「物語の作法」課題提出板 (0037)


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吉見幸子 課題4/不器用な入れ物 2004年06月17日(木)00時14分12秒
▼課題と連絡:課題4/七夕・コイノウタ5首【日常芸術化計画】 への応答

会いたいな こう思うほど 思うこそ 口に出せない 会えなくなるから
この町に 大事な人が いると知り 一人微笑む 夕暮れの駅
明日には もうなにもない わかるけど 夢見る気持ちに さみしい夕日
今日だけね かぼちゃの馬車と 白い靴 明日になったら 悲しいぬけがら
大切な 大事な大事な 人だから カマもかけない 愛もださない
寂しさを ほんの少し おすそわけ 外はおまつり だからいいよね
好きだよと よっぽど言おうと 思ったよ でも言わなくて ほんとによかった
ありがとう 選んでくれて ありがとう 私の見ている あなたの瞳
会いたいと 言ってくれる 人がいて 明日の予報は 晴天マーク
何が好き? 聞いたら空を 見上げたね あのくもかたち アンパンマンと
また明日 別れるときの くちづけは 二人をつなぐ 透明の糸

露木悠太 作品2/散文ラブレター 2004年06月16日(水)20時09分24秒


うつろな夢を恥ずかしく思い
弱卒の志をいっそ失くしてしまいたかった
一人、ジャケットの襟を立てて
あなたの歌を今も聴いている
わかってるよ、わかってるんだ

欠けた糸切り歯に舌をやると
死んでしまいたくなる
ならば死ぬ覚悟で何でもやってやれと思うが
実はこれっぽっちも死にたくなんかないんだ

アンテナは錆びちゃくれないし
電波はひっきりなし
一日中テレビにかじりついて
出会えなかった人たちにさよならを言った
ああ、君がいなくなってしまう理由なんてわからないし
そんなものあるはずがないんだ
僕はどうしたらいい?
合わせた手のひら、何も掴めやしない

きっと嘘なのかもしれない
ずっと嘘なのかもしれない
君を嫌いだと言うのは簡単だし
君を悪だと罵ることもできる
でも君にはどうせ聞こえない
君も加害者になる前は、被害者だったのかい?
とにかく何もかもわからない
こんな僕は、ろくな死にかたしないだろう

衝動は罪だと感じるし
動機はよくわからない
ほんとは半分くらいわかっているけど、言いたくはない
前方には蜃気楼ばかり
どうか僕に勇気をください
そして君が時代の犠牲者にならないことを

別に何かアピールしたいわけじゃないし
ライブハウスでミーハーな女の子に邪魔扱いされて
突き飛ばされてもなんてことはない
ただ、ほんのちょっと聞いて欲しいだけ

だって君のことなんか知らないし
ほんとはどうでもいいのかもしれない
でもさ、
犠牲なんてもの、この世界から無くなればいいのに

だからつまり、君のことが好きなのかもしれない

越智美帆子 課題4/赤色色盲 2004年06月16日(水)16時01分47秒
▼課題と連絡:課題4/七夕・コイノウタ5首【日常芸術化計画】 への応答

頬紅を 鎖骨に落として 小薔薇痕 鏡の中に 見知らぬ私
指絡め 赤く三日月 手の甲に 下限の浮かぶ 濃紺の空
吸い口に かすめる紅の 殻三つ 無印嘲り 灰に埋もれる 
小指に朱 絹滑らして 覗く粒 一つ摘んで 甘露の如し
内緒だと 外耳に触れる あかい舌 重低音が 潜る窪みの

圓山絵美奈 課題4/素直は無理でも正直に恋をする 2004年06月16日(水)14時47分04秒
▼課題と連絡:課題4/七夕・コイノウタ5首【日常芸術化計画】 への応答

にらめっこ気持ちをはかる対決だ だから絶対目はそらせない
あなたはね手に入らないそれだけが ゆいつ持ってる魅力なんだよ
君とまだ出会っていないそれだけで あの子はまだね未来が見れる
冷え性を教えてくれたあなたの手 責任もって温めてよね
自分すらイヤな私を好きだと言う 君を見下す訳はそれだけ
人嫌い なのに彼女は彼氏もち どう見てもあれ人間だよね?
あなたより自分のほうが大切で 今日も私は返事をしない
贅沢を覚えてしまったこの右手 わがまま言って腐っていった
大好きの気持ちがどうも足りない 嫉妬させてそれを埋めてく
助けたい傷つくことも怖くない 君の為だし私の為だ
差し出した手をつなぐのをためらった ただつなぎ方を知らなかったの
私がさキャサリンだったらよかったね 君の言い訳分からないもの
夢見るなあなたの姫は私じゃない その子は確か漫画で見たよ

 

菊池佳奈子 作品3/音の箱ー3(さ行) 2004年06月16日(水)01時17分24秒

【最終電車】

最終電車 走るよ
くらいくらい線路の先に
なにがるのか 
見えないけれど

ホームにすべりこむ電車
ふきこむ風に おびえるけれど
大丈夫 
かならずどこかに つながっているから

今日はおしまい
バイバイまたね
また明日

人工物の鉄の塊
たったひとつあたたかな僕

次の電車は朝日を浴びて
違う日の中 走るのだろう

【印】

ピアスをプレゼントするので
耳につけていてください。
ゆびわをプレゼントするので
薬指につけていてください。

僕がいない間も
身につけておいてください。
僕がいない間にこそ
見せつけておいてください。

それは僕のハンコです。
「僕のもの」という
印です。

【ストマックエイク】

『ぐちゃぐちゃ』
『どろどろ』
『わけがわからない』
『もう駄目だ』

弱音で膨れた腹が痛い

【晴天】

見上げたら
空はどこまでも青く青くあって
其れは変わらずに遠く広くあって
それだけで僕は…

本日は、晴天なり。

【存在】

誰か
私の悲しみを否定して下さい

この酷い想いを
この陳腐な考えを
その根底にある 存在不安を

否定して下さい

私はここにいて良いのだと
私はここにいるのだと

誰か 教えて

菊池佳奈子 課題4/こちら側 2004年06月16日(水)00時47分53秒
▼課題と連絡:課題4/七夕・コイノウタ5首【日常芸術化計画】 への応答

横にある ちょっぴり高い 君の視線 どこをみてるの? 気になって

さみしいと すがったその手にアイはなく 私がとっくに熱の中でも

日々の中 見えたものとか違っても いつもどこかで会っていたのに
いつのまに こんなに僕等ずれていて どこでどうして 遠ざかる君

電話から 遠く聞こえる 君の声 こころの奥に しまいこむ

松本紗綾 課題4/ウラハラ 2004年06月15日(火)22時22分10秒
▼課題と連絡:課題4/七夕・コイノウタ5首【日常芸術化計画】 への応答

魅せられた ふとした仕草 見せられて どうやらあたし あなたにぞっこん
してやったり あなたははまる 甘い罠 堕ち堕ちたとき あたしの虜
アイシテル キミシカミエナイ ダイスキダ これで最後と 信じてしまう
小さいな 見掛け倒しの 大きさに 満足出来る 女じゃない
“別れましょ” 最後の切り札 隠し持つ 使う勇気は ないのだけれど
会いたいの 最初はにやけ 夢心地 今では夢で あればと願う 

