリズム』は美人で気の強い女の子と気弱な男の子との、もどかしい恋愛話。どちらもさほど甘くはなく、不思議な肌触りの作品です。けして上手いとは言わないけど、なんだか読んでしまう。今、持っている技術で青春物を書こうとした時に参考になるのでは、と思い出してみました。個人的に、向上心のない男共を「ゾンビ」と表現する2話目の女の子が好きです。

　ちなみに最近のお気に入りは『ちびギャラリー』というキャラクター系の一コマ漫画（？）「けっ」と言いたくなるような文章に「おいおい、待ってくれよ」と突っ込みたくなる絵が添えられてます。本もあるけど、サイトで見れてしまうのでそちらを紹介。「Bonmoya-zyu Gallery＞ボンコーナー＞ちびギャラ」と進むと出てきます。癒し系だけど、時々、これで癒されちゃいけない気になる物も。

http://www.bonsha.com/

城所洋　課題７／学生時代を染めた物　2004年10月27日(水)19時30分49秒
▼課題と連絡：課題７／わたしの勧める３冊への応答

栗本薫『いとしのリリー』　角川文庫　１９９４年

　自分は人に薦められるほど本を読んでいないのですが、自分が長編小説を書くキッカケ、というか、教科書にした本がこれです。

　内容は、うろ覚えなのですが、病院の跡取である島村譲（通称ジョー）の中に入っているもう一つの人格、リリーをめぐって、主人公である高倉ケン（通称ケンさん）とリリーのサイコラブストーリー、というものです。
　ちなみに、主人格であるジョーは勿論男性です。
　このリリーなるものは、夜に目覚めて、ケンとクラブで歌ったり、肉体的な関係になったりで、読んだ当時（高１くらい）はものすごく衝撃を受けました。一歩間違えれば１８禁に等しい描写、というか、映像にしたら確実にそっち系統に分類されるであろう作品でした。
　しかしながら、ここまで生々しくも面白みのある恋愛小説はそうないと思うので、これを推薦したいと思いました。
　
　今思えば、この世界観や恋愛感、以前提出した作品の雰囲気は、この辺から影響されているのだなぁ、と実感しました。

　
　という事で、自分のお勧めできるものは三冊どころか、辛うじて一冊ぐらいしか思いつきませんでした。すみません。
　それで、肝心な本は、母親の友人に譲ってしまい、今、手元にはありません。なので今日、これから出かけるついでに探しにいきますので、発見できたら、持参したいと思います。

　

前澤貴仁　課題７／読む人を選ぶ本（？）　2004年10月27日(水)16時54分15秒
▼課題と連絡：課題７／わたしの勧める３冊への応答

『空の境界』　上下巻　講談社ノベルス　奈須きのこ (2004) 講談社
　作者は独自の魔術が存在する世界を持っている。
　さてこれは、その世界で生きる不思議な能力を持った人々の話。
　能力者はファンタジーではありがちな設定。だけど他とは違う独特の世界がある！

『イリヤの空、UFOの夏（その1）』　電撃文庫秋山瑞人 (2001) メディアワークス
　電撃文庫で今一番面白いのは――？
　電撃Hpのアンケートで見事一位を獲った本である。その作品の魅力はなんだろうか？ぐんぐん引き寄せられてく『読ませる力』を持った、秋山瑞人が書くボーイミーツガール。
主人公は見てられないほどしっかりしてない中学生、浅羽直之。彼の中二の夏は、夜の学校のプールから始まった。

『ノスタルギガンテス』　寮美千子（1993）パロル舎
　作品の裏側。これにはこんな意味付けがある。
　授業で扱い、その裏側の発見の面白さを教えてくれた作品。
　深読みしてもそれは間違いではない。そこには考えられた設定が、意味付けがある。

