「物語の作法」掲示板 (0020)

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奥野美和　3D「ホーリーホールボーン（つづき）」 2003年03月09日(日)01時39分29秒

　サトシの部屋の冷蔵庫にはいつもコーラの大きいペットボトルが入っている。１日一本飲むらしい。「俺の体はコーラと煙草でいっぱいなんだろーなー。真っ黒！こえー」なんて言う。私だって怖い。すごい体に悪そう。死ぬよ、サトシ。不安だよ。ああ、なんですぐ不安を見つけちゃうんだろう。昨日までコーラのことなんてすっかり忘れていたのに。でも、本当に心配。不安。普通の人にはコーラは毒じゃないかもしれない。でもサトシの飲み方は普通を越えている気がする。
　
　シャワーを浴びてサトシが出てきた。パタン。冷蔵庫を閉める音。「あーうめー」大きなペットボトルごと飲みながらベッドに座る私の後ろに座った。トスン。「ナナカ、ちゃんと髪乾かさないと風邪引くぞ。ほら。」先にお風呂に入った私の頭を後ろから拭く。この手が永遠に私のものでありますように。目をつむる。うとうとしていると頬っぺたをつねられた。「イタイよ、ばか！」「お前だけイイゴミブンだからだよ！俺のも拭け！」そう言って髪をくしゃくしゃにしてきた。私はキャアキャア言ってサトシの手を握る。「わかった、わかりました、今拭いてあげるから。」少し振りかえってサトシに言うと、後ろからサトシが腕を回してきた。深呼吸。サトシは顎を私の頭の上に乗せた。また深呼吸。まだまだ慣れない。ドキドキする。サトシが好きだと思う。愛とかはわからない。ただ好きだと思う。そっと私の胸の前に回ったサトシの腕に触れる。ふう。きちんと呼吸を整えないと倒れちゃいそうだ。同じにおいのする髪。甘い沈黙。温かい空気。「サトシ、わたしずうっとサトシが好きだよ。」手の甲にキスをして言う。「きっとこれからもずっと」続けて言う。気持ちを口に出さないと苦しかった。伝えたかった。サトシに、私の好きを。

　しばらく黙っているとサトシが口を開いた。
「うん……。でもさ、ナナカ。ずうっとなんてわかんないよ。そんなの」

　ひゅうっと吸いこまれるような気がした。目玉が奥の方に吸いこまれそうな気がした。心臓が変な音。「わかんない？」振り絞るように声を出す。あまりにも弱弱しい声だったようでサトシがハッとして言う。「あ、ほら、未来はわかんねーよ、ってことだよ。こんなことでションボリすんな。な？　ナナカちゃん。」頭を撫でで頬にキスをした。

　それから胸と胸をくっつけて、寝転がって、私は不安を消すように、サトシは発言を消すように夜を越えた。

　その日から、なんだかねっとりとしたものが足にからまって上手く歩けない日々が続いている。サトシは相変わらず忙しい、忙しいと言っている。学校にも来ない。フリーペーパー仲間とイベントをやるとか何とか。よくわからない。電話をすれば留守電に転送され、メールは３回に一回返事が来れば良い方だった。私は「ずうっとなんてわかんないよ。そんなの」この言葉の意味を探していた。私たちがお互いが世界だった頃、「好き」と言えば「私も」「俺も」と言ってどちらかが吹き出すまで見つめあった。飽きなかった。デートが終わると寂しくて家に着いたら電話したりしていた。「会いたい」と素直に言えた。サトシも同じ気持ちだと思えていたから言えた。今はこの言葉も言えないでいる。忙しいサトシに負担をかけたくなくて不安と眠った。「会いたい」なんて言えなかった。深刻になったら駄目だと思った。サトシは私が落ちこむのを見たくないようだった。涙が出た。なんとなく、もう終わるんだと思った。こういう風に終わって行くんだ。恋は溶けてなくなっていくんだ。もう駄目なのに私はまだサトシに好かれようとしている。嫌われたくなくて固まったままだ。

　「恋人」に憧れていた。自分の男の子が欲しかった。初めて恋をして、いま、初めて終わりを感じている。いっぽいっぽ近づいているのがわかる。やっぱり終わりってわかるみたい。電車に乗っていても突然涙が止まらなくなったりした。もう、おかしいなあと思った。でも自分から別れようなんて言えなかった。私はサトシを好きなままだ。

　学校では、みんなのくだらない話に助けられた。時たま「サトシくん、最近学校で見ないね」なんて言われて「あいつ自由人だからねー」と適当に流して笑った。

続く

杉井武作　26Ａ「boー」 2003年03月05日(水)15時22分55秒

もっとぼーっと　なれたらなー

いっしょにぼーっと　なれたらなー

ひなたであくびする

わこうねこみたいに

ひなたでこうごうせいする

ぽぷらなみきみたいに

きみはよわくてとか

いわれるたびに　かなしくなる

あたしよわくてとか

いわれるたびに　せつなくなる

ぼくをみて　すいっちいれなくて　いいよ

あたまなでたら　もどるかなー

くちうごかすの　やめにして

みなみのしまを　いっしゅうしよう

うれしいことも　かなしいことも

つたえなくても　いいくらい

きみとぼーっと　なれたらなー

越智美帆子　14A　憂鬱しずかちゃん 2003年03月05日(水)01時14分19秒

ぴちゃん　　　　ぴちゃん　　　ぴちゃん
ひかりが　　　　みなもに　　　ゆがむ
ぴちゃん　　　　ぱしゃ　　　　ぴちゃん　　　

お風呂で何度もこそぎ落としました。
何度も何度も。

ゆげ　　　ゆげ　　　ゆげ　　ゆらぐ　　　ひかりに　　ゆがむ

お風呂が好きです。
入るたびに生まれ変わる。
でも。
私は誰。
タイルに移った顔が笑う。
私は誰。
沈みましょう。沈みましょう。
光は泡となって、上る、私は沈む。