五十嵐 舞 課題4/ 簾越しの君へ 2004年06月15日(火)14時43分25秒
▼課題と連絡:課題4/七夕・コイノウタ5首【日常芸術化計画】 への応答

可愛くね膨れているねコンペイトウ そんな君がね僕は大好き
画面にさ 羅列されるアイラブユー もうごめんなの騙されるのは
日が暮れて闇に溶け込む街並みへ 肩を寄せ合い家路に向かう
夕立に濡れた額に口づけを そんな初恋してみたいよね
夢現まどろみながら堕ちていく その快感がたまらないんだ
生きてくれと叫ぶ声は嗄れ静けさと涙の痕と白い煙
ねぇ貴方私が見えて朧月 貴方はホント恥ずかしがりや
七色に光るしずくは恋心 さざめく想いと君の手紙
召し上がれ貴方のへの愛詰まってます 賞味期限は 一週間です
夕暮れに浮かぶ横顔見つめてるそんなことさえ今は幸せ
君という誘蛾灯にね惹かれてる虫のようなだな俺とアイツは
あっというま過ぎているよね恋時間 だからいつもさ名残惜しくて
疲れきり動かぬ光見つめつつ寝ている君に微笑み浮かぶ
流れゆく涙とともに恋も逝く さぁ旅に出よう愛を探しに
月見酒浴衣姿の君眺め白いうなじが喉を渇かす


加賀麻東加 課題4/淡い恋 2004年06月15日(火)14時31分04秒
▼課題と連絡:課題4/七夕・コイノウタ5首【日常芸術化計画】 への応答

恋愛と 呼べる“好き”かは 分からない でも今はただ 傍にいたい
好きだから 痛くて心 壊れそう 君が見るのは 隣のあの子
デートの日 メイクもバッチリ! 準備OK 私に惚れる 準備はOK?
友達の 彼氏は 白馬でお出迎え なぜロバが合う 私の彼氏
帰り道 手も繋がない キスもない 空気に響く 互いの鼓動
君のこと くるおしいほど 想ってる 君のこころに 私はいるの?
彼のコト 好きなの?トモダチ? どっちなの 教えて!恋の 境界線


露木悠太 課題4/コウモリのうた 2004年06月14日(月)00時34分28秒
▼課題と連絡:課題4/七夕・コイノウタ5首【日常芸術化計画】 への応答


 恋の歌 夜に隠れた コウモリの 見つめる先には 逆さまの君
 そら仰ぎ ああ、きらめいて あきらめて 行き過ぎる雲 いくつも数えた
 超音波 合わせた手の平 閉じた瞳 願いはひとつ もう一度だけ…
 応答せよ 時計のように 星回り 届かぬ便りに ため息こぼす
 夜を出て はじめて飛んだ 光の中 君に会いたいと 勇気を出して
 胸いっぱい 溜めた思いと 込み上げる リズムをもとに 揺らそう世界
 君の声 その隣には 優しげな 僕とは違う 笑顔の恋人
 サヨウナラ ぐすん、サヨナラ サヨウナラ 震える声を 隠し何度も
 悲しみは おととい降った 雨のよう だけどどこにも 傘がないんだ
 まんまるの 月を眺めて この胸の 満ちていく日を 思いはばたく

城所洋 作品3の補足/書いた理由(動機) 2004年06月10日(木)22時15分09秒
城所洋 作品3/「私はあなたを○○しています」 への応答

 今回の投稿のテーマは、「恋愛物」、そして「愛への疑問」です。
 そもそも、自分が小説を書くキッカケとなったのは、人間は動物か?それとも人間は人間か?あるいは、人間は自然と一緒か?人間界と自然界は分かれている? そんな人間への疑問を生涯をかけて考察したいと思い、歌手を目指してみたり、政治家を目指してみたりして、最終的に行き着いた手段が「小説」だったわけです。
 つまり自分は、小説を書きたくて物語を考えるのではなく、伝えたい事があるから小説を書いています。それ故に、もうくどいくらいに主張を前面に押し出しています。
 それで自分は小説を書く際に、何か題材(その時、人間に疑問を持っている事)を模索し、それから物語を選択し、お互いを混ぜ合わせて構築するようにしています。(無論、ただ単に物語だけの時もあります)
 そして今回は「愛への疑問」でした。

 さて、それでは本題、どうして自分が同性愛を描こうとしたかです。
 最初は、まるで別の、異性間での恋愛でした。簡単に梗概を書くと、幼い頃に強盗に襲われ母(唯一の家族)を殺され、それ以降何をやってもうまくいかない男が、ヤケになってバイクを乗り回していたら事故に遭い、何故か自分の過去にタイムワープした。そこで幼い自分(小学生)と、見覚えのないその子の恋人(高校生)と出会い、色々あって、幼い主人公の母親に、自分達の仲を否定された恋人の高校生は思い余って主人公の母を殺害してしまう。でもそんな彼女と恋に落ちた大人の主人公はこの世界から抜けなくても良いと思っていたが、高校生が罪悪感から自殺、それで全てを思い出し、それがトラウマとなっていて過去の記憶を失っていた事を知る。そしてその世界は、実はトラウマとして封印させられた幼い頃の自分が見せた夢であった。・・・という話です。

 しかしながらそれではうまく「愛への疑問」が使えずに困り果てていた所、女性学で、同性愛の人のビデオを観賞しました。
 それで、「同性愛もいいなぁ」という、本当に、実に安直に決めた事なのです。その浅はかさに、今となっては汗顔の至りです。
 本来ならば、そのテーマを決める事によって、そこから色々とスタートするというものなのに、自分はそのテーマに行き着いただけで満足し、そこから先へ進もうとはしていませんでした。
 下の梗概を見ていただければわかるように、この作品は完全なるフィクションであり、「同性愛」も、単なるアイテム、愛を語る為の香辛料程度にしか扱われていません。
 皆さんのご指摘通り、やはり分をわきまえずに、軽々しく手を出していた事に、自分自身に自惚れや独り善がりを感じ、憤り、嫌悪の念を抱いています。
 今回の件を真正面から受け取り、あえてメッキが剥がれたとは言わず、一皮剥けたと表現し、これからもより一層精進する事を表明します。


 飛び入り参加の志賀様>ご感想、拝見させていただきました。どの意見も胸に突き刺さる事だらけで、自分の欠点を浮き彫りにされ、しかしながら、とても参考になりました。やはり自惚れという物は自分では気づかず、練り込みの足りなさ、短慮さ、軽薄さに痛感させられました。
 鼻を折られるという事は、恥ずかしさもありますが、それで一層、冷静に自分を見つめる事ができるようになると気づき、素晴らしい教訓を得たと思っています。
 本当に、ご投稿ありがとうございました。

城所洋 作品3の補足/梗概(本来のストーリー・全編) 2004年06月10日(木)22時14分06秒
城所洋 作品3/「私はあなたを○○しています」 への応答

『高校一年』入学→カナとの出会い→友達になる→なつみの元彼云々の話をカナが聞く→カナがなつみを意識する→なつみはカナがウザったい→周りからは親友に見える→カナの両親の話を聞く→その境遇に同情、人なつっこさは寂しさからだと悟る→友情深まる→神社での出来事→恋愛感情発生→仲が良いという理由で同棲生活へ→『二年生へ』

『高校二年生』カナの効果でなつみが明るく見えるようになる→(カナへも含めて)男が言い寄ってくる→なつみ、それを嫌悪→何故自分と付き合うのかカナが問い詰める→理由は言えない(トラウマ、言うのが怖い、思い出すのが辛い・・・等で)→カナはそれを案じて抱擁→初めてのセックス(ボディコミュニケーション)→愛の定義を論じる(1)→大島登場→カナの友達に→『三年生へ』