雨宮弘輔　課題７／内心　2004年10月27日(水)16時35分14秒
▼課題と連絡：課題７／わたしの勧める３冊への応答

『物語の作法の受講生にお薦めの３冊』が課題になったので、この板に載せます。せっかくなので新たに選んだ３冊を記しておきます。

『悪魔の辞典』（アンブローズ・ビアス著　筒井康隆訳）講談社　２００２年
　
　エッセイ、小説、写真集と雑談板で紹介してきたので、次はあえて辞書を選んでみました。これは「最近の小説、詩には『毒』がない。これじゃあ、進研ゼミの付録にある甘い恋愛漫画を読んでいるみたいじゃないッ」とか思っている人にお薦めです。もちろんコレは金田一京助とかが編集したような普通の辞書ではありません。掲載されている単語の一つひとつ。A～Zまで、ビアスの悪意が感じられるような説明があります。また所々に掲載されている謎の神父の詩がよりブラック・ユーモアを引き立たせます。ぼくはこれを本屋で発見した時に、あまりの面白さに二冊買ってしまいました。一つは友人にプレゼントしましたけど。
　ついでに、和光高校には『和光辞典』という『悪魔の辞典』を真似たような辞書があります。

『野分』（夏目漱石著）「二百十日・野分」新潮社　１９７６年
　
　突然ですが質問です。あなたは何故、大学に入ろうと思ったのですか？　「学びたいことがあるから」「まだ社会に出たくなかったから」「良い企業に就職したいから」と、様々な理由があるでしょう。アメリカの大学生の７０％近くが「社会に出たとき、より多くの金を稼ぎたいから」と目論で大学に入学しているそうです。このデータが本当なら、とんだ拝金主義ですね。
　この小説の主人公は、そんな人たちがデカイ面をしてのさばる社会を痛烈に批判しながら、金にならない自分の勉学を貫こうとしています。ぼくはこの本を読んで「学問とは何か」「生きる価値とは何か」ということを考えさせられました。
　就職活動で悩んでいる、もしくは一生安泰という理由で公務員を目指している大学生に、是非読んでほしい漱石の作品です。

『悪童日記』（アゴタ・クリストフ著　堀茂樹訳）早川書房　１９９１年
　
　アガサ・クリスティーではなくアゴタ・クリストフです。この作品はちょっと前に各国で話題になったらしいので、知っている人も多いと思います。
　戦禍を逃れた幼い双子が疎開先の祖母の元で、たくましく生きていく話です。双子が書き記した日記という設定になっており、とても読みやすい作品です。生きてゆくために残酷になっていく彼らにハラハラさせられ、読んでいく内にラストが凄く気になってきます。登場人物の一人ひとりにも暗い影があり、時には恐ろしい行動を取る点にも異形な魅力を感じます。続編の「ふたりの証拠」「第三の嘘」も、おすすめです。

　皆さんの「お薦め本」の投稿に凄く関心を持ちました。次の作品の批評の際には、より深く意見を理解できる材料になりそうです。
　応えてくれて、ありがとうございます。
　ついでに、ぼくも芥川の『蜜柑』に感動しました。『月の影　影の海』『MARS』『風葬の教室』は途中で挫折してしまいました。いずれ、また挑んでみようと思っています。『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』のラストをドトールで読んでいて、泣きそうになりました。『サバイバー』が欲しくて、本屋で探し回っています。
　
　最後に、越智さんの応答としてぼくの「お薦め漫画」を記すと
『ツルモク独身寮』（窪之内英策）小学館　１９８８～１９９１年
『蒼天航路』（李学仁,王欣太）講談社　１９９６年～
『ハチミツとクローバー』（羽海野チカ）集英社２００２年～
になります。有名な作品ばかりですが。