ぶくぶくぶく　　ぶくぶくぶく
ゆらぐ　　しろい　　からだ　　

私は胎児になりました。

越智美帆子　13A　唾液 2003年03月04日(火)05時05分02秒

「本当、まじ殺すよ？」
本当に本気で殺すよ。まったく、今にも流行の少年犯罪が起こりそうな勢いだ。けれど、別に本気の言葉ではない。だって、あたしはキレイにマニキュアでコーティングされた爪をいじりながら、この言葉を発したのだから。「まじ」という言葉は、「本気」をどこか緩和した意味を持つのだ。
　まじ殺す、と言われた相手は、多少ビビって苦笑しながら「ごめん、ごめん」と言って、１万円を３枚きっちり机に置いた。値切るなんて、百年早い。大人の皆様、当初の約束はちゃんと守りましょうね。ガキだと思ってなめてたらいけませんよ？８歳の子供が放火やらかす時代、サイバーテロも蓋開ければなんとまだ中学生でした、だなんてザラ。甘っちょろいエリートさん、せいぜい指加えてあたしたちの短いスカートの中身、想像しててちょうだい。妄想だけは豊かなおじ様たち。
　さて。見事３万円をせしめたところで、あたしは本屋に直行した。あたしは善良な中学生。この３万円は、クラブでぱーっと薬でもきめて徹夜で踊り狂うか、じゃなくて、青山ブックセンターで見つけた、バカでかいフランスの写真集に使うのだ。こないだふらっと寄ったとき、思わず見とれた、重厚なケースに入ったその写真集は、全てにおいてセピア色一色で、チャップリンのような男と大きな卵が不思議なアングルで延々と写されたものだった。その写真集の評価がどのくらいのものなのかは知らないが、値段相応以上の価値があると思った私は、安い買い物じゃないかと思い、手に入れることを決意した。そのお値段１万８千円。テレフォンショッピングにて、さあ、奥さんこれは安い、今日はこれとこれもつけちゃう、それでこのお値段、９８００円！という時代にだ。この写真集にしては安い、と思いつつも、それでも２万円弱の買い物は、バイトができない中学生にとってはかなりの値段だ。善良な中学生でもやむを得ないこともある。それで、昨今お手軽に稼げますと大人気の援助交際に踏み切ったしだいだ。いや、今は本当すごい時代だ。市場では風俗のお姉さんたちびっくりの価格が、中学生につけられてるんだから。唾液を売っただけで３万円。時給１０００円のバイト３０時間分。女子高生たちが、趣味のように自分のものを売りまくった心内を、今、身をもって感じた。あのオヤジが、私の唾液を何に使うのかは、精神衛生上考えないでおこう。自分のものをどう使おうが勝手なんだから。
　青山ブックセンターについたあたしは、漫画コーナーも雑誌コーナーも素通りして、写真集コーナーへ向かった。店内は学校帰りの人や、会社帰りの人で賑わっている。しかし、写真集コーナーはあまり人気がないのか、イヤホンをつけて音楽を聞きながら立ち読みしてる男の子しかいなかった。私は早速あの写真集を手にとり、レジに向かった。この重量感。唾液と交換だなんて、この際忘れよう。文化はいつでも何ものにも変えられないのだから。
　重い戦利品を抱えて、あたしはやっと家に着いた。あたしの家は、何棟にも連なる団地の７階にある。産まれてこのかた、引っ越しを経験したことがないあたしは、この小さな部屋でいつも変わらず寂しい風景を見て育った。家族構成は、ヘビースモーカーでキッチンドリンカーの母、異常に元気な病んだ姉、生まれつきギャンブラーの父だ。どこにでもある普通の家族は、いつもどこかが異常だった。物心ついたときには、すでに母はいつも酔っぱらっていたし、姉はいろんなスマートドラッグを併用してテンションが不思議に高く、父は外ではパチンコに麻雀、家では競馬、そして白いはずであろう壁は黄ばんでいるというより黒かった。部屋には煙草のから箱が転がり、酒瓶がオブジェのように並んでいる。
「おはよー…帰ってたの。」
がらっという襖が開く音と共に姉が登場した。夕方になって、やっと起きたらしい。起きぬけに、姉はテーブルにあった何やら怪し気なプラスチックケースから何錠か取り、口に放り込み噛み砕いた。生っ粋のスマートジャンキーだ。個人輸入したと言う薬を食事代わりにする姉。姉のコレクションは食器棚に並んでいる。英語や見たこともない言葉で説明書きされたケースは、見るからに怪しい。
「あ、コーヒー入れてくれない？」
姉はあたしにそう言うと、テーブル椅子に腰掛け、昨日付けの新聞を読み始めた。
「おねえちゃん、それ昨日の。」
あたしがそう言うと、姉は日付けを確認し、いいの、と言って読み続けた。コーヒーを入れたマグカップを持ち、あたしはテーブルに置いた。
「どうぞ。」
「どうも。」
あたしの一日はもう終わりかけてるのに、姉の一日はこれから始まろうとしている。不思議だ。
「そうだ、今日ね、お母さんが焼肉食べに行こうって言ってた。」
姉は煙草を片手に、そう言うと、ちょっとコンビニに言ってくる、と言い出かけた。団地では、新しく入居してきた家族はもちろんのこと、昔からの住人の噂が、毎日暇な主婦によって交わされている。姉はその格好の的なのだが、別に気にしていないらしい。
　うちの家族は焼肉を食べにいくのが大好きだった。鉄板で踊るカルビにロースにタン。溢れる肉汁がたまらない。そこで吸う煙草が格別にいいらしいが、あたしにはわからなかった。煙草の匂いは好きだけど、どうしても自発的に煙を吸う気にはなれなかった。
　あたしはようやく、戦利品の写真集を寝転がりながら眺めていた。チャップリン男と卵がこの世界ではないどこかで生きている。あたしはこの世界ではない世界を思い浮かべるのが好きだった。現実が嫌いというわけではないが、この空間以外に違う世界があることを思い浮かべるとぞくぞくするのだ。
　そうこうしている間に、母が帰ってきた。くわえ煙草にど派手なコート。もちろん母も、この団地の噂に欠かせない存在であることは言うまでもない。手には土産だろう、麻の布にくるまったそれらしい形をしたものがぶらさがっている。
「おかえり。」
「ただいま、さて焼肉食べに行こうか。」
「もう行くの？おねえちゃん、コンビニに行くっていってまだ帰ってないよ。」
「ああ、サホコならさっき見かけたわよ、公園で。男と密会だね、あれは。」
いい親と言うか、放任と言うか。母は、あの子今年入って何人目だっけ、と笑っていた。それから３分もたたないうちに姉が帰ってきて、焼肉屋に行くことになった。
　焼肉屋は一時期の狂牛病騒ぎの面影は全くなく、満員御礼状態だ。カップルも多し、皆さんお盛んだこと。あたしたちは通された奥のテーブルに座ると、母が次々と注文していった。カルビ、ロース、タン、あ、ねぎタンも、それとクッパ、もやし、チヂムも。店内はジュージューという音と香ばしい煙で満たされている。焼き肉は人の欲望に似ている。とても野性的で、大昔に帰った料理で、人間が本能的に欲しているから、こんなにもおいしいのだ。
　注文した肉がテーブルに運ばれてきた。母は取り箸で次々と鉄板に肉を敷いていく。肉が最初で、野菜はちょっとしてから端のほうに。まるで鍋奉行じゃなくて、焼肉奉行だ。肉は汁を出して香ばしい匂いを発する。あたしの口内は唾液でいっぱいになった。奥歯の下の唾液腺から、止めどなく溢れてくる。人の欲望に反応して分泌されるから、オヤジたちは求めるのかもしれない。中学生の感情と一部をフィルムケースに入れて、とても間接的にオヤジたちは高額で買い取る。あたしはおいしく焼ける肉を目の前にして、欲望の市場事情を考えてみたりした。

奥野美和　2D「ホーリーホールボーン」 2003年03月03日(月)22時32分00秒

「コーラは飲みすぎないで。」
　またこんな小言で始まってしまった。
中目黒にあるご飯のおいしいカフェで。さっきから小さなスクリーンに、音は流さず『チアーズ！』が流れている。チアリーディングをやっている女の子の映画。
「うるさいよ、俺はコーラが好きなんだよ、ばーか。」
お店の人がお先にお飲み物は、と言うので私は、ビールと言った。恋人のサトシは、案の定、期待を裏切らず「コーラ」と言った。サトシはコーラが死ぬほど好きだ。ポテトチップスにもコーラ、とんかつにもコーラ。チーズケーキにもコーラ。おすしにもコーラ。「水道からコーラが出ればいいのに」とうっとりした顔で言う。「もし万が一そんな事ができたらコーラで歯、磨くの？　コーラでお風呂入るの？　」と私がたずねると「え？　ちげーよ、２種類あるの。水、とコーラ。」鼻が膨らんだ。かなり偉そうにこんな事を言うので思わずぷっと吹き出してしまった。ぷぷぷぷぷ。こいつ、ばかだあ。

　サトシと私は付き合って、もう１年半になる。大学に入学してすぐ同じゼミで仲良くなった。飲み会があって、そこで音楽とか映画の話をして、そんな流れで学校の外でも会うようになった。本当にすぐ仲良くなれた。すぐ好きだと思った。かたちがよい、と思った。ちょっと寄った目玉。でも目、自身は離れている。色白。体重は私と同じくらい。前髪が長くて黒い。のっぽ。

　「恋人」とお互い決めた日のことを、私はよく憶えている。

　単純にからっと晴れたうれしい日だった。ゴールデンウィーク前だった。学校の教授たちが研修で平日が休みになって、代々木公園に行くことした。デートと言えば公園。サトシとデートがしたかった。友達としてのレコード屋めぐりも、ブックオフ探索も、古着屋でロックなＴシャツを探すのも楽しかったけれど、もっとさわったり、もがいたり、柔らかさを確認し合ったりしたかった。初めて、外で会った時から、私はそうだった。おいしそうなこの人とデートがしたいな。ハートをとばして目配せをして。デートがしたな、って。