『高校三年』大島・カナ・なつみのドタバタ→大島、カナに告白→カナは関係を曖昧にする(この時は性格により)→大島・カナ、急接近 なつみ嫉妬→ズルズルと時間経過→パレード事件→なつみ激怒→カナ、自分のなつみへの思いに疑問を思い始める→カナ、なつみを元に戻す事を決心→カナ豹変→なつみ、大島・カナの仲を追及→カナ動揺(作戦が失敗する等の理由で)→なつみのレイプ事件を聞く→大島との関係に似ていて、自分(カナ)を真剣に心配してくれていると分かる、でも、やはり元に戻った方がいいのか等の葛藤によって混乱→カナ逃げ出す→逃げ出した途中で大島と遭遇→行く宛てもないので大島の家(アパートの一人暮らし)に泊まる事に→学校のトイレでのやりとり→カナさらに混乱→大島、カナとセックス(カナを案じて云々)→なつみのトラウマと同じ事をされた。でも、ここで耐えればもしかしたら元に戻せるかも(ここでの事故はなし)→カナ、大島と付き合う事に→3回目のデートで大島、カナの異変を語る→家でカナとなつみ、恋愛を貫く事を決心→大島を見直す→大島と友達に→『高校編 完』

『大学編』なつみ・カナは大学入学、大島は就職→三人とも同じアパートで暮らす(仕事場、大学に近い云々)→なつみ、大島と良く遊ぶように→大島、なつみに好意がある事を伝える→なつみ、きっぱりと断る→大島に同性愛の事を勘付かれる→二人の仲を大島に告白→なつみ・カナ、大人のセックス(快感を伴うセックス)→三人でお互いを理解しながら生活【友情愛】→カナ、突然の事故→記憶障害に→1日毎に記憶が薄れていく→前の日の記憶も無くなるから、朝起きる毎に自分達の事を伝える【家族愛】→ポラロイドカメラで毎日写真を撮り、それを証明に使う→毎日毎日、テープを巻き戻しては再生するように、曇った顔を写真のような笑顔にするのが日課に→それでも段々思考が薄れていって、最後には植物状態になり、カナ、他界→何日間も嘆き続けるなつみと大島→カナは何の為に生きていたのだろう→昔を思い出す→あの頃は愛の意味ばかり追いかけていた→愛とは何だったのだろう→愛の定義を論じる(2)→大島、なつみを誘う(慰め云々)→同じ過ちを繰り返すのか、となつみ、大島を罵倒→大島、本気でそれに応対する→大島の真剣さに応じ、なつみ・大島 セックス→なつみの恋愛観、揺らぐ→愛とは人との繋がりだと感じ取る→子孫繁栄とはどう異なるのか、何でこの感情が愛なのか、再び、愛は何なのか、問い掛ける(大島・読者共々)→なつみが大島に、責任を取れ、カナの後を継ぎ、愛というものは何か、体験し、体感し、体現する事に一生付き合ってくれという→『終幕』

稲葉祐子 批評課題3/危うさの狭間 2004年06月09日(水)23時03分29秒
▼課題と連絡:批評課題3/城所洋「私はあなたを○○しています」批評 への応答

批評が遅くなって申し訳ないです。作品がかなりの力作だったので、熟読していたら、締め切り時間を過ぎてしまいました。
まず、思ったのが、文章と文章の切れ目です。次へ繋いでいく技術、読ませる力は十分にあると思うのですが、少し表現に拘泥しているように感じられました。
そのせいか、軽い気持ちで読みきることができない作品に仕上がっています。
(もとい、テーマがテーマなので、軽い気持ちでなどとても読めなかったのですが・・。)
テーマとしては、かなり面白いと思います。同性愛と、思春期の少女二人、という設定が、とても危ういものに感じられました。どうなるんだろう、という展開のさせ方がうまいな、と思いました。
それから、主人公の感情が前面に出すぎている気がしたので、大島くんと、カナのキャラクター(私生活、人物像など)をもう少し書き込んだほうがいいように思われました。
とは言え、個人的には興味深い作品でした。もう少しメリハリをつけて書くようにしたら、もっと面白くなると思います。



雨宮弘輔 合評報告/エラー 2004年06月09日(水)14時49分25秒

【エラー】

 高校生の時、ブライアン・アダムスと、ミスチルに惚れ込んでギターを担いでいました。特に勉強もせず、部活もサボり、遊んでばかりいました。本もほとんど読まない典型的なダメ学生でした.
 そんなある日、ある教師がぼくに「君は小説を書いてみたらどうかな?」と提案してくれました。ぼくは「そんな暗いことはしたくないよ」と心のなかで思っていました。
でも今では、このザマです。
 さて今回の発表では、みなさんの感想、批評により、書いている自分では気付かない部分を沢山指摘してくれたことに感謝しています。
 指摘してくれた内容を自分がどのように吸収したか、述べてみたいと思います。

 多くの生徒に指摘された箇所
【この作品は『空からの回帰』のコラボレーションのように感じなかった】
 ●『エラー』を書いた際、確かにあの絵とストーリーを結びつけることは一見無理があるように思いました。でも自分の中では、それなりに絵とリンクをさせるように努力したつもりです。
 一体、どこにリンクさせているかというと……
[ 空 ] 屋上  社会的地位  彼女が求めていた幸福 レル・ガーランドの映画
              ↓ 
[ 回帰 ] 保障された幸福を捨て、飛び降り自殺をすること 結婚の反故
      「彼女」が死ぬことで、新たに望む生(退行と輪廻転生とでも言うのでしょうか……)

[ 水 ] 降り注ぐ雨 羊水  ……ということを書きながら考えていました。もちろん、読者に全て気付いてもらおうとは思っていません。それだけの表現力は自分にはありませんから。ようするに未熟者なんです。

【「一緒に死んでやろうか」と主人公は彼女に対し愛情を見せているのに、実際に死ぬとやけにアッサリしているのは何故?】
 ●高澤さんが言ってくれたように主人公は「生への執着心」が、ほとんどありません……というか、ぼくは主人公にも自殺願望があったという設定にしています。自分では気付かない部分で、『死』へのきっかけを求めていました。そんな『ぼく』が『彼女』(もしくは『彼女』が『ぼく』)に対し、シンクロニシティを引き起こしてしまい、「一緒に死んでやろうか」という科白が生じたということにしています。『ぼく』と『彼女』の意識は『接続』してしまった、ということにしています。
 最後、やけにアッサリした主人公の行動は『エラー』を起こさずに、機能している外の世界に戻ったためでもありますし、彼女が壊れて(死んで)しまったためでもあります。人と機械を同等に見ている主人公の結果です(あぁ、自分で説明していても、ややこしい……)。

 でも他に「主人公は死ぬつもりなんてなかったのではないか」や「単に作者が矛盾に気づいていないだけではないか」という見解を持たれても、いいと思います。物語には色んな見方があり、そこが書く側にとって面白いところでもあります。決まった読み方の固定なんてしない方がいいと思っていますから。


◇一人ひとりの意見◇

圓山さん→【キャラクター的に『彼女』が『君』という言葉を使うことに違和感】
 ●ぼくも彼女が主人公を指すときの言葉に悩みました。「君」よりも「あなた」の方が、しっくりくるように感じます。でも、その『しっくり感』が嫌でした。ぼくは『彼女』に対しては人間的な部分を出したかったのです。ちょっと、キャラが固定されていない違和感がある方が、人間臭さが出せるような気がしたのです(多分、失敗しましたけど)。
 それと、単にぼくが「君……」という人称代名詞を使う女性が好き、ということもあります。残念ながら、そういう方は少ないですが、時々遭うと何だか嬉しくなります……と、まぁ、ぼくのフェチを『彼女』に投影させたかったという願望もありますけど。