野島明菜　課題７／中学生の時は山田詠美をよく読んでました　2004年10月27日(水)15時58分48秒
▼課題と連絡：課題７／わたしの勧める３冊への応答

「僕は勉強ができない」山田詠美（新潮社文庫　１９９６）

勉強はできないが女にはよくモテる高校生の秀美くん。そんな彼の日常や価値観は普通の高校生とはちょっと違っていて・・。

ませている秀美くんが可愛くて好きです。世の中にいるアホな大人たちを厳しく見ていて、実は頭のいい子なんじゃ！と思わせます。

「風葬の教室」山田詠美（河出書房新社　１９８８）

転校先でいじめにあう主人公の少女が、淡々と幼いクラスメート達を見つめ、考える。

悲しく、暗い毎日を送る少女が、しっとりとした美しさを持っている。すごくきれいな、そして過激な小説だと思った。

「でも女」群ようこ（集英社文庫　１９９７）

すぐ「でも」を使う女たちの日常を描いた短編集。

皆、どこか欠点のある主人公たちに親しみがもてます。こんな日常きっとどこかに転がっているんだろうと思わせるストーリー。　

圓山絵美奈　課題７/勧める3冊　2004年10月27日(水)15時50分59秒
▼課題と連絡：課題７／わたしの勧める３冊への応答

白河夜船、吉本ばなな１９９８角川書店

吉本ばななは知り合いに薦められて読み始めました。
ちょうど眠くてしかたないっていう、主人公とまったく
同じ状態になった時があって。だから共感できました。
吉本ばななは結構誰もが一度は通る心理状態をうまく
書いている気がします。

ノルウェイの森、村上春樹１９９１講談社文庫

ヒット作品なのでけっこう皆知ってるかもしれません。
出てくる女性のキャラクターが個性的で、本嫌いな人でも
スラスラ読めます。付き合ってる女性が精神病っぽく
なって最後は死んでしまうんですけど、こういうちょっとした
心理系のものは好きです。

MARS、領冬実２０００講談社

これは結構暗くて重い話です。すごく人のドロドロした心理状態を
うまく書いてます。でも私はそういう本が根本的に
好きです。

私は本は心理系のものを読むことが多いです。
本を読むことで、自分が知らなかった事を知ったり、
こういう道や考えをするとこうなるんだ、という事を知る事
ができるのが好きです。そういう意味でエッセイも好きです。

松本紗綾　課題７／引越し時、迷わず持ってきたもの　2004年10月27日(水)02時00分22秒
▼課題と連絡：課題７／わたしの勧める３冊への応答

「東京バカッ花」室井滋・１９９４・マガジンハウス
これは、私が漫画以外で初めて自分で選んで買った本です。この本を読んだからこそ、私はここにいるのかもしれません。９歳のときに読んで以来、何度読んだかわからないほど読みました。読むたびに、違う感想を持つのです。エッセイというジャンルを読んだのも初めてだったのですが、砕けた感じにはまって以来、室井滋さんの本は全て買っています。

「未成年」野島伸司・１９９８・幻冬舎文庫
これは、私が初めて買った原作本です。このドラマが大好きで、文庫本が発売されているのを知り買いました。ドラマを見てから本を読んだので、映像がリアルに出てきて、泣けます。しかし、やはり映像と小説は別物で、違う感動を得ることが出来ます。それ以来、原作本にはまり、様々な原作本を読みました。映像と小説、どちらを先にするかでも作品の印象が違ったり…と、２度楽しめる感じで、大好きです。（全部の本を持ってくることが出来なかったので、自分で選んだものが今手元にあるのですが、原作本が凄く多いです。小説を買った後に映像化されたものもありますが…）

「直江庸介という誘惑　人はなぜ『白い影』を語り続けるのか」篠原沙里・２００３・光文社
これは、今回の題材にはあまり向いていない本かもしれません。が、エッセイ、原作本以外にあまり持ってきていないので、別ジャンルということで選びました。これは、ドラマを様々な視点から深く分析している本です。ドラマあってこその本ですが…。この本を読んでからドラマを見るといっそう深くのめり込めます。

改めて、お勧め本を選ぼうと本を見たら室井滋さんの本と、原作本で８～９割だという事実に気付きました。原作本では、黄泉がえり（梶尾真治）クロスファイア、ＲＰＧ（宮部みゆき）ＧＯ（金城一紀）……といろいろです。本は本。映画は映画。と私の中で区別されていないようで、こうなりました。皆さんの本と比べるとなんだか恥ずかしいのですが…