　サトシが午後の紅茶のミルクティーとコーラ（思えばやっぱりその日もコーラだった！）を買って私たちのベンチに戻ってきた。公園のベンチは、みんなの物だけど、好きな人と座ると２人の持ち物になったような気がするのはなんでだろう。ベンチだけじゃない。この青い空も、さらさら流れる雲も、欲張りだけど、まるで自分達だけの物のような気がする。向こうであやとびしてる女の子の縄の色さえも、私たちの物のような気がする。回りつづけるピンク。ありがと、なんて言いたくなる。
　
「缶、あちい。ナナカのミルクティーあちーよ。」わたしのミルクティーを右手の人差し指と親指で持って一歩一歩近づいてくる。左手にはしっかり握られたコーラ。ヘロへロのロンＴに（なぜか大きいニューバランスのロゴ入り）Ｖネックの紺のカーディガン。そして茶色のコーデュロイのずぼんにレザーのコンバース。

　ふと。ちょっと白くなっているひざのまるが気になった。コーデュロイは履けば履くほど擦れて白っぽくなってくるから寿命が短い。サトシの細い足のつなぎ目。このまるに触りたいと思った。ボインに惹かれる男の子は、こんな気分になるのだろうか。むらむらした。まるに、むらむらした。さわりたい。さわりたい。さわる、さわる、わたし、さわる。いいんだ、私の「好きな人」だもん。勝手に今日はデートだって思ってきた。だってほら、初めてね、サトシが「ナナカ、どっか行きたいとこある？　」って聞いてくれた。張りきっていつものブラックジーンズやめてブルージーンズにしてみた。ちょっときれいなやつ。いつものパトリックはそのままだけど、花柄のシャツだって着てきた。

　「あー熱かったあ。よいっしょ」
私にミルクティー渡しながら、サトシは私の右隣に座った。いいにおい。サトシは本当にいいにおいがする。なんだろう。これ。思わずクンクンしていたら「ヤメロ！」と笑って頭をくしゃくしゃしてきた。私も「気付かれた！」と笑って言って、笑いつつ、今だ、と思って左でが私の頭にあるうちにストンとひざに頬を寄せた。ちょっとずれて太もも（いや、細もも）に着地してしまったけれど、構わない。サトシのひざ。まるいひざ。コーデュロイの波。私はサトシのひざをなでる。サトシは突然なくなった左手の居場所を探しながら「なんだ、なんだ」と笑って、事情を飲み込んでくれたように私の頭をずっとなでていた。

　その後、しばらくそのままいろんな話をして、（武者小路実篤の『友情』を実写でやるなら、誰にする、とか、ポラリスって星の名前って知ってた？　とか、タワレコのポイントがやっと溜まった、とか、ベンクウェラー初来日！とか。そういえばコーラの話もしたかもしれない）その後、初めて手を繋いで、夕飯を食べに行ったのが、始まり。サトシは憶えているだろうか。

　サラダとパスタを分け合いながら食べる。ここのサラダは、バケットが入っていてボリュームがあって美味しい。サトシは、いつもきれいにお皿に分けてくれる。私は、そういうことが苦手だ。料理も出来ない。というかしない。でもアイスクリームは得意。おばあちゃんに教えてもらった、簡単アイスクリーム。卵３個を卵白と卵黄にわける。そして卵白、生クリーム200ｃｃ、砂糖60gプラス卵黄をそれぞれハンドミキサーで混ぜる。それをひとつにまとめ、さらにしっかりあわ立てて２時間くらい冷やす。電車で１時間くらいのところにある団地に住むおばあちゃん。泊まりに行くとよく一緒にアイスクリームを作る。出来上がると大きめのスプーンですくう。そして透明の器に入れる。おいしいアイスクリーム。おばあちゃんの団地色。
　映画のヒロイン、キルティンダンストの笑顔に見守られつつ、いただきますをする。この映画は女の子を謳歌していい、と思う。ビデオになったんだ、今度サトシんちで観よう。サラダとパスタが来る前に、ごくごく飲んでしまったのでグラスワインを頼む。「ついでに」と私に便乗したふりをしてサトシはコーラも注文した。またコーラ。コーラ、コーラ、コーラ。

　「ねえ、サトシ、いいかげんにしないとさ、体に悪いよ」
冷静に、慎重に、集中して言ってみる。これは、重要なことなのよ、という眉をして。もちろん、食べる手も止めて、ワインを一口飲んで言う。すると、サトシはフハッと笑って言った。長い前髪。目のしわ。短いつめ。テーブルの下には、あの頃から変わらず大好きなサトシのまるいひざ。

「マジで言ってんの？ナナカ。信じてるの？そんなこと。俺、小さい頃からコーラばっかり飲んでるよ。チュッパチャップスもコーラ味オンリーだし、１０円ガムも、あの缶の形した入れ物に入ってるラムネ、あったじゃん？　あれもコーラ味。でも骨折なんて一度もしてないし。コーラで骨が溶けるなんて、うそだよ。もし、溶けるとしたって死ぬほどじゃないよ、大丈夫だよ。死んだりしないよ。てか、骨が溶けても死なねーよ」
　そんな風に言われて、そっかなあなんて思ってぽつぽつバジル味のブロッコリーのパスタを食べた。

　歯・骨の主成分はリン酸カルシウムやリン酸マグネシウムで酸に溶けやすい。そして、コーラなどの炭酸飲料水は二酸化炭素を水に溶かしているので弱酸性を示す。確かに、直接何時間も骨や歯にコーラを浸しておけば実際に溶ける。しかしコーラが直接骨に接することはないし、たとえ歯に接するとしても極短時間なもの。つまり、コーラは骨や歯に影響はない。

　気になって気になって思わず調べてしまった。この頃なんだか不安が取れない。サトシがいなくなるような気がする。もしもこの世界にサトシがいなくなったら私の１年は180日になってしまう。後の１８５日はないも同じ。もしかしたらもっとなくなってしまうかもしれない。私の中にサトシがいる。私の体の半分はサトシだ。なんで急にこんな気持ちになってしまうのか。会っているときは幸せで楽しくてくすくす笑っていられるのに。電話したのに留守電だから？　メールが返ってこないから？　最近サトシが始めたバイトが楽しそうだから？　なんだろう。嫌な気分。

　ブーブーブー。バイブの音。携帯の着信音はビックリしてしまうので苦手だ。部屋にいるときでもバイブにしてしまう。
　サトシからのメール。
「電話もメールも返事遅れてごめん。ここんとこ忙しくて。今日はバイトの後、みんなで飲んでた。料理が美味しかったよ。今度行こうぜー」
たったのこの何10字で私はモヤモヤの世界から出る事が出来る。よかった。私は電話しようかとも思ったがメールで返す事にする。
「うん！行く行く、連れてってー。来週いつ会える？観たい映画ある。あと欲しいCDもある。あとね、新しい靴買っちゃった。早く見せたいなあ。次会う時履いていこうかな！」
送信。
返信は来ない。
いつまでたってもその日は返事が来なかった。
寝ちゃったのかな。

　サトシはおしゃべりなわけではない。ちゃらちゃらもしていない。でも友達が多い。とくに最近多くなったように思う。「レコード屋のバイトだから趣味の合う友達がたくさんできて嬉しい」とこの前言っていた。「友達はたくさんいたほうが楽しいぞ！」と内弁慶の私によくいう。わたしも友達はいるよ。でも、なんだかサトシみたいに誰にでもオープンではない。サトシは自分の時間、バイト、友達、私、を上手く割振りして時間を作っている。私はどうしてもサトシ中心になってしまう。これは駄目だ、こんなんじゃ駄目だ、とは思うけど、どうしてもうまくいかない。会いたい。ほったらかしにされると怖くなってついつい「私のこと嫌いになってないよね？　」なんて言ってしまう。するとサトシは「ないよ、大丈夫。心配性だなー。明るくイキロー！」なんて笑う。でも言いすぎると、すごく嫌な顔をする。当たり前だ、信じなきゃいけない人を信じられないなんて。代々木公園での丸いひざを思い出す。サトシの優しい手。大丈夫。あんなに好きでいてくれるじゃない。そう思って勉強したり、友達と遊んだり、一人でプラプラして気を紛らわす。サトシのいない時間も自分の時間を謳歌したい。依存したくない。でも「チアーズ！」はサトシと観たいし、レコード屋巡りだってサトシとするのが一番楽しい。女の子のお友達と飲むのも楽しい。でも、酔っ払った帰り道は、どうしてもサトシに電話したくなる。そして芋焼酎に後押しされて電話して、ちょっとでも冷たいと泣きたくなる。「上を向いて歩こう」なんて歌ってしまう。「涙がこぼれーないよおおに」の「よおおに」の後で涙が出る。上手く歌えない「上を向いて歩こう」。