城所さん→【文章がスムーズ過ぎる。個人的にはドロドロしていた文体の方が良い】
 ●ぼくが物語を書くようになったきっかけは、高校の国語の授業からでした。生徒が書いた物語を他の生徒が読み、点数をつけるという内容でしたが(相当シビアな授業です)、その時に考えたことは「みんな、ドシロウトの書いた作品なんて読みたくないよなー。でも授業だから、しょうがないんだよな」ということでした。あの時、ぼく自身が他の生徒の中途半端に気取った文章を読むのが苦痛でしたから。
 そこで思い付いたことは「読み易い文章を書けば、生徒の負担を少しでも減らせるのではないか」ということです。ぼくは『我輩は猫である』や『天の夕顔』といった読み易いと言われている文体を参考にし、更に流し読みでもストーリーが頭に入るように『落語』を意識しました(あまり聴いたことがないけど)。その時に、このような面倒くさがり屋の生徒に対する、サービス精神を含んだような文章の癖が付いてしまったのです。
 ついでに小説家、保坂和志さんは「読み難い小説は残る」みたいなことを述べていました。ぼくもそう思います。

寮先生→【背伸びした物語。よく出来ているだけに『作り物』感】
 ●会社勤めをしたことがないだけに、そう指摘されると「そうだったのか」と思ってしまいます。なるべく会社や業務の描写を減すようにしましたが、やはり無理があったのでしょう。
 『作り物』というのは、ぼくがこの作品を創る際に悩んだり、もがいたりしなかったせいでしょうか。しばしば作家が小説を書く際に「産みの苦しみ」みたいな言葉を聞きますが、今回のぼくには、ほとんどそれが感じられませんでした。見事な安産です。単に書き進めながらストーリーを考えていただけです。今後、そのような感覚を持たれないように克服したいのですが、どうしていいかわかりません。


 この物語を書いて一番自分の未熟さを痛感したところは『彼女』を殺してしまったことです。『死』というものは、ショッキングなことで、それだけでストーリーになってしまいます。これに甘んじてしまったことに、まず反省しました。
そして、みなさんの意見を聞かせていただき、自分の文章を客観的に見るいい機会が出来たと思っております。―破けたヌイグルミのような雲―が良い比喩だなんて、自分ではまったく思っていませんでしたから。
 指摘して下さった良い点と悪い点を踏まえて、今後の創作に活かしていきたいと思います。
 それと、批評をしてもらっている時、内容だけ書き写すことに集中していたため、一人ひとりの名前を書き損なってしまいました。その後、「課題と連絡のページ」で意見を一人ずつまとめるという主旨が載せられ、焦ってその時の状況を思い浮かべました。


前澤貴仁 批評3/物語を頭の中から文字にする 2004年06月09日(水)11時57分53秒
▼課題と連絡:批評課題3/城所洋「私はあなたを○○しています」批評 への応答

作品の構想はおかしなところはない。日常の描写、光彩の表現力はすごくよい。読んでいて引っ掛かるところも目立ってはない。
 その分スペースのミスがとっても目立つ。違和感なく読み進めていけるから、ただ一点でもそういうのがあると気になる。作品として投稿するのならば文章校正は必要最低限のことだと思う。
傷つけられて行く過程がよくわからない。というものがある。それは僕の文章理解力が足りないためか。惨めになってどんどん傷つけていくなっちゃんを見るのがつらくて、とあるが果たして、それだけ傷つけられていく過程をカナが一緒にいる場面で描写されていただろうか?そんな思いを抱くからにはその原因となる場面がなくてはならない。作者の頭の中だけの完結話では、読者に伝えたいことは当然伝わらない。もし削った中にそんなシーンが含まれていたのなら、削ってはならないところを削っている。

個人的な意見として、何よりタイトルがよくない。
このタイトルを前にして、『あい』の二文字しか入らないんじゃないか?と頭は先に決め付けてしまったし、一番の理由として、なんか来ない。
物語の作法ホームページのどこかにあった、期待できそうという言葉をもらえるような、なにか来る―タイトルが欲しい。


余談ですが、このバッカップル、知り合いにいます。あぁ、もちろん片方はオスですが。なっちゃんがケモノで、かなちゃんは女の子です。

吉見幸子 批評課題3/簡単じゃない 2004年06月09日(水)11時36分44秒
▼課題と連絡:批評課題3/城所洋「私はあなたを○○しています」批評 への応答

200ページ、1週間以上かけて読ませていただきました。まずここまでの大作を書くことができた城所さんに頭が下がります。普段このような形で他の人の作品を見る機会というのはなかったので、新鮮だったし、驚きだったしといろんな感情でいっぱいです。まずは、お疲れ様でした。そして読ませていただきありがとうございました。
読んでいくうちに、私にとってはすっと読める作品ではなかったです。状況がつかめなくて考え込んだり、涙したりと大変でした。まずつまづいたのが『プロローグ』です。ここで全てを断言したのかとおもいきや、話の内容との差が大きいなと感じました。逆に『プロローグ』がないほうが、入り込みやすいのかもしれないなということも感じました。次はレイプの様子と後の状況、ここが一番分かりません。異性を書く難しさなのでしょうが、悲しみを感じました。カナが「本日を以って、樋口佳奈子は、普通の女の子に戻ります。」といった以降のカナとなっちゃんのやり取り、もっと膨らませてもよかったかなと思います。
登場人物、もっといてもよいとは思いますが、3人でここまで書くことができた城所さんもすばらしいと思います。一人一人に含みを持たせて話を進めていくことは楽ではないはずです。あと日にちで分けた理由を知りたいです。ジャンプの週間という性質のためのなかなぁ。と予想していますが、いががでしょうか?

室橋あや 批評課題3/性を取り上げたものは多いけれども。 2004年06月08日(火)23時57分05秒
▼課題と連絡:批評課題3/城所洋「私はあなたを○○しています」批評 への応答

正直な感想としては、あんまり入り込むこともどこどこが好きだということも出来ませんでしたが、友人達と久々に白熱した話ができて楽しかったです。ありがとうございます。そしてお疲れ様です。
一つ一つ気になった所を書いてみようと思います。
まずプロローグからなんですが、悩んでいる割には断言してますよね。レズだとかSEXが出来ないとか、子供は愛の結晶だとか。初めからショックを与えるためなんでしょうか。言い方が乱暴な気がしてならないんですが、それも狙いですか?
次に物語はなっちゃんの視点で語られていますが、時々でてくるいくばかという言葉は(3ページめの3行目など)あんまり馴染みがなかったので止まって止まってしょうがありませんでした。古い言い方らしいですが、他にもいろいろなところで出てくるカタカナ用語やら、影(シャドウ)やら、比喩表現なのか、学術用語なのか、説明があったりなかったりでなっちゃんの心情を書くなら必要ないのではないかと思います。むしろその言葉について長々と説明してくれた方が飲み込みやすかったかなと・・。
それから6ページあたりでカナと二人でデートするシーンがありますが、カナは今風の格好とあるのに、デニムパンツとピンクのTシャツとショルダーバックは、ちょっと違うんじゃないかと思います。夏はキャミソールとか流行の髪型とか、化粧とかマニキュアなんかがたくさんおしゃれの要素としてはあると思います。
あとは、なっちゃんの感情が盛り上がったときに必ず出てくる表現があったんですが、40ページの下の段のに「怖くて、痛くて、辛くて、悔しくて、苦しくて、悲しくて・・・」や「愚かさ、不甲斐なさ、軽率さ、」のように感情が似たような別の言葉で何回も何回も出てきます。どうも全体的に言い切りの形になってしまって、しつこいと感じることが多くありました。マイナスとプラスの言葉を同時に使っておかしなことになっているところもあったように思います。私の感覚だけの話なのでどうとも言えませんが、特に37ページの上の後ろから7行目あたりの「友情か?人情か?憤りか?嫌悪か?」はちょっとやりすぎに感じます。ごろもよくないです。
セリフでも最後に向かえば向かうほど繰り返しの表現が増えてきます。おそらく山場である58ページ上の3つめのなっちゃんのセリフですが、「私はあんたを愛してるだよ」になっていて、気分が一気に冷めた上に「不満かい?ええ?不満なのかい・・!?」とは女子高生はいくらなんでもこんなしゃべり方はしないのではないでしょうか?
そして、何が一番気になったかと言うと、度々出てくる、ヘテロになるとかレズになるという書き方です。キスをするだけでヘテロになったりレズになったり男とねたらストレートだとか、性癖は自分の意思でどうこうできるものでしょうか?
同性愛、異性愛、性癖についてはたくさんの作家が題材にしてきたものだと思いますが、少し取り上げ方が大雑把すぎる気がします。
当日には、なぜこれをゲイでなくレズビアンで書いたかを聞きたいと思います。