露木悠太　課題７／永く　2004年10月27日(水)00時40分32秒
▼課題と連絡：課題７／わたしの勧める３冊への応答

　中原中也、『山羊の歌』（文圃堂、1934初刊）
大好きな詩がたくさん詰まっています。みなさんも一度はどこかで目にしたことがあると思います。授業の初めのほうで先生も例に挙げていましたね。
【批評課題１／参考作品　中原中也】

　立原道造、『立原道造全集』（角川書店、1950初刊）
第一回、中原中也賞の受賞者。しかしその同年、24歳という若さで逝去。
『優しき歌』が好きです。ソネットという十四行詩の形式で書かれたものです（あまり詳しくないのですがソネットにもいろいろ種類があって、『優しき歌』はイタリア（ペトラルカ）式ソネットというそうです）。人に薦められて初めて読んだ時、なんとも言えない、やはり優しいものに触れたような、そんな気持ちになりました。

　谷川俊太郎（編）、『祝魂歌』（星雲社、2003）
谷川俊太郎、中原中也、三好達治、…30人30色の魂の歌。中にはプエブロ族の古老や、チョンタル族の古謡など、およそなかなか巡り会えないであろう歌も入っていて、とても面白いです。死を扱ったものなので、面白いと言うのも不謹慎だと思われてしまいそうですが、読んでみればわかるはず。帯にはこう書いてあります、「新しい魂の旅立ちを祝う」。装画はフジ子・ヘミングさんです。

中原中也、立原道造、夭折した詩人です（中也は30歳で亡くなりました）。永く、彼らの作品はこれからも愛されるだろうけれど、けれど、もっと生きて欲しかった（なんて言ったらいけないのかなぁ）。生きるということを直視する。目のくもりを払い、見つめることの難しさ。「I HATE MYSELF」なんて少しも格好良くないよ！　と言われてしまったような、僕の青春の断片。

土橋明奈　課題７／エンタメジャ。　2004年10月26日(火)23時13分47秒
▼課題と連絡：課題７／わたしの勧める３冊への応答

村上春樹著『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上,下〉』(新潮文庫　1988)
高い壁に囲まれた街で夢読みの仕事をしている「僕」の[世界の終り]と、自分の脳を暗号化して
生計を立てている「私」の[ハードボイルドワンダーランド]の二つの物語が同時進行する。
云わずと知れた村上春樹さんですが、もう惹き込まれます。スマートで良質。

恩田陸著『三月は深き紅の淵を』(講談社文庫　2001)
稀覯本「三月は深き紅の淵を」を巡る４章立てのミステリー。
とても良く出来た入れ子構造。おおぅ、と関心させられてしまう構成力。

メーガン・ウェイレン・ターナー著『盗神伝〈全3巻〉』(あかね書房　2003)
女王の盗人の少年ジェンがアトリア、エディス、ソウニス云う三国間で活躍する冒険ファンタジー。
「なんだって盗める」と公言する代々盗人の家系ジェンの魅力が一番。
しっかりした設定とハラハラの展開と予想外な結末。

お勧め出来る本として、趣旨と反しているのですが普段そんなに読んでいる作家ではない本を三冊(実際六冊)。
何故かあまり小説では女性の書いた物を読まないのですが勧められるものとなると、
割と最近に読んでメジャな恩田陸と読み易い児童文学のターナー。そして、大メジャ村上春樹。
どれも私がモノを書くにあたって強い影響を受けた訳ではありませんが、
脳もしくは心を揺らされたエンタメ性の高い作品です。

五十嵐　舞　課題７／一期一会？　2004年10月26日(火)17時40分27秒
▼課題と連絡：課題７／わたしの勧める３冊への応答

　お薦めの本というのはたくさんありすぎて…選ぶのが苦痛でした。その中でも私のお気に入りかなと思うのを挙げるとするなら…この3冊でした。

　神の系譜Ⅰ　竜の封印　≪西風（ナライ）隆介／徳間ノベルス・徳間書店／2000．4.≫
＞かなり内容はマニアック的なものなのですが、歴史や民俗学、ミステリーお好きな方にはお薦めなのがこの作品です。内容は私が説明するよりも読んだ方が早いのですがが、歴史や伝承など民俗学的な要素を含みつつミステリーが転換認知神経心理学という科学を持ちいりながらその背後に横たわる謎というかそれが徐々に見えてくるのが面白い・・・というか続刊が出ています。また私がお薦めのキャラはこの話の中心人物なのにほとんど喋らない天目マサト君と庭弄りではなくガーデニングをしている竜蔵爺さんでしょうか（笑）