　もう１週間以上会っていない。サトシはゴーゴーゴーイングマイウェイだから、サトシの時間を大切にすること、邪魔したくない。でも、思う。サトシの大切な時間に私の時間は含まれないのかな。電話で「レコ屋の友達とフリーペーパー作る事になった」って嬉しそうに言っていた。それが忙しいのかな。自分の中でくるくる回っても仕方ないハテナの数々。サトシにしか答えられないのに。さっきから、もう、さっきから。くるくるくるくるしている。大丈夫、明後日は久し振りにデートだし。大丈夫、大丈夫。

　「やーやーやー久し振り！　」
待ち合わせは渋谷の東横の大きい改札。ぺらぺらの体に長い腕。黒いナイロンパーカーに黒いずぼんに、白い、けど汚れたコンバース。もちろん手ぶら。
　いきなり私の手を取る。握る。「ぷにぷにだ」なんて言う。嬉しい。嬉しい。どうしよう、嬉しい。わたしのサトシ熱はいつまでたっても冷めない。やっぱり好きだ。昨日までのハテナのくるくるがハートのくるくるに変わる。サトシの腕にしがみつく。やっぱりいいにおい。ああ、やっぱりここが居場所だと思う。サトシも私のこと、ちゃんと好きだ。ちゃんと両思いだ。サトシだって私に会いたかったんだ。なんだ、大丈夫。わたしはサトシを見つめる事でせいいっぱいだった。だってしばらく会ってなかったから。ガソリン切れるところだった。ずっと我慢して履いてなかったぴかぴかの赤いフラットシューズ、モーター付いちゃった、いま！今日は渋谷でレコード屋と本屋を回って、ラーメン食べて学芸大学にあるサトシの家で「チアーズ！」

　サトシの部屋の冷蔵庫にはいつもコーラの大きいペットボトルが入っている。１日一本飲むらしい。「俺の体はコーラと煙草でいっぱいなんだろーなー。真っ黒！こえー」なんて言う。私だって怖い。すごい体に悪そう。死ぬよ、サトシ。不安だよ。ああ、なんですぐ不安を見つけちゃうんだろう。昨日までコーラの事なんてすっかり忘れていたのに。でも、本当に心配。不安。普通の人にはコーラは毒じゃないかもしれない。でもサトシの飲み方は普通をこえている気がする。
　
　シャワーを浴びてサトシが出てきた。パタン。冷蔵庫を閉める音。「あーうめー」大きなペットボトルごと飲みながらベッドに座る私の後ろに座った。トスン。「ナナカ、ちゃんと髪乾かさないと風邪引くぞ。ほら。」先にお風呂に入ったわたしの頭を後ろから拭く。この手が永遠に私のものでありますように。目をつむる。うとうとしていると頬っぺたをつねられた。「イタイよ、ばか！」「お前だけイイゴミブンだからだよ！俺のも拭け！」

　そんな風にからまってくっついて笑いあってあたたかくなって、ちょっと先にサトシが寝て、私もいつのまにか眠ってしまっていた。

ツヅク
　　

水落麻理　８Ａ　花模様 2003年03月03日(月)14時58分55秒

「彼って私のことすごい好きみたいで。」
いざランチを食べようとしてるところで言ってきたのは、同じ学部の私のランチ友達。はっきりした目とちょっと低めの鼻で、美人でも不細工でもない普通の女の子。でも眉毛より上で切ってある短い前髪はチャーミングで好き。
　彼女いわく「彼の目は水たまり」なのだそうだ。彼のそれは雨がふると水をためきれなくなっちゃって洪水をおこすらしい。水たまりからあふれ出た水はなだらかにすべり落ちて、まだ水気のある水たまりはじっと彼女を映し出す。彼女はその瞬間が大好きで、わざと雨を降らしてみたくなる。彼女のいじわるだけが、彼の水たまりに雨を落とす。
　私は一度だけ会ったことのある彼女の彼を思い出して、彼の大きな目から少し焼けた肌につたわるそれを想像してみる。確かにくせになるかもしれない。同時に私は彼女に言ってやりたくなる。よく泣く男の目が水たまりに思えるなんて、「彼って私のことすごい好きみたいで。」じゃなくて「私って彼のことすごい好きみたいで。」って言ったほうが正解かもよ？本人気付いてないみたいだけど。
　私もそんな相手見つけてみてもいいかもしれない。私しか知らない、その人の秘密。
　ランチが終わって食器を片す彼女の手を見てたらそう思った。だってかわいいお花の絵付きのマニキュアなんてしちゃってるんだもん。

水落麻理　7 B グッドモーニング 2003年03月03日(月)14時38分22秒

かかとの潰れたスニーカーに乱暴に足をつっこむと、彼女はゆっくりと玄関のドアを開けた。めんどくさい。頭の中でつぶやく。彼はベットの中から片目だけでその彼女を見る。彼女の動作はいつもふらりとしていた。それは彼の心をひきつけた。扉の開いたドアは一つのフレームを作り出していて、そのフレームの中で彼女は朝の光を背景に従えていた。朝の光は白い。だけど完ぺきな白ではなく、緑や青や、スパイスに黒も混ぜたようなぼやけた色をしていた。その中にある彼女の後ろ姿。彼女のなで肩はそのぼやけた光にくっきりとラインをひいていたが、袖からのぞく彼女の手首は光にまみれて消えそうだった。光は彼女を際立たせ、彼の目は彼女にだけピントが合っているかのようだった。彼は思う。これってボロアパートのボロ玄関が作った一つの絵みたいじゃん。
　光と一緒に入ってきたすっとさめる空気が彼に現実だと感じさせた。その絵がやがてなくなることも、もう二度と描かれないこともわかっていたから、つい彼は口を開いた。
「ねえ、」
絵が動いた。そしてまた新しい絵が作られる。彼女は振り返り、彼女の髪は光に透けた。逆光で、彼には彼女の顔まで見ることはできなかった。
「何、おきてたの？」彼女は同時にぼやく。こうゆうときは寝たふりくらいしてよ。
「俺さ、思うんだけど、朝ってなんで昼とは違うんだろうね。」
彼女をとりまく空気が動き、彼にも彼女が笑ったのがわかった。
「寝ぼけてんの？朝が昼と違うのはお日様が昇りきってないからなんじゃないの。知らない。」
「そうじゃなくてさ、変な色じゃない？」
彼女は視線を少し上にずらす。黒くよどんだような天井に星のシールが何枚か張ってあるのが見える。そうだ、この人って男のくせに意外とロマンチストだった。
「あー、ちょっと変な色かもね。それがどしたの？」
「なんでかなと思って。」彼はまだ食い下がる。半年間の終わりってこんなもんなのかな。そして苦笑する。
「私は海の色とか、宇宙の色とか、木の緑も全部混ざってこんな夜明けがあるんじゃないのかなって思う。」
彼女は彼の次の言葉を聞く前に、「バイバイ。」と言ってドアを閉めた。
　バタン。音と同時にいっきに変わる。もう絵は見えなくて、朝の光も見えなくて、部屋は彼だけの時間を刻み始める。あいつってたまにああいうこと言うんだよな。もっと色んな話ししてみればよかった。床に目をやると彼女の残していったはげかけたドナルドダックのボールペン。上を見ると、自分でつけた暗いところでも光るっていう星のシール。彼は布団を頭からかぶって再び眠りの中へ。
　そして彼女はまぶしさに目を細めながら歩く。いつものスニーカーでいつものようにリズムを刻んで道を行く。あの人寝ぼけててちょっとかわいかったな。あんなこと聞かれたの初めて。ロマンチストのかけらもない私にとっては新鮮な人だったんだなぁ。
彼女はふと、ほころんでいる口元に気付き声に出して笑ってみた。

まだ早い朝は鼻腔にいろんなにおいを残す。だけど今朝は鼻腔じゃなくて、心にほんのりにおいを残してみたのかもしれない。

滝夏海　13A「彼方へ唄う」 2003年03月02日(日)12時05分31秒

想い出を濾過して涙を零すから　イラナイモノだけ心に溜まる

棘を取り私の中で磨かれて宝石になる　あなたの欠片

見せたいわ　これがあなたの付けた傷　鮮やかに濡れて綺麗でしょう

大丈夫　例え記憶を無くしても　傷があなたを憶えているわ

紅に染まり滴るこの想い　手紙に添えて送りましょうか

杉井武作　25A「スカンク教授に捧ぐ」 2003年02月28日(金)14時19分35秒

たくさんの知識　糧にして

「努力」して得た哲学　ナンバーワンだね

その先にあるのは快楽

同じだろ？オレも　オマエも

ヒトのおトイレ　掃除するヒマあるのなら(shit! shit!)
　
キノコでベガス行ってフィーバーがお似合いさ(YA! YA! YA!)