雨宮弘輔 批評課題3/AとYさんの意見 2004年06月08日(火)23時51分58秒
▼課題と連絡:批評課題3/城所洋「私はあなたを○○しています」批評 への応答

 ほとんど無味無臭。この小説を読んで最初に、そう思いました。ライトノベル特有のモノか、この話に出てくる主人公に特徴をつけるためか、わかりませんが「文章も、ストーリーも軽いな」という印象を受けました(取り扱っているテーマは重いのですけど)。その軽さが「私はあなたを○○しています」という作品の良い部分でもありますし、悪い部分でもあります。
 ただ、主人公の心情や、沢村さんとカナちゃんが抱き合っている箇所は他の部分を削ってでも、もっと書いてもいいと思いました。せっかく『主人公が同性愛』で、しかも『ベッド・シ−ン』があるのだから。
 例えば、人と人が抱き合えば、体臭かなんかのニオイが発生するし、それが鼻腔を刺激することによって興奮もします。キスをすれば唇の表面がこそばゆくなるし、他人の唾液が肌に付着することへの違和感もあります。そこを追い求めていくと官能的な小説になり過ぎてしまうかもしれませんが「ちょっとは必要ではないかな?」と思いました。
 もし沢村さんのレイプという経験から「男性に自分が得たモノ(ヒト)を盗られるのが嫌だ」という心情で、これら感情的なことをあまり感じずにカナちゃんと抱き合っているのなら、こんなハッピーエンドはありえないと思いますし。
 僕もジャンプ・ノベルを随分前に数回読んだことがあります。もっと「果たして少年向けか?」と首を傾げてしまうような内容もありましたから、多少『艶』があっても、大丈夫だと思いますよ(ペドフィリアな部分が書かれている作品や、越智さんの述べていたような内容のモノもありましたし)。でも僕は審査員ではないので『女性の同性愛』というテーマがジャンプ・ノベルの求めているものであるかどうかは判りません。受賞の前例を見ても、悩んでしまいます。

 まぁ、ここまでは作品の『内容』で僕個人の好みの問題でもあります。

 全体の作りとしては『プロローグに主人公の考えが一気に述べられてしまっていること』と『月日が記してある』、『朝から始まるシーンが多いこと』に「ストーリーを運びやすくしているな」という感想を抱きました。これは悪いことではないのですけれど、僕は『主人公の考え』、『時間の流れ』を「いかに上手く文章中に織り交ぜていくか」が作家の腕の見せ所となる部分だと考えているので、城所さんの取られた手法はもったいない、と感じました。
 以上、こんな意見です。

 ただ、この小説は長編とだけあって一回読んだくらいでは、わからないと思います。僕の読みが浅くて、こんな意見に辿りつく結果となってしまっていたら、ごめんなさい。
 最後に、男性の方がこういったテーマに取り組むことに、僕は「凄いなぁ」と感心しました。それも原稿用紙200枚。そこまで書ける人は、少ないと思います。城所さんには、今後もこういったことに挑戦する姿勢を保ち続けていって欲しいです。


千田由香莉 批評3/愛のかたち、僕らのかたち。 2004年06月08日(火)14時52分34秒
▼課題と連絡:批評課題3/城所洋「私はあなたを○○しています」批評 への応答

 (感想) 途中挟まれていた”雨の中でのキス”のエピソードに差し掛かると同時に、私の中で「タトゥー」(懐かしいが(笑))の♪タララララ〜タララララ〜♪というメロディと共に、プロモーションビデオの映像が流れてきました。これだけの長いものを書くという事はすごく大変で、力量のいる事だと聞いていたから、素直な感想は一言、「凄いな…」です。こういう感想の表現はあまり好きではないのですが、いち読者として、某ネット小説からブレイクして映画化されるとかされたとかで話題の作品よりも……面白かったです。

(批評) 落選の理由を考えてみた。やっぱり、ジャンプの内容ではないかな…。という感想があがった。少年誌には不向きであり、何より内容が”女性”の同性愛者。男の子の共感は得がたいと思う。それに小中学生も読む年齢層の広いポピュラー雑誌。女性向けの雑誌だったなら…もしかしたら…?!と思えた。が、最初12ページまでは正直読んでいてしんどかった。主人公の性格や言動がいまいち掴めなくて、カナという存在のあり方も微妙に感じてしまったからだ。「〜なのかい?」という語尾が気になって気になって…。こういう話はやはりどうしても「異色作」と括ってしまい、別世界の物語に思えてしまい、魅力が半分も伝わらないのかもしれない。だから、セリフにもリアリティが普段の2倍は欲しいと感じた。どうみてもそこらへんを歩いている高校生、でも同性愛者。そういうギャップがセリフを通さずともこの物語の世界を彩ってくれるのではないだろうか。
13ぺージ以降、段々乗ってくるにつれて私も同時進行で展開と共に一気に転がっていった。主人公が嫉妬するシーンや、風邪でしんどいシーン。喩え方が目に浮かんですらすら読めた。ラストは、予想していたようで予想できなかった。こうなる、のか?と思ったら肩透かしをくらって、こうか?と思っていたらまた…という意外性を突かれっぱなしだった。欲をいえば、ラスト…もうちょっとのひねりがほしかったかも。でも、こういう話はディープで暗くなりがちだけれども、読後、それほど暗い印象を持たなかったのが不思議。ハッピーエンドというせいもあるかもしれないけれど、それだけじゃなくて、主人公の”孤独”である、とか”私は…だ。”といった類の内象的な感情にのみスポットを当ててで綴るのではなく、カナという同級生の女の子という恋人への感情を通して語ることによって、息苦しい圧迫感がなく、気分よく読めたのではないかと思う。次回作、期待してます☆


五十嵐 舞 批評課題3/安易に・・・使って欲しくない。 2004年06月08日(火)12時16分13秒
▼課題と連絡:批評課題3/城所洋「私はあなたを○○しています」批評 への応答