　未明の家―建築探偵桜井京介の事件簿―≪篠田真由美／講談社ノベルス・講談社／1994.9≫
＞手元にない本ですが、私的にはお薦めです。内容の説明は京介という建築にやたら知識がある美貌の大学生が建築物の関する事件に巻き込まれ謎解きをするというのが大体のストーリーです。その助手というか側にいることが多いのが蒼と呼ばれる高校生（新刊では大学生ですが）とその友人である深春という人物の主人公とのやりとりも面白いですが・・・ただ心理描写とか時々リアルなので精神的に突っ込む話もあるのでそれが駄目な方は止めといたほうがいいかもしれません。何よりも、建築とかミステリーとかお好きならお薦めです。コアなファンも多いじゃないでしょうかね、図書館に行けば大抵あるメジャーな作家さんでありますので、興味を持ったら一度手にとってみるといいですよ。

　スカーレット・ウィザード１　≪茅田砂胡／C☆NOVELS・中央公論新社／1997.7≫
＞上の2作品とはうってかわってこれはエンターティメント作品です。この方の前作のシリーズからファンであるのですが、私はこの作品が一番キャラもストーリー展開もはちゃ滅茶すぎて、面白いです。一匹狼の宇宙海賊というかお尋ね者の主人公がある酒場で一人の女に誘われる、誘ってみると自分と結婚してくれという話だがそんなの受けるはずもないが一つ賭けをする・・・俺を捕まえればその条件を呑むという話から展開するストーリーです。このはちゃ滅茶な二人とそれを囲む周りの人物の個性がいいです。あまりにも破天荒すぎて読んでいて笑いがこみあげる作品ですし、エンターティメントしてはかなり上出来な部類に入ると思います。また、前作のデルフィニア戦記、そしてこの続きともいえる暁の天使たち（デル戦で出てきたキャラが活躍します）を続けて読むとまた面白さが倍増します。私的にはこの三作品の中では一番お薦めの作品です。

というような三作品というか、作家さんがお薦めです。作家さんの別のシリーズもお薦めだったりしています。本の量は読んでますがかなり偏りがり、文学的なものは一切読んでいないし・・・あまり、うまく内容の説明出来ていませんが、気になったら手にとって読んでみてください。
これ以外の作家さんの作品では鬼籍通覧シリーズの椹野（フシノ）道流さんや十二国記シリーズの小野不由美さんはぜひ読んでみるといいじゃないでしょうか

千田由香莉　合評報告/「濃い90分間」　2004年10月26日(火)14時58分26秒

　先週は初の合評でした。皆さんありがとうございました。素人の書いたものを４つも読むのは、とても大変だったと思います。感謝です。自分の書いたものに対して合評をしてもらえるというのは、とても貴重な経験でした。「こういうふうに捉えられたのか」とか、自分では気付かない矛盾など、挙げればきりがないほどのたくさんの発見がありました。伝わりきらなかった部分に関しては、自分の未熟さを見せ付けられて悔しく思いました。あの90分は濃いです。浮いたり沈んだり大変でした。でも、とても楽しかったし、何よりも皆さんの意見がとても嬉しかったです。本当にありがとうございました。
　それから、あんなにたくさんの印刷物を用意して下さった寮先生、本当にありがとうございました。重かっただろうし、大変だったことと思います。ありがとうございました。
　松本さん、批評文どうもありがとう。何かのきっかけだし、ってわざわざ書いてくれたなんてすごく嬉しかったです。本当にありがとう。
　最後にもう一度、皆さん、本当にありがとうございました。手厳しい意見もありましたが、その分嬉しい言葉もたくさん貰えて幸せでした。本当に一人一人の方に「あの意見が～」とか話してまわりたい気分ですけど、そうもいかないので…もう一回。本当にありがとうございました！そして、お疲れさまでした。