自意識過剰でアイスイマセン

だけど　自分しか見えてないのはアンタさ！

生み出せるものはなにもない？

だけど　アタマが終わっているのはアンタさ！

書庫の片隅で縛ってる

蜘蛛の巣振り払いなよBABY!

強く咲いたハナ

強く生きるネコ

わからない「同胞」だけがココロの友で

弱さ　痛み　慈しみ　楽しむ

そんなの嘘だというなら(Ｆｕｃｋ　ｏｆｆ）

オレの世界が虚像でも

燃え尽きるまで踊り狂う

それだけさ

それだけさ　ラララ・・・

水落麻理　7A 朝 2003年02月28日(金)03時35分53秒

　かかとの潰れたスニーカーに乱暴に足をつっこむと、彼女はゆっくりと玄関のドアを開けた。めんどくさい。頭の中でつぶやく。彼はベットの中から片目だけでその彼女を見る。彼女の動作はいつもふらりとしていた。それは彼の心をひきつけた。扉の開いたドアは一つのフレームを作り出していて、そのフレームの中で彼女は朝の光を背景に従えていた。朝の光は白い。だけど完ぺきな白ではなく、緑や青や、スパイスに黒も混ぜたようなぼやけた色をしていた。その中にある彼女の後ろ姿。彼女のなで肩はそのぼやけた光にくっきりとラインをひいていたが、袖からのぞく彼女の手首は光にまみれて消えそうだった。光は彼女を際立たせ、彼の目は彼女にだけピントが合っているかのようだった。彼は思う。これってボロアパートのボロ玄関が作った一つの絵みたいじゃん。
　光と一緒に入ってきたすっとさめる空気が彼に現実だと感じさせた。その絵がやがてなくなることも、もう二度と描かれないこともわかっていたから、つい彼は口を開いた。
「ねえ、」
絵が動いた。そしてまた新しい絵が作られる。彼女は振り返り、彼女の髪は光に透けた。逆光で、彼には彼女の顔まで見ることはできなかった。
「何、おきてたの？」彼女は同時にぼやく。こうゆうときは寝たふりくらいしてよ。
「俺さ、思うんだけど、朝ってなんで昼とは違うんだろうね。」
彼女をとりまく空気が動き、彼にも彼女が笑ったのがわかった。
「寝ぼけてんの？朝が昼と違うのはお日様が昇りきってないからなんじゃないの。知らない。」
「そうじゃなくてさ、変な色じゃない？」
彼女は視線を少し上にずらす。黒くよどんだような天井に星のシールが何枚か張ってあるのが見える。そうだ、この人って男のくせに意外とロマンチストだった。
「あー、ちょっと変な色かもね。それがどしたの？」
「なんでかなと思って。」彼はまだ食い下がる。半年間の終わりってこんなもんなのかな。そして苦笑する。
「私は海の色とか、宇宙の色とか、木の緑も全部混ざってこんな夜明けがあるんじゃないのかなって思う。」
彼女は彼の次の言葉を聞く前に、
「バイバイ。」と言ってドアを閉めた。
バタン。音と同時にいっきに変わる。もう絵は見えなくて、朝の光も見えなくて、部屋は彼だけの時間を刻み始める。彼は思う。あいつ不思議なこと言ったなー。今朝あいつのこと少しわかった気がする。女の子ってだけじゃなくて面白いやつだったんだよな。床に目をやると彼女の残していったはげかけたドナルドダックのボールペン。上を見ると、自分でつけた暗いところでも光るっていう星のシール。彼は布団を頭からかぶって再び眠りの中へ。
　そして彼女はまぶしさに目を細めながら歩く。いつものスニーカーでいつものようにリズムを刻んで道を行く。彼女は思う。あの人寝ぼけててちょっとかわいかったな。あんなこと聞かれたの初めて。ロマンチストのかけらふもない私にとっては新鮮な人だったんだなぁ。
彼女はふと、ほころんでいる口元に気付き声に出して笑ってみた。