城所君の作品を読んで率直に思ったことは、はっきり言って作品をだすところを間違えたと言っていいのではないだろうかと思っています。もし、このテーマでいくのなら、もっと違う投稿の仕方があったように感じます。このテーマを扱うにしては言葉が安易に使いすぎるきらいがあるように感じました。言葉は諸刃の剣である・・・私の穿った見方かもしれないが、城所君の書いた彼女らの行為の描写の書き方があまり気持ちのいいものではなかった感じを私が受けたのも事実です。それは置いといて、作品のそのもののいい点と悪い点を挙げるので後々の参考にしてもらいたいと思ってます。あくまで私個人の意見でありますが。
 作品自体、読み物としてはある程度の完成度はある感じを受けました。ただ、上でも挙げたとおり、城所君の文章の書き方にはいささか矛盾に満ちている部分があります。あるところでは、露骨に直接的表現をしていると思えば、こちらでは遠回しに表現しているという一貫性がないし、最後のほうはあれよあれよと急展開しすぎて後味が微妙でした。(いいとか悪いとかじゃなくて??が浮かびました。)
また人物の設定、世界の設定自体にすこし無理があるように思えます。特にカナの服装にしろ、環境にしろ・・・もっと学校をメインの舞台にして物事を進めれば、読み手側に違和感を覚えさせずにもっと大島君の絡みなどが活かされていくのではないだろうかと思います。また、多くの方が指摘していますが、登場人物の少なさも気になるところです。もうちょっと,クラスメートが一、二人いても物語をうまく展開出来るし、そうすれば、もうちょっとフィクションだけどリアル感が出てくるのではと思う。元々のテーマ自体現実感がないのだから、もうちょっと人物や世界の設定を細かくしたほうがもっとこの物語に厚みがでてくるし読み手にも入り込みやすいと思いました。
 私が思うに城所君のこのテーマを書くには研究不足だなと思うし安易に書いていいものではないと思う。同性愛をテーマにした、特にレズビアンを扱った先例があるのだから参考に読んでもいいのではないだろうかと思ってます。また、地の文で説明できるところ(ニュアンスが伝わるところ)をまた会話で出てくると少しクドイように感じられる部分があったし、もうちょっと抒情的・情緒というものがほしい感じもうけたし、やはり男からみた同性愛という感じが最後まで抜けきらない感じがありました。
いろいろといいましたが、城所君ならできると思うのでちょっと耳が痛いぐらい厳しい意見を書きましたが物語自体は好みではないのですが、このテーマを扱って書こうとしたことは評価したいですが如何せん勉強不足が見られます。ですが、城所君自体がこれをバネにして伸びると思ったので、私なりのきつい意見を述べさせていただいたわけです。
 ひとつ、疑問に思ったのは読者のターゲットって考えていますか。とくにこういう手の特殊なものは、女性読者が好むというか読んでくれるのでその辺も考慮して書いたほうがいいかもしれません。それは城所君だけではなく皆さんにもいえることですが。
個人的には大島君のキャラが好きです、早くいい彼女見つかるといいなと思います。性格的には同類のように感じるのはなっちゃん・・・かな。同性からみてというか性格的には会わなさそうなのはカナでしょうか(笑)

これにめげず、どんどんいい作品を出してください。次回作を期待して待っています。


滝 夏海 批評3/設定とは周りに滲み出る物である 2004年06月08日(火)02時23分21秒
▼課題と連絡:批評課題3/城所洋「私はあなたを○○しています」批評 への応答

 「この作品の主張を述べよ」と言われたら、私は困ってしまうでしょう。プロローグやストーリー展開を見ると、同性愛を中心とした「愛の定義」をテーマに扱っている作品です(この時点で違っていたらすみません)。作者自身も掲示板で「異性愛と同性愛の視点を」と書いてます。けれど、私が読む限りこれは異性愛の視点でしか書かれていません。いくら言葉でレズレズ言っても、その他の発言は「異性愛万歳」としか聞こえないのです。世の中に増え始めたファンタジー的な女性の同性愛もの(所謂百合もの)以上に、なまじ「同性愛と異性愛との葛藤」という形を使っている分差別的に見えてしまうところもあります。作者の意図とは外れるかもしれませんが、この作品なら例えば「樋口と沢村の間に起こる動きを大島サイドから見つめる物語」も成り立ちます。何故作者はこの形を使ったのか、何故同性愛なのか、授業ではまずそこについて聞いてみたいです。
 物語の内容や構造についでてですが、登場人物が少ないと思います。教室や帰り道などワンシーンだけでいいんです、日常を描いた場合周りの人を書かないと薄っぺらいものになります。樋口と沢村の関係も、他の女の子を出して対応の差をみせないと「恋人」という設定が説明だけで終わってしまいます。
 その他にもいろいろと気になる部分はありましたが、全体的にみてやはり設定の掘り下げ方が足りなかったのではないでしょうか。キャラ設定然り、物語の設定然り。掘り下げた物を全部書く必要は無いし、掘り下げなくても書けてしまう物もあります。けれど沢村の口調や地の文の描写など今回違和感を感じた部分は、掘り下げて突き詰める事で回避できたかもしれません。
 最後になりますが、この小説は非常に中途半端な位置にあるという印象を受けました。日常にしては波瀾万丈、メロドラマ的展開にしては前半が普通、青春恋愛物にしては愛について解説しているし、かといって大人かと言えばそうではなく良い感じに高校生のばかっぷりが発揮されている。作者がどこかで迷いながら書いたのでしょうか。個人的な意見ですが、キャラにもっともっと針が振りきれるほどステレオタイプな枠をくっつけ、後半の数日に絞り込んでぎゅっと詰まったストーリーでがんがん読者を振り回してしまった方が、そのステレオタイプと城所さんとのズレが良い意味で出てきたかもしれません。たぶんそっちの方が漫画向きといえば漫画向き。

土橋明奈 批評課題3/揺らぐポーズ。 2004年06月08日(火)01時22分41秒
▼課題と連絡:批評課題3/城所洋「私はあなたを○○しています」批評 への応答

面白かったです。、終始微笑ましく読ませて頂きました。
恋愛がテーマの話を読んだの久しぶりでわくわくでした。
ライトなテンポで読み易かったです。
大島君が可愛くて大好きです。

なっちゃん視点で進む文章形態について。なっちゃんのしゃべり方が特殊である事は良いのですが、それが一定に定まっていない事が気になりました。加えて、性格設定も不安定の様な気がしましたが、ストーリィ展開上の歪みでしょうか。
それに、しゃべり口調で句読点が入るのは読んでいてとてもウザったく感じます。
もう少し「、」を減らした方がもっと読み込み易くなると思いました。
そして、一番気になった点は、丸括弧()の使い方です。そんなに必要なのかと。何の為に()で括っているのか、気になって気になって・・。
読んでいる内に何だかそう云う味なのかとも思いましたが、やはり違和感。
人物像について。主な登場人物の3人は様々に可愛らしく好感が持てました。
主人公である沢村(なっちゃん)氏は雄々しいやら女々しいやらエロいやら。一般的女子高生から色々な意味で逸脱して居り、そう云う設定と取るべきか単に女の子を描ききれていないのか判断し辛い部分が多々。
ヒロイン?役の樋口(カナ)氏は夏場にロングヘアを下ろしっぱなしで暑く無いのでしょうか。恋人のなっちゃん視点からなるカナちゃん
は可愛さ炸裂に成らざるを得ない。主格であるなっちゃんより客観である分理解しやすい人格でした。
上記2人の性格はやはりと云うのも何ですが、男の人が描く独特の有り得なさとウザさが(特にカナちゃん)含まれていました。
それも可愛いのですが。
当て馬な大島氏は一言で云うと可愛いお人好し。人畜無害なキーパーソン(なっちゃんにとっては違いますが)な彼はほっとさせてくれるオアシスでした。
その他。
・プロローグはなっちゃんの詩的独白?にて、なっちゃん的に何時の時点の発想なのでしょう。本編内容と差異があると思うのです。
・あまり季節感が感じられない。夏っぽさが無い。クーラーと中庭位。
・そもそも、女の子同士にする必要はあるのでしょうか。ストーリィだけで云うならなっちゃんが男でも通じる話で、女の子同士だからこその展開を期待したいものです。
・過去の体験と性癖と愛の対象のカテゴライズの相関が分かり辛かった。
・どの層の読み手向けなのですか?