菊池佳奈子　課題７/核　2004年10月25日(月)23時13分47秒
▼課題と連絡：課題７／わたしの勧める３冊への応答

＊京極夏彦著『姑獲鳥の夏』（講談社　１９９８）
京極夏彦の代表作、京極堂シリーズの第一作。
１９９４年に講談社ノベルスから出版されていて、私が読んだのは文庫版の方です。
ミステリなのか、哲学なのか。
この世に不思議なものなどひとつもないのだ。という内容。
高校一年生の頃読んで、それまで曖昧にしか疑問に思っていなかった自分の中の世界の認識について、考えるきっかけとなった本です。

＊小野不由美著『月の影　影の海（上下）』（講談社　１９９２）
もとは講談社Ｘ文庫という少女小説の文庫から出ています。
のちに講談社文庫でも出版されています。
小野不由美の、十二国記シリーズの第一作。
普通の女子高生であった主人公、陽子が異世界へ連れて行かれ、苦しみながら生き抜くお話。
少女小説として出されながらも、見事に構築された世界観。構成。その素晴らしさもあるが、
なによりもキャラクターが魅力的。
いわゆるキャラ萌え的な魅力ではなく、醜くもあり美しくもあり泥臭く迷い戦いながら自分を生きている。
弱さも強さも抱え優しく醜く、生き抜いていく。生き様が美しい。
私の根底の強さを育てるきっかけをくれた本です。

＊モーリス・ドリュオン著　安東次男訳『みどりのゆび』（岩波書店　１９６５）
児童文学です。
お金持ちで美しいパパとママのもとに生まれた、心優しく美しい子供、チトの物語。
チトの持っている不思議な能力と、それでチトの起す素敵なこと、そうしてそんなチトを愛した庭師、ひげさんとの心のふれあい。
小さな頃から何度読んでも最後は必ず泣いてしまいます。
人が必ず持って生まれてきたどこかやわらかい部分に触れることのできる物語です。
優しさと悲しみを教えてくれた本です。

読書体験という程、有名な小説も古典も読んでなくて、
最近気付いたのは私は物語を物語として昇華することが苦手で
私の側にひきよせて読むというくせがあるようです。
でも、少ない読書量の中、私は私の核を物語や音楽から得てきたように思います。
そんな人の心の核に触れてしまう作品が私は好きです。
そして、そんな作品を作りたい。

上の３作品はそんなこと無視しても全然オススメです。

児玉武彦　課題７/手元に本はないけれど・・・　2004年10月23日(土)01時56分31秒
▼課題と連絡：課題７／わたしの勧める３冊への応答

１．「蜜柑」（『舞踏会・蜜柑』1968/芥川龍之介/文庫/角川書店)
これは本で読んだのではなく国語のテストで偶然読んだ。今では古典となっている小説でもここまで人の心を打つことが出来るということを実感させてくれた作品。
色彩的な描写がとても映像的で、実は芥川龍之介はロマンチストでありヒューマニストだったのだと改めて気付かされる。

２・「火車」（『火車』1992/宮部みゆき/単行本/双葉社）
自分が本を読むキッカケとなった本。小説というのがいかに優れた娯楽であるかを教えてくれた本。宮部作品は「ＲＰＧ」までは読んだが「火車」のような衝撃はなかった。

３．「北の国から」（『定本　北の国から』2002/倉本聡/単行本/理論社）
誰が何と言おうと「北の国から」は外せない！ストーリーがどうとかじゃなく本能的に愛してる作品です！このことになると理性が飛びます！
スペシャル版もいいですがダントツで初回シリーズでしょう！田中那衛演じる五郎は永遠に不滅です！純も蛍も不滅です！ふざけてません！本気です！
「遺言」を観る為にバイトを辞めました！「北の国から」万歳！倉本聡　万歳！