まだ早い朝は鼻腔にいろんなにおいを残す。だけど鼻腔にだけじゃなくて、今朝はちょっとだけ心ににおいを残してみたのかもしれない。

奥野美和　28C「あの子はいつも笑ってて悩みがないとクロールする」 2003年02月27日(木)11時50分27秒

退屈な５限日本史それよりも君のレキシが知りたいのです

スカートの水玉こっそり数えてた　もものあたりで終わりのチャイム

私より君のくしゃみが小さくて練習してみたけど無理で

強引な彼をイメージしてにやり　わたしはオトメなんかじゃないわ

憧れの彼のうわさを耳にした　「あいつホテル派」なんだそうです

くつひもを結びなおして深呼吸　気付かないフリずっと出来たら

本当は折りたたみ傘持ってるよあの手この手でそばにいたいの

太陽の日差しをすったおふとんで　君と昼寝をしてみたいです

がむしゃらに恋をするって決めたから傷つくことも嬉しいくらい

つないだ手思った以上に分厚くて男子の君を見つけた気分

本日は家族でナベをしますのでデートは５時で切り上げます

わけもなくグルグル回って目的地　着いても僕ら話すことなく

あのことがあったあの日の夕飯はママの得意なクリームシチュー

君の口からこぼれるあの人は背中を向けているのになんで

感じたいかすかな君のかけらさえ私の中の君を探した

叶うなら息つぎせずに君のその目の皺でずっと泳いでいたい

ポンコツで暴走気味のわたしにさまっすぐ失恋させてくれたね

さよならは友達だから言わないよこっそり離れて行くよ　だいすき

つなぐ手がなくてちょっぴり寒いけどミルクティーを買って歩こう

かさぶたも何も言わない青空も焼きたてパンの匂いに溶けた

すこしだけ寄ってる君の目の中に自分の顔をうつしてた日々

ちょっとだけ腕をつかんでみたくなった　くやしい、わたし恋をしている

おいかけるくるぶし大のたましいで　あくびの運命期待しながら

君のシャツ変な柄でも許せちゃう他の男が着たら反則！

話したら話したぶんだけ好きになるきみはわたしに好かれる天才

さわりたい君のおしりや目のしわやビー玉かくしたくるぶしだとか

丁寧に塗ったマスカラもマニキュアも君の前ではぎくしゃくしてた

学食で同じメニューを選んだら君がいちばん見える席へと

少しだけ躊躇しながら伸ばした手「前髪ずいぶん伸びたみたい」

感触は知らないけれどニオイだけつかんでいるさ手のひらにそっと

突然の雨にふられて　風呂上りみたいで可愛いと言ったあなた

ヒエピタじゃ治らないのよあなたの手おでこにそっとのせてお願い

ひとつぶのミルキーふたりで食べたのは静かで暑い夏の日でした

君のため　初めて作った手料理はコーンフレーク・シュガーフロスト

練習をしたんだふたりで一本のマフラーしたくてからまりながら

はずされてゆくもどかしさ好きだから　君と会う日はシャツを着ていく

なさけない眉とか口とか知りたくて薄目をあけて観察してた

不幸せそうに幸せそうです八の字眉でわらっています

大切な秘密の部分洗いますここからはじまるレクリエーション

お風呂場でするキスなぜか清潔な気がしてあじけないからよして

お風呂での声は異常に響くから大人しくして約束をして

スカートの裏地しましまもようなのめくってもいいよ確かめてみて

おどおどとでも確信を持つようにいつでも私にとまどっていてね

ささくれた熱い指先つかまえてかさこそしたいもじもじしてよ

目の前でカフェオレ冷めていく沈黙　あふれないよう君を見ていた

つじつまを合わせて作った星座にはわかりたくないエピソードたち

気持ちとかなくていいから傍にいてこのときだけを満足してよ

さみしいと言ったらすべてがこぼれてくそんな気がして手で確かめる

手遅れにならない前に消さなくちゃ思い込みって信じなくっち

わたしたちそこから逃げて来たんでしょ　いまさら自由が欲しいだなんて

不安なのだから会わないもう絶対　淋しいほうがまだましだから

これからもわたしに期待しないでねあきらめること上手くなってね

いちぬけたそうやってまたあきらめた　ふりをしてまた続きをつくり

ミルクティー似合う紅葉　白い息　睫毛の先でサヨナラ思う

ボーダーの背中五線譜ゆっくりと「別れの曲」を弾いて駆け出す

はっとした　めんどくさいと思ったの　ついでにどうでもいいや、だなんて

さよならは友達だから言わないよこっそり離れて行くよバイバイ

この街は誰のものでもなくなるね　君はいないしそろそろ僕も

もういいよ、君のやさしさ　あの頃の僕が浮かんで傷つけたくなる

傷ついてみたかったんだ君になら　どんなことでも試したかった

ひとりだとこんなに広い街なんだ僕は帰れる迷子になった

電線を見ながら歩くゆらゆらとどこかの空に君がいるから

泡盛のせいなの君に電話などしなきゃよかった勢いづいて

カーテンが揺れるたびにあの人がドアを閉めた日おもいだしてる

彼女ならこんな時には呼び出して君を求めることができるの

いつの間に押し出されては消えていた君の着信履歴はもうない

後悔を意外と普通にするんだね「会えない」なんてホントにできる？

ワルモノにしてしまったのは私です泣いてわめいて同情かって

明け方のイベント帰りちらばった夜のざんがい気が遠くなる

真夜中のタクシーおぼえてしまったの　もう戻れない立ちこぎの日々

本当はミーちゃんなんだチビちゃんと名付けた私の話相手は

なんでかなひとりの方がふたりなのいつまでたっても失えないの

どう見てもやっぱり二人お似合いで夢の中でもただ見てたんだ

さばさばとした女の子になりたくて知らないうちに恋もさけてた

チヤホヤと一度はされてみたかった　もちろん君にだけなんだけど

あの日から会うこともない　でもなぜか君の視線と暮らす毎日

本当にうそが上手な男の子どこかにいたら恋人になって

急行で君の住む駅通過する　淡い風景許せたよ、いま

あの頃は言葉をねだってばかりいた恋の形見がごろんと残る

失ったことをまっすぐ飽きるまで　見届けるんだ　君との恋だ

しかたない　ただぼんやりと眺めてた時間が過ぎるのを待っていた

ダンプカー過ぎ去るような咳をして　わけしり顔ですり減ったふり

だだこねる子どもがやけにイライラとするのはひどく羨ましいから

ささやいてわたしの耳のすぐそばで誰かのじゃなく君のほんとう

空回りホラきれいだよ失敗も色とりどりで明日へ向かう

あたたかいミルクは唯一甘えても良い場所だって決めてここまで

自分へのご褒美つねに増えていくスカート　ケーキ　ブラに　マニキュア

しゃがんでた気持ちゆっくり立ち上げてすこしまわりを見ればまぶしく

久し振り会った昔の恋人はむやみやたらにレディーファースト

怒らないそう思うのね私なら　なめられてるの　なめているのよ

「やりなおす」なんてそんなのできないよ　「またはじめよう」そうじゃないなら

何度でも裏切ってみせてこりないの目は覚めたけど熱は冷めない

たんぽぽをつんで幸せな顔をしておうちにちゃんと持って帰るの？

送信をした後すぐに後悔をしていまうのはなんでなんだろう

風が吹く　ふりこのこころ動かない　居場所はここじゃない気はしてる　

セーターの毛玉一つないひとが王子様だと思っていました

望んでたことは薄々これじゃない気付いてしまったごめんバイバイ

本当にチャンスをくれてありがとう立ち上がることわたしおぼえた

どのくらい大きな声が出せるのかわからないまま叫ばないまま

諦めは全ての終わり行き止まりわたしはわたしを飽きたりしない

わたしでも弾けばギターが鳴らせるとあの子は言った希望をなめた

憶えたて日本酒飲んでおしまいはパフェでしめるカラフルな酔い

あの頃の自分みたいな恋もイイ　そう思えたのでもう大丈夫

フレアーのスカート履いてくるくるとまわれば君のうたが聴こえる

ドア開けて深呼吸して会いに行くまだ見たことのない友達に

少しだけ早起きしたらご褒美に　見えるホームに広がるイエロー

マニキュアが上手にぬれたこんな日は吊り革の手も力が入る

迷うのは行きたい場所があるからで自信を持ってきょろきょろしたい

横田裕子　11Ａ　バレンタインの余波 2003年02月26日(水)19時10分41秒

自分から　手放した恋　見送って　思いがひとつ　はるか彼方に

大きな手　ぎゅっと握った　帰り道　大好きだよと　口には出さず

ふくよかな　ココロでいたい　いつまでも　だけどカラダは　スリムでいたい

我侭は　女の嗜み　っていうならば　我侭言って　拗ねてみたかった

薄闇で　君の体の　重みを感じ　そっと呟く　「重いんだけど」

首筋を　滑るくちびる　温かく　早く食べてよ　もったいぶらず

バレンタイン、　なんてクールで　いたけれど　今年も作った　甘い誘惑

杉井武作　24A「もっと嘘つけばよかった」 2003年02月26日(水)15時08分18秒

もっと嘘つけばよかった

こんな気持ちになるのなら

もっと嘘つけばよかった

君のぜんぶが好きだって

もっと嘘つけばよかった

一緒に歩いていこうって

もっと嘘つけばよかった

心凍らすそのまえに

もっと嘘つけばよかった

君が泣き出すそのまえに

もっと嘘つけばよかった

なんども笑顔みたかった

もっと嘘つけばよかった

すてきな時間ありがとう

もっと嘘つけばよかった

嘘をついていたのは　君

横田裕子　１０Ａ　階段 2003年02月25日(火)11時13分22秒

かつかつ、冷え切った音が響く。
いずれか終わるかもしれない螺旋階段を、ゆっくり昇ってゆく。
　昇りだしたなら、後戻りはできない。昇るスピードに合わせて足をつけた所から順に透き通った空間になる。気付いて見下ろせば闇の海。
　階段を昇ってゆく者に私は、早く来てね、と言う。
　早く来てね。待ってるから。疲れたなんて言わないで。あなたが行くべき所は只ひとつ。この階段の終わりだけなのだから。
　旅人は、黙って足を進める。崩れていく階段がいつしか彼を追い立てるように空を作る速度を増していく。闇に呑みこまれまいと、彼は一段飛ばし二段飛ばしで猛然と駆け上がる。
　汗がつぅ、と額から一筋流れ落ちた。薄青のシャツが肌に吸い付いて体の線を浮き出しにする。汗で大きな染みのできた布地の下で、背筋力１１５ｋｇを物語り見慣れた筋肉がうねる。
　幾つも筋を作る汗も、荒さを増していく息も、一点を目指す瞳も、全て私のため。私のために、彼は昇り続ける。
　だから、私は彼が辿り着いたら思い切り抱きしめよう。
　どこかで耳に触れた「無限抱擁」という言葉しにままを、彼に与えよう。

