投稿者:寮美千子 投稿日: 9月 6日(水)03時07分29秒
先日、四国の丸亀で星の井探検隊の松永隊員のご実家の庭のお茶室に泊めていただいて
感激の話はすでに書きましたが、後日談です。
町田でコンビニ経営をする友人の家に遊びにいって、その話をして、ふと思い出しました。
「おじいさま、確か京都で宮大工をなさっていたんでしたよね」
彼女の旧姓は北村。おじいさまは、茶室建築で有名な北村伝兵衛氏です。
その伝兵衛氏、京都の山科に、どこからどこまで自分好みの茶室「山科山荘」を
自分で建てちゃった。
彼女は幼い頃、夏はいつもその山荘で過ごしたといいます。
「そうだ。ビデオがあるの。見る?」
といって見せてくれたのは、ホームビデオなんかじゃない。
なんと! NHKの特集番組の録画だったのです。
番組まるまる、彼女のおじいさんの「山科山荘」について。
その建築のすばらしさを伝える番組でした。
目をまん丸くして見ていると
「あ、これ、丸亀の松永さんちのお茶室の明かりとりによく似ている」
しかし、それだけではなかった。
解説者が座っている背景のふすまを見ると、なんと丸亀のお茶室のふすまそっくり!
そのふすまの引手には金具がはまってなくて、
なんて説明したらいいのかな、横に一本切れ込みを入れて、
その下を押してへこましたような(これじゃわかんないよね)造形。
わたしも仕事でずいぶんたくさん和風建築を見てきたけれど、
そんなふすまの引手ははじめてだった。
珍しいなあと、気にとめていたそれとまったくおなじ形のものがそこに!
しかも白無地のふすま紙の質感までそっくり。
丸亀の松永邸では、昭和の初期に京都から宮大工さんを呼んで
お茶室を建ててもらったとのこと。
きっと、北村伝兵衛氏本人ではなくても、どこか関係のある人に違いない。
面白いなあ! こんど調べてみようかなあ。
というわけで、星の井探検隊は、急遽建築探偵隊も兼ねることになりました。
松永隊員はもとより、丸亀で茶室に泊まったドロンコ氏も強制隊員にしますので、
よろしく。詳しいことわかり次第、またここでご報告します。
投稿者:寮美千子 投稿日: 9月 6日(水)23時14分51秒
▼引手の形状
まず、紙を一枚用意します。
そここに、コの字型の切れ込みをいれます。
それを左に45度回転します。
そして、上になった部分を向こうに押し込みます。
押し込まれた紙と元の平面をつなぐようにマチをつけます。
これで、金具なしの引手のできあがり。
なあんて、わかった? 大長老。
▼一目瞭然
わかるわけないよねえ。
で、描いてみたんだ、その形状を。
こちらをごらんあれ。
寮美千子サイトに新たに登場した玩具箱です。
進化する寮美千子より
http://www.linkclub.or.jp/~chico/toy/toy.html
▼松永邸の茶室のふすまの引手(四国・丸亀) 金具なしで、切れ込みがあるだけ 周囲の枠は、ふすまの平面を示すために描いたもので、ふすまと一体化 北村伝兵衛氏の山科山荘(京都)にあるものとよく似ている |