松本紗綾　批評課題９／レッドよりブルーが好きでした。　2004年10月22日(金)02時27分01秒
▼課題と連絡：批評課題９／千田由香莉小説作品の批評への応答

【忘れ霜】
私は小さい頃、「マスクマン」が大好きでした。「マスクマン」の変身セットを買ってもらい、装着してはポーズを決め…写真も残っています。と、お姫様ではないにしろそのときのことをふっと思い出しにやけてしまいました。
最後の再就職のくだりが大好きです。こんなくだらないやりとり（…って言葉でいいのでしょうか…）が出来る相手がいるということはすばらしいことだと思います。私はこんなやり取りが大好きです。
ほわっとする話は自分自身書けないのではないかと思っているので、千田さんが羨ましく思います。（私が書くとなると暗い方暗い方へといってしまうようです…）そして、読む人がそれぞれの思い出にリンクさせるような話題という部分が魅力だなと感じました。やはり、自分にリンクするものが何もないものには共感も何もしないと思うので…

と、授業が終わってからの提出に悩みましたが、せっかくの機会なので書きました。こんな遅くなってしまいごめんなさい。

越智美帆子　批評課題９／鋭い感性　2004年10月20日(水)23時36分46秒
▼課題と連絡：批評課題９／千田由香莉小説作品の批評への応答

【檸檬】
　何気ない話なのに、光るものがあると思いました。アイテムの使い方も上手いし、それに対するオチのつけ方も上手い。切ないなあと思いながら読ませてもらいました。
　けれど、長さが足りないように感じます。特に見せ場である「知ってるよ…」のところ。この感情をもっと突き詰めて書いてほしかった。知ってるよ、という感情に間違いはないけれど、その言葉の中にはもっと多くの感情があるはず。ここにあるのは諦念のようなものですが、でも物語全体にある切ない恋の匂いをここで一気に噴射しないではもったいない。
　他の作品も、やはり内容にしては短いなと感じてしまいました。
　長く書くのは大変だし時間も苦労もいることだけれど、諦めずにもっと突き詰めることができれば、さらに良くなるんじゃないかなと思います。

　提出、遅れてすみませんでした。

野島　明菜　批評課題９／台風が来る前の、静かな夕方に　2004年10月20日(水)17時45分04秒
▼課題と連絡：批評課題９／千田由香莉小説作品の批評への応答

【あめ色の坂道】雨の続く今の季節、こんな出会いがあったらいいな。彼に初めて会った時、「息の仕方を忘れた」っていう一節がいいです。（何で？！）のように心の気持ちをかぎかっこで表現するのは新しくていいですね。
【忘れ霜】おもしろいなぁ。すらすら読めました。お姫様願望に似た気持ちは誰かしら持っているんだろうなぁ。でも、就職や一人暮らしのように自立していくようになると、そんな夢みたいなこと考えていられなくなるんだろうな、毎日生活費稼ぐのにやっとで。サラリーマンと恋におちるのかと思ったけど、そういうのはなくて、なんか大学生とサラリーマンが純粋な思いを語り合うっていう展開がいいなと思いました。いまのドラマってすぐ恋愛どうのこうのってなってるように思えるから、こういう恋愛とは関係ない出会いって素敵だな。この作品に続編があったら、この二人に恋愛が生まれてもいいけどね。でも少しずつ、自然な流れの中でそれを描いてほしいわ。サラリーマンの風貌やしゃべり方などの説明がほしかったです。じゃないとリストラにあったんだろうなと思わせる雰囲気がこちらにつたわらないと思うので。千田さんの作品を読んでいて思ったんですが、横書きじゃなくて縦書きで読めたらもっと読みやすいし、作品の良さが生かされるのにと思いました。