　近くとも遠くとも言えない彼方から、足音が聞こえる。
　足音の主が、私を求め手を伸ばそうとしているのが分かった。動かない空気の中を伝染する、電流に似た光弾。
　それは、私の体を貫く。私は駆け寄る旅人を抱きとめる。
　瞬間、体がふぅっと闇に放り出されたような気がした。離れないように、誰にも引き離されないように。
　崩れた階段は跡形もなく消えていた。

　

奥野美和　27C「もう行くよ」 2003年02月13日(木)08時51分55秒

この街は誰のものでもなくなるね　君はいないしそろそろ僕も

次からはみんなも誘って遊ぼうね期待しちゃうのすごく怖いの

イイカゲンアキラメナサイムリデスヨ役に立たない魔法となえる

どう見てもやっぱり二人お似合いで夢の中でもただ見てたんだ

えこひいきして欲しいのにもういいよフォローもケアもないもん君は

さよならは友達だから言わないよこっそり離れて行くよバイバイ

なあんにも知らないふりで近づいた教えることが好きなあなたに

おおむかしあなたに恋をしてたこと思い出さないようにしなくちゃ

勝ち目などないの知ってる　でもこれは勝負なのかな　やだなそんなの

杉井武作　23Ａ「おれのうんこフルコースあついうちにたべろ」 2003年02月09日(日)11時50分30秒

対他的うんこ

意気地なし！　こんなに近い　キミにさえ　拒否をされると　不安が襲う　　

ふとすると　気を使われる　きたるのは　距離が広がる　少しの不安

嫌な顔　見せないキミも　無意識に　俺への評価　さげてるのかな？

打ち解ける　壁壊す音　紛れ込む　ピンクの糸が　切れてくノイズ

無神経！　無視ができない　この痛み　ホントはココロ　許せぬ証？

好き同士　なんでも話して　欲しいのに　やっぱりくるか　嫉妬という壁

消すべきは　女のほうに　俺の壁　壊せと望む　女々しい俺か

わからない　もてあましてる　変態性　隠す境界　さとしておくれ

あー暴走　おもしろいのと　引かれるの　分けるアンテナ　今消えてゆく

緊張で　口が勝手に　でまかせを　こんなときだけ　でしゃばる道化

ぼくキミと　そんなに親しかったっけ？　勝手に心　許すな重い

本当は　人と話すの　好きじゃない　人を知るのが　好きなだけだよ

大好きな　心開いてる　人にほど　誤解をされて　離れてくのか

出会いとか　機会増えるほど　だれからも　愛されたくなり　自分消えてく

俺なんて　なまけてばっか　捨てたいよ　一目置かれる　虚勢のオーラ

誉めてくれ　　俺を認めて　もっとスゴイ　誉められるほど　もっと誉めてよ

裏切りが　救いになるよな　こともある　されど恨みは　消えないままで

超越的うんこ

だらだらと　ゆるい時間が　流れてく　生産性なし　記憶もなし

生活の　リズムをつくる　ためだけの　生活始め　はや幾年か

さっきから　そのことばかり　気にしてる　知らなきゃよかった　ヒゲ剃り残し

思春期うんこ

あなたって　安心できる　大人な子　わかってないね　欲しいのはキミ

マフラーの　上にちょこんと　小さな顔　こんな季節じゃ　吸い込まれるね

ぼろ猫が　いつのまにやら　なついてる　また捨てなきゃな　めんどくさいな

ほろ酔いで　ほおずりしてみる　撫でられる　すると遠のく　イヌになってく

気になる子　出来合い言葉　作りこむ　自然なほうが　いいんだけども

自意識と　距離のとりかた　わからずに　恥ずいこと言う　君はかわいい

前よりも　ごく冷静に　この関係　位置付けられる　いいことだよね？

あのときの　しょうがない子は　別れれば　見習うところ　いくつもあった

わが道に　早く正しく　導かす　そんな女を　ばか値市しろ

あたしたち　そんなヘンタイ？　深い傷　埋め合う儀式　しているだけよ

「長い夜」　ホテルで独り　問い掛ける　キミは幾日　この夜超えたの？

うんこヴィジュアル系

貴方へと　溺れる深み　この刃　押し込めてゆく　殺して気付く

指先に　触れては痛む　あの人の　死顔白く　染まって消えた

君埋める　雪さえ溶けて　逝くけれど　絶えた笑顔は　ココロを滑る

うんこ風刺系

ムード上げ　愛の言葉は　あのドラマ　メディアが作った　君の理想

愉快犯　人の心を　また荒らす　「理屈」という剣　振りまわしては

夜にだけ　「信号赤だぞ」　事務の声　法の番人　心が事故死

数多もの　灯りの先に　命の火　のわりにここは　静かすぎるな

ただのうんこ

ヘソ出して　セクシー系が　キマッてる　よく見りゃヘソの　ゴマはみでとる

ヘソ出して　セクシー系が　キマッてる　よく見りゃヘソに　カサブタできとる　（がんばりすぎたんだね・・・）

うんことか　おしっこだとか　ちんことか　もっといいたい　ハタチになれば

タメなけりゃ　明日本番　それなのに　借りてたＡＶ　大当たりドピュッ

本日の　女（タレ）とのプレイ　なんかより　昨日のビデオの　ほうがいいじゃん！

西方から　ノスタルジアを　運ぶ風　　京都のかほり　俺のワキガ

唇の　皮をむきむき　差し出され　それをむしゃむしゃ　食す悦び

パンパンパ（ハモリ）　ドピュドピュドピュド（男）　ゴクゴクゴ（女）　あースッキリした（男）　あーにがかった（女）

水落麻理　さかさまつげ 2003年02月03日(月)16時02分04秒

彼のまつげはさかさまつげで、
まばたきするたびまつげがばさばさっていいそうだった。
そのさかさまつげの下にかわいい形をした目を持っていて、
笑うとその目は少し細くなった。
だけどね、よく見るとかわいい目だけじゃなかったんだよね。
その目の奥のほうにある冷たさが私にはわかってたよ。
２３年間生きてきた男なんだなって思った。
自分ではさ、そのかわいい目で優しく笑って、
その冷たさが想像できないくらい優しい顔して隠してたみたいだけど。
ずるいよ。

だけど、彼の目の奥も、かわいい目も、優しい顔も、もうぼんやりとしか思い出せない。
一番近くにいた人なのに他人になっちゃうなんて悲しい。
一番好きだったとこがぼやけちゃうなんて悲しい。
今はもう、彼の香りが残るあのマフラーも私の生活のにおいに消されちゃった。

奥野美和　26C「G」 2003年02月01日(土)00時05分11秒

望まれることがこのまま無いのかなひとり遊びは飽きてしまった

チヤホヤと一度はされてみたかった　もちろん君にだけなんだけど

手遅れにならない前に消さなくちゃ思い込みって信じなくっちゃ

わかってる　プライド高い君だから　何も言わずに離れていくね

本当はミーちゃんなんだトンちゃんと名付けた私の話相手は

はっとした　めんどくさいと思ったの　ついでにどうでもいいや、だなんて

学食で同じメニューを選んだら君がいちばん見える席へと

わたしだけそうじゃないなら会えないよ覚悟と決心味方につけて

少しだけ躊躇しながら伸ばした手「前髪ずいぶん伸びたみたい」

杉井武作　21Ａ「クインシー」第６話 2003年01月28日(火)10時47分03秒
▽東條慎生 9A「クインシー」第五話への応答

　　　
　　　　第６話　　学芸に見る物語構造の形態論

俺Ｅ　　　○○ちゃんのひとみ、光ってる
俺Ｈ・Ｌ　本当だ。光ってる。
俺Ｉ　　　光ってる。
俺Ｇ　　　ねえ、それより、はやく海の女王を追いかけて、しあわせをさがそうよ。
俺Ｆ　　　うん、はやく、さがそうよ。
俺Ｂ　　　いや、待って。まさかとは思うけど、しあわせって、もしかすると・・・