大団円の良い話なので、もう一度濯ぎを入れたらもっと良いですね。

滝 夏海 合評報告/脱出 2004年06月08日(火)00時43分41秒

【脱出】

【合評会での意見のまとめ(発言順)】
城所さん:現実を引きずっている性格が面白い。「ここから出る為に」の「ここ」とはどこなのか。

土橋さん:最後の方で語尾の「た」が続くのは、良くもあるが違和感もある。特にラストの一行が気になる。

高澤さん:漫画を読んでいるみたい。読みやすい。ゲームという説明はないが、わかる。

松本さん:ゲームという日常で親しみのあるものに近いので、読みやすく、食い付きやすい。『リセット』というのがポイント。

野島さん:次々に読みたくなる。あっという間に読めてしまう。

稲葉さん:面白い構造をしている。映像で見せられているようで、想像力がいらない→逆に入り込みにくかった。

【合評を終えて感じた事】
 合評会・掲示板での色々な意見感想、ありがとうございました。自分の見えていた部分と見えなかった部分などの学ぶべき箇所以外に、意図しない効果など面白いものもありました。
 合評会、及び掲示板での感想で一番多かったのは「漫画ようで読みやすかった」というものでした。私自身、松本さんが掲示板で「「今」っぽい」と書かれたように、ライトノベルズの文章感覚を特に意識してやっていました。雰囲気やリズムが「漫画のよう」なのは狙っているのでいいのですが、逆に書き込みすぎ・説明しすぎて「漫画のよう」になってしまう部分もあり、この加減がまだまだできていません。でも今はこの書き方が自分に合っているようなので「漫画のよう」が欠点にならないよう、上手くつき合っていきたいと思います。
 今回の課題では、この物語に辿り着くまで4つの設定を考えました。「絵の少女が自分につけられていく物語に反発して自分の意思で動こうとする」話から始まり「少女二人が研究所から逃げる」「羽を与えられた少女となんでも見える眼を与えられた少年が世界から逃げる」「アドベンチャーゲームの主人公がプレイヤーと会話をしながら(でも全て主人公の台詞だけで)謎を解いていく」と少しずつ変化しながら提出版になりました。掲示板の方で「あの絵からゲームが出るとは思わなかった」といった事を何人か書かれていますが、アドベンチャーゲームの好きな私にとってあの絵に描かれている邪魔そうな位置の階段や扉の横の電気コード・狭い廊下などが操作ポイントにしか見えなかっただけです。捻ったのではなく。
 また、城所さんが「絵のシーンがこじつけっぽくなってしまってる」と書かれていますが、その通りです。提出した前の日に設定を思いつきその夜書いているので、文章の長さ以前に考察する時間が足りていません。その足り無さが土橋さんが言っていた「ラストの一文と前の文との流れが気になる」に繋がっています。自分でも気になっていて、粗さと迷いが一番出てしまった部分でしょう。作者の迷いがダイレクトに伝わってしまうという良い勉強になりました。
 意図しない効果としては「リセット」の扱い方がありました。それ程深く考えずに書いたので合評で「リセットの利く怖さ」と聞いてから、逆に自分で納得してしまったくらいです。書き直す時は、この怖さをもっと押し出してみても良いかもしれません。
 これから先、今回出た意見を参考にしながら少しずつ作品を長く書く訓練をしていきたいと思っています。

高澤成江 批評課題3/色々なセリフ 2004年06月07日(月)17時31分49秒
▼課題と連絡:批評課題3/城所洋「私はあなたを○○しています」批評 への応答

「私はあなたを○○しています」読ませていただきました。長い文章だけど全く苦にはならず一気に読めました。読みやすい文章でした。起承転結がはっきりしていてしっかりした文章だなあ、と感心しました。
気になった部分は、いつも朝から始まる、ということです。朝のシーンはいらない場面もあったのではないでしょうか。あと、なっちゃんと大島君の喋り方に違和感を感じました。なっちゃんの喋り方はキャラ作りの為だと思うのですがちょっとやりすぎな気がします。実際こうゆう喋り方してる子がいないからだと思いますが。大島君の喋り方も、実際にはいそうでいない感じが・・・。「ちっス」とかあんまり言わないんじゃ・・・。
レイプ告白後のカナの態度はあんまりだと思います。え!そんなこと言う!?みたいな感じで驚きました。友人、ましてや恋人からそんな告白をされたらレイプした相手を憎むのが普通だと思います。恋人のほうを責めるのは酷すぎではないでしょうか。
SEXシーンは普通にHさせちゃってもよかったのではと思いました。なんで二人は裸なのにキスしかしないんだろう?って思いました。
カナが事故って大島君がカナと寝たってなっちゃんに報告したとき、「カナには、他に好きな人が居るんだ」ってなっちゃんが言うシーン。大島君にとっては二股掛けられてたってことなのに大島君全然気にしないのもちょっと気になりました。大島君、良い奴なのか鈍いのか・・・。良い奴でしたけどね。
前半あまり動きがないのに、後半いきなりバタバタする印象があります。前半の削れる部分をなるべく削って、後半にもっとページをあげると勢いのある後半に読みごたえが増しそうだと思います。
あと、個人的な意見ですが・・・男は、股さえ開けば女は男を受け入れた,と思いそうなもんですよね。可愛そうな大島君・・・。

私はハッピーエンドが好きなので、この話もハッピーエンドで嬉しかったです。

露木悠太 批評課題3/○○に水を足して飲みやすくする 2004年06月05日(土)03時56分32秒
▼課題と連絡:批評課題3/城所洋「私はあなたを○○しています」批評 への応答

前に僕は『原液に水を足して飲みやすくする』ようにして作品を作っていると雑談板で書いたことがあるのですが、例えばこれを城所さんの『私はあなたを〜』に当てはめてみると、僭越ながら、薄めすぎているように感じます。枚数制限により削った箇所もあるとのことですが、もしかしたらその部分に内容を濃くするものがあったのかもしれません。だとしたら、切り取るようにして削ってしまうのではなくて、話をシャープにしていくように削ってみることを一つ、頭のどこかに置いておくと良いと思います。また、改行の位置を工夫してみればもっと枚数は収まるのではないか、とも思いました。一文から二文程度で改行している箇所が多く見られたのですが、繋げてしまっても問題ないのではと感じるところが沢山ありました。ウェブ上に提出するにあたってのものだったら申し訳ないのですが。
内容としては、どうしても細部のひとつひとつに軽さを感じてしまいました。同性愛者やレイプ被害者、それに触れる人。細かく言ってしまえば恋人(まわりには友達)と半同棲していること、共働きで忙しい親、等。場面について言えば、範囲が狭いということは問題ないと思うのですが、『朝起きて目覚ましが鳴る、学校に行く、屋上で昼食』という流れが途中でマンネリ化してしまっていたように感じました。物書きに必要だと言われるもののなかに、『取材力』という言葉を耳にしたことがあります。それは僕が思うにまったくその通りの言葉で、読者を物語に惹きつける(離さない)ためにはとても重要なものだと思います。別なものとして、私小説にも挑戦してみてはどうでしょうか。
タイトルについてですが、これも読者を物語に惹きつける重要な要素だと思います。『私はあなたを○○しています』で始まるわけです。僕はこの課題のタイトルに『○○に水を足して飲みやすくする』と付けたのですが、その一行目で答えを書いています。どうでしょう?これでは何かもったいない気がします。せっかく『タイトル』という武器があるのに、その力が半減してしまっているように感じます。前に寮先生も雑談板で似た感じのことを言っていましたが、やはりタイトルは大事です。もしかしたら一番最後まで迷うところかもしれません。