瓜屋　香織　批評９／適温　2004年10月20日(水)17時23分18秒
▼課題と連絡：批評課題９／千田由香莉小説作品の批評への応答

【忘れ霜】

　千田さんの作品の中で私は、「忘れ霜」が一番印象に残りました。
主人公の女の子の考えがわかるような気がしました。
大きな不幸ではなくて、人にわかってもらいやすい悲しみなわけでもないけれど、どうしようもなく感じてしまうやりきれなさや、哀しさや、少し疲れた気持ちを日常の端々でふっと感じている人間は案外少なくないのではないでしょうか。
そして、「自分はトクベツだ。」と思っていた人間も。
普通に生活していると、みんなそこそこ幸せそうな気がするけれど、そう見える裏には隠された色々な思いや葛藤があるなぁ、と私は思います。
　千田さんの作品は、ありそうでなさそうで、あるかもしれない日常をすくいあげて書いているところがとても上手だと思います。
冷たくもなく、熱くもない、ちょうどよい温かさをもった作品をこれからも期待しています。

滝　夏海　批評９／綿100%の肌触り　2004年10月20日(水)16時17分43秒
▼課題と連絡：批評課題９／千田由香莉小説作品の批評への応答

【あめ色の坂道】

　他のも良かったのですが、設定や話の流れが好みだったのでこれを。
　傘やドーナツ、雨に濡れて乾かしたせいでバリバリになってしまった本など、小道具の使い方が上手いと思いました。丁寧に扱ってるので、唐突だったり無駄な感じがしません。古本屋の描写も、あの古い本独特の匂いが漂ってきます。
　最後の一段落は余剰のような有った方が良いような、迷いどころです。ただ

雨が降る。彼は、「え？」と、聞き返した。ばたばたと傘を叩く雨粒の音が耳に響く。

　この１行だけがくんと躓きます。「雨が降る。」の後すぐに「ばたばたと」へ移ってしまうか、付け加えるかした方がすんなり行くのではないでしょうか。「聞き返した」という表現も断定ではなく、表情など視覚的な要素を強調するとか。声がない方が、次の雨の音がもっと効果的になるのでは。

　千田さんの小説は、さらっとしていて気持ちよく、万人受けしやすいタイプだと思います。漫画で言うと、あいざわ遙とかあの辺り。ちょっと言い方が悪いかもしれませんが、毒にも薬にもならない。でも、あるとほっとする。どんな小説・漫画・ドラマ、どんな媒介でもするすると侵入できるストーリー。それは強みであると同時に「どこかで見たぞ？」という印象を与えてしまう怖さでもあります。言い回しや話の運び方にセンスがあるので、その感覚を大切にして下さい。これから楽しみです。

　ところで、本屋・古本屋・図書館など本に関係する場所と若い人という組み合わせは、最近の流行ですか？ここ1～2年でそういう話を目にする回数が増えたんですが。

■一つ前の過去ログ：「物語の作法」課題提出板 (0043)

[雨宮弘輔] 批評９／甘いお菓子のフルコースでした (2004/10/20 16:08:39)
[圓山絵美奈] 批評課題９/千田由加莉小説作品の批評 (2004/10/20 15:55:14)
[菊池佳奈子] 合評報告/音の箱 (2004/10/20 13:56:48)
[露木悠太] 批評９／センシティブ、センス！ (2004/10/20 04:16:14)
[土橋明奈] 批評９／カテキン入り清涼飲料水。 (2004/10/20 03:48:42)
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[五十嵐　舞] 批評９／これって…何処かでみたような (2004/10/19 14:56:08)
[児玉武彦] 批評９/モチーフへの思い入れ (2004/10/16 10:24:27)
[松本紗綾] 作品９／室井滋に憧れて。 (2004/10/15 00:56:10)
[千田由香莉] 作品６/「忘れ霜」 (2004/10/14 14:06:39)
[千田由香莉] 作品５/「あめ色の坂道」 (2004/10/14 14:00:24)
[瓜屋　香織] 批評８／いつか誰かが思ってたこと (2004/10/13 18:10:19)
[野島明菜] 批評８／私に響いた詩を選びました。 (2004/10/13 16:14:53)
[雨宮弘輔] 批評８／言霊の幸ふ所 (2004/10/13 16:14:28)
[越智美帆子] 批評課題８／淡々とした物語の数々 (2004/10/13 16:04:00)
[加賀麻東加] 批評８／１００％自分好み選択 (2004/10/13 15:44:09)
[松本紗綾] 批評課題８／受け手送り手 (2004/10/13 15:20:28)

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