　　　　　　間

俺Ｃ　　　なにもったいぶっているのよ。早く、教えてよ。
俺Ｂ　　　だから、つまり、街をぬけだしてから、ぼくらは、海の女王をずっと追いかけてきた。ただ、ひたすら、追いかけてきた。でも、よく考えてみれば、ぼくらは、いつでも、しあわせの中にいたんだ。つまりさ、しあわせっていうのは
俺五割（いっせいに）　　わたしたちっていうこと？　　
俺五割（いっせいに）　　ぼくたちっていうこと？
俺Ｇ　　　ぼくっていうこと？
俺Ｂ　　　（だまったままうなずく）
俺Ｆ　　　ぼくが、しあわせっていうこと・・・？
俺Ｃ・Ｄ　わたしも、しあわせ？
俺Ｋ・Ｈ・Ｉ・Ｌ　わたしも、しあわせ？
俺Ｊ・Ｆ　ぼくも、しあわせ？
俺Ｅ・Ｇ　ぼくも、しあわせ？

　　　　しばらく、ぼーっとしてしまう。呟くように、一人の少年が話す。

俺Ｇ　　　ぼく、何もできないのに・・・。
俺Ｅ　　　なにいってんだよ。おなかがすいて困ったとき、Ｇ君のおかげで、みんな助かったんじゃないか。
俺Ｃ　　　そうよ、Ｇ君がいたから、助かったのよ。

　　　　みんな、Ｇ君の側に、駆け寄り、肩に手を置いたり、なぐさめたりする。

俺Ａ　　　そういえば、大きな岩があって、前が見えないときも
俺Ｈ　　　道が二つにわかれていて、どっちにいったらいいのか迷ったときも
俺Ｌ　　　鳥たちが襲ってきたときも
俺Ｂ　　　霧の中、歩けなくなったときも
俺Ｊ　　　モザイクがうまく消えなかったときも
俺全員　　みんな、君がいたから助かったんだよね。
俺五割　　ぼくたち、みんながしあわせなんだ。
俺五割　　わたしたち、みんながしあわせなのね。

ママ　　　　さあさあ、おいしくってあつあつの、アップルパイができたわよーーーー

俺全員　　わーいまみぃの作るアップルパイはさいこうやーーーー（＞＜）

　　　　　ペチャペチャ　ニチャニチャ　グニュグニュ

俺Ｅ　　　あまくって、なまぐさくって、とってもジューシー☆
俺Ｇ　　　でもなんだか、舌触りがグチャグチャしてない？
俺Ⅱ　　　あれ？なんかヘンだな・・・

俺は皿に目をやり、自分が頬張っているものを確認した。

そ・こ・に・は・・・・・・・

（つづく）

奥野美和　25C「さくらとアイス」 2003年01月28日(火)01時26分18秒

好きだよと同じくらいの意気込みで今日はあなたに別れ告げよう

だだこねる子どもがやけにイライラとするのはひどく羨ましいから

上手に話せないからちょっとだけ待っててお願いあきらめないで

怒らないそう思うのね私なら　なめられてるの？なめているのよ

「やりなおす」なんてそんなのできないよ　「またはじめよう」そうじゃないなら

望んでたことは薄々これじゃない気付いてしまったごめんバイバイ

ポンコツな恋だったけどそれだって走らなかったよりは良かった

捨てられたそんなチンケな言葉など使ってたまるかわたしの恋だ

こっそりとトリートメントの待ち時間　長くなってく始まっていく

イイトシで理想のオンナ語るとは一気に酔いと一緒にサメタ

奥野美和　24C「シャッフルーツ」 2003年01月19日(日)22時53分41秒

憶えたて日本酒飲んでおしまいはパフェでしめるカラフルな酔い

明け方のイベント帰りちらばった夜のざんがい気が遠くなる

不幸せそうに幸せそうです八の字眉でわらっています

無駄じゃないどんな事でもすべていまそう思うから笑い合えたよ

チョコレートパフェをやけ食いそうやって切り抜けていく傷なんてナイ

本当にチャンスをくれてありがとう立ち上がることわたしおぼえた

携帯を気にすることもなくなった囲うものなどもうないんだね

またひとりこんなところに立っていたこの目でちゃんとまぼろしみてやる

奥野美和　1D「ホーリーホールボーン(1)」(仮） 2003年01月19日(日)18時05分34秒

■一つ前の過去ログ：「物語の作法」掲示板 (0019)

[宮田和美] 39A　 (2003/01/18 03:47:30)
[滝　夏海] 12A「あおいろ」 (2003/01/18 01:19:21)
[奥野美和] 23Ｃ「アメーバークローバー」 (2003/01/18 00:46:40)
[石黒美穂] ３？２？Ａ／愛哀 (2003/01/16 04:42:51)
[杉井武作] 6D「鏡の果実」 (2003/01/16 03:36:03)
[杉井武作] 6C「鏡の果実」 (2003/01/16 03:35:46)
[杉井武作] 8D「楽しかった屋久島の思い出」 (2003/01/16 03:35:29)
[松永洋介（アシスタント）] 雑談板に「空の上のサイクリング」の詳細な感想出てます (2003/01/16 02:31:37)
[松永洋介（アシスタント）] １６日の授業で扱う作品 (2003/01/16 01:35:02)
[松永洋介（アシスタント）] 今年度最後！あす（１６日）の授業は杉作作品 (2003/01/15 16:23:32)
[奥野美和] ２２C「耳を閉じても」 (2003/01/14 09:05:31)
[東條慎生] 9A「クインシー」第五話 (2003/01/13 09:27:20)
[奥野美和] 22C「学校でジャム」 (2003/01/04 23:05:57)
[奥野美和] 21C「ふらついて錯覚」 (2003/01/04 22:55:34)
[杉井武作] 21A「エンターテイメントとしての恋愛」 (2003/01/04 18:35:17)
[宮田和美] 38A 　 (2003/01/02 16:00:26)
[古内旭] ８Ａ『クインシー』第４話 (2003/01/02 00:35:55)
[古内旭] ７Ａ「陽子崩壊」 (2002/12/31 18:03:19)
[奥野美和] 20C「シュークリーム主義」 (2002/12/31 11:48:10)
[宮田和美] 37A 夢をみているような夢です (2002/12/31 01:48:27)
[横田裕子] ９Ａ「さらに実話な短歌　１２月２８日編」 (2002/12/28 20:52:50)
[横田裕子] ８Ａ「８割方実話な短歌」 (2002/12/28 20:44:58)
[杉井武作] 20Ａ「しあわせの国から。」 (2002/12/28 13:13:52)
[奥野美和] 19C「忘れる法則忘れない法則」 (2002/12/28 10:57:25)
[宮田和美] 36A (2002/12/27 22:08:50)
[宮田和美] 35A (2002/12/27 02:03:45)
[杉井武作] 19A「call to mind」 (2002/12/26 22:59:46)
[久我真紗子] ３A/ココロの中の渦巻星雲 (2002/12/26 02:38:49)
[滝　夏海] 12A「讃美歌、うたって」 (2002/12/25 19:51:25)
[越智美帆子] 12A　シチュー (2002/12/25 06:48:36)
[宮田和美] 34A (2002/12/24 23:07:39)
[杉井武作] 19Ａ「クインシー」第３話 (2002/12/24 10:36:08)
[杉井武作] 18Ａ「あの子はいつもシコッていて悩みがあると子種虐殺。～サイテーの短歌傑作選～」 (2002/12/23 21:40:16)
[東條慎生] 7A/「なんだよおまえ話聞いてないだろこの野郎」「そんなことないってマジで聞いてるって話ホント」「じゃあおまえ何話してたかいってみろ」「そんなこと言ったってすぐに思い出せないって」「ほらおまえ聞いてねえじゃ…」「あ、そうそう。ウツボだろ、そうそう、ウツボの話してたよな、ウツボ」「……」「ルツボ？」「違う」 (2002/12/23 18:03:08)
[滝　夏海] 11A「おひさまひとつ　ふたつ」 (2002/12/23 01:02:09)
[越智美帆子] 11A　恋歌 (2002/12/22 09:22:26)
[奥野美和] 18C「寝台列車に乗りませんか」 (2002/12/22 00:28:47)
[宮田　和美] 33A (2002/12/19 02:07:49)

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