最後に、一つの小説として。テレビの番組終了後のテロップのように、次から次へと文を読み進めることができました。『長い』と感じさせない文力があります。でも時には読み手を止めてしまうような場所、途中で考えさせられてしまうような場所、そんなところが欲しいと感じる作品でした。難しいテーマや人物設定ということもあって、悩んだところも多いかとは思いますが、例えばこの物語の主人公に似たような境遇の人が読むと考えたら、少し違った形になったのではないでしょうか。デリケートな問題を扱うときには、いつもよりさらに注意が必要です。と僕は思います。とはいえ、城所さんの作品の提出のスピードにはいつも驚かされています。文を書く癖というものがしっかりと身についているのだと思います。だとしたら次は、創作物を熟すことを目指してみてはいかがでしょうか。
読者、批評家、編集者。この三つの観点ということで、少し辛らつになってしまったかもしれません。が、どうぞしっかりと一番に自分を置いて、これからも作品を作っていって下さい。

松本紗綾 批評課題3/…アイ…! 2004年06月05日(土)00時17分15秒
▼課題と連絡:批評課題3/城所洋「私はあなたを○○しています」批評 への応答

先ほど、書ききったところで誤って消してしまったので、もう一度書きます…

みなさんも書かれていますが、私もさらっと読めました。
最初、読めないかも…と思っていたのが嘘のようです。
しかし、「レズビアン」「レイプ」という話題をさらっと読めてしまったのは、どうなのか。と思ったので、そこから批評をしていきたいと思います。

まず、日にちではっきり分けられている点。
これは、わかりやすい反面、単調に感じてしまったような気がします。その単調さが何気ない日常と結びつくという城所さんの意図かもしれませんが。

次に、「レイプ」関連について。
なっちゃんがカナに話す。という形で描かれています。とても許されることではなく、重い話題なのに私はなっちゃんの心情ほどは心に響くことがありませんでした。「レイプ」について描いた小説ではないからかもしれませんが、この中で「レイプ」というものは大きな事件だと思うので、もっとしっかり描いた方がよかったんじゃないかと思いました。リアルに…や、生々しく…と言う気もありませんし、生々しくすればいいかといわれれば、それもどうかと思いますが。
そして、聞いた後のカナの反応。
「そりゃないよ〜」これが正直な私の反応です。
男性側の言い訳としてならば、わからなくもないですが、女性が(しかも、恋人が)こんなことは言わない(言えない)と思います。カナらしさを求めたのかもしれませんが、いくらカナでも…と思いました。

そして、登場人物の少なさ。
なっちゃん・カナ・大島の3人で主に話が動いていますが、あまりに少ないように私は感じました。3人の特徴も、王道というか、どこかで見たことのあるような感じがしてしまいました。そして、(小説の)世界をとても小さく感じてしまったのです。字数の制約や、城所さんの意図などあるのだろうと思いますが、もっと広い世界のこの話を読んでみたいと思いました。
世界の狭さに関連し、やはり、展開が早いと思いました。
次々とあらゆる事件が起き、時間が過ぎる。時間の面でも、もっと広い世界のこの話を読んでみたいと思います。

最後に、なっちゃんの話し言葉。
なっちゃんの話し言葉に、私はとても違和感を感じました。例えば、2ページの『どうせ、今日も弁当でしょ?だったら、学食で食べるのは変じゃないか?』という部分。
〜でしょ?と、〜じゃないか?は、同じ人が、同じテンションの時には言わないのではないかと思いました。〜でしょ?と〜じゃない?や、〜だろ?と〜じゃないか?なら、少なくとも私は違和感は感じません。そして、私なら前者の言葉を選択すると思います。

全て、これほどの小説など描く事のできない私の勝手な意見です。
全体では、「レズかぁ」「レイプされちゃったよ…」「うわ、こっちもレイプ…」「え〜、事故ちゃったよ〜」と、城所さんに振り回された感じです。
これほどの長編をどのようにして描き上げたか、聞いてみたいと思いました。
(私なら一番描きたいと所を見失ってしまうと思うのです。)
最初と最後を描いてから中身を詰めたのか、素直に最初から描いたのか…

菊池佳奈子 批評3/リアリティ 2004年06月04日(金)22時28分52秒
▼課題と連絡:批評課題3/城所洋「私はあなたを○○しています」批評 への応答

【城所洋/私はあなたを○○しています】

200枚の大作!ということである程度覚悟して読み始めたのですが、意外とすらっと読めました。
読者に読みやすい物語の流れや文体、すごいと思います。
ライトノベル風であるからかもしれませんが、読みやすく、流れもまばらになることがなく、小説を書く基礎の力をすごく感じました。
結構むずかしいことですよね。すごいと思います。

ただ、「レズビアン」や「レイプ」という非常に難しいテーマが織り込まれているのに、あまりにも軽く書き過ぎなのではないでしょうか。
越智さんの批評と同じになってしまうのですが、私も「レイプ」に関してのカナの反論はおかしいと思います。
正直、あんなことを思う女の子はいないと思います。
そもそも「レイプ」などはそんな軽く扱えないはずです。
「レイプ」というのは女性の尊厳を無視した行為であるし、それで傷ついた彼女達の傷はとても深い…。
それを簡単にカナやなっちゃんのように克服できる人は少ないのではないでしょうか。
途中にでてくる「好きだったから」なんて言い訳は男の側のものでしかないと思います。

私は昔、「レズビアン」といわれる人々のチャットコミュニティに入ったことがあります。
実際、女の子同士のカップルさんのお友達もいます。
彼女達は決して自分達のことを「レズ」といいませんでした。
曰く、「レズ」というのは男性からみた女性と女性との性関係のことを指すのであって、自分達は違うのだと。
大抵の人は「ビアン」と言っていました。
これが「レズビアン」の人全てに通用する考えかどうかはわかりませんが…。
あと、そういう方って大体ヘテロのことをノンケって言う気がします。
これも実際私自信ストレートなのでどこまで通用するのかわかりませんが…。
少なくともヘテロという難しい言葉は使わないのではないでしょうか?
ストレートとかならまだそこまで違和感がないのですが…。

全体を読んでいて、とてもフィクションだなと思いました。
作者の「愛」に関する想いはすごいと思うし、あの量を書ききることもすごいと思います。
でも、やはり男の人の目から見て女の子の主人公でしかも「レズビアン」というのは少々難しいのかなとも思います。
どこか作り物の人格で作り物のストーリー。
物語の中に作者さえ介入しておらず、ただ「愛」に関する観念的なことばかりがある気がしました。
もっとキャラクター作りとかエピソードに深みをもって取り組んでみたらどうでしょうか?
文章力があるのだから、書ききることはできるはず。

ちなみに漫画ですが小野塚カホリの『愛奴』という作品がこの城所さんの作品と扱っているテーマが似ています。
「レズビアン」や「レイプ」「セックス」から愛を導こうという。レディスコミックスですが参考にしてはいかがでしょうか?

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管理者:Ryo Michico <mail@ryomichico.net>
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