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杉本茅 課題2(3) 2001年05月30日(水)11時57分40秒

 「五才病」


 雨がたくさんふっています。
 みなみは食卓のまどから、外を見ていました。もう夕方、台所からはお母さんが夜ごは
んを作る音が、やさしく聞こえています。
 でもみなみはとってもつまらない。毎日がとってもつまらないのです。お父さんに、い
っちょまえに五月病かあと言われました。五月病というのは、五月になって何だかいろん
なことがイヤになって、つかれちゃう病気だそうです。
 みなみは今ちょうど、そんな感じ。幼稚園だろうが家だろうが、毎日何かしらイヤで、
朝もふとんの中からなかなか出られません。でも、去年もおととしの五月もその前もたぶ
ん、こんなにつまらなくなったことはありませんでした。毎日何かと、けっこう楽しかっ
たように思います。だからみなみは、これは五才病なのだと思うのです。五才になって初
めてかんじたこの気持ちを、みなみは五才病と名づけたのです。

 みなみは五才です。幼稚園の年中です。年中は、上には年長がいて、下には年少がいて、
何だかちゅうとはんぱな気がします。年長みたいにかっこよくもないし、年少みたいにか
わいくもないし。年中のいいところって、何にもない気がします。
 みなみのたんじょうびは、四月です。同じくみのだれより早く、五才になりました。だ
からって、何にもいいことなんてありません。おたんじょう会だって去年と同じだし、先
生には何かと、みなみちゃんはもう五才なんだから、と言われます。だから何だって言う
のでしょう。好きで四月に生まれたわけではないし、年をとっていればすごいというわけ
ではないのを、みなみはもう知っています。
 こんな感じに毎日つまらなくていやなことがあるのは、五才病だからにちがいないと、
みなみは思います。そして、早く直ればいいと思います。

 雨はまだまだふっています。のき下のバケツに水がたまる音も、もうさんびゃくまで数
えてしまいました。みなみはそれにあきて、そんなことをしている自分にもあきて、テー
ブルにつっぷしました。
 そうしてすこしだまっていると、どこからか小さな声がしました。もっとだまってみる
と、どうやらいきもののなき声のようです。みなみはすこしつまらなくなくなって、その
声がするもとをさがしに行きました。
 えんがわを開けてみると、その下から聞こえるようです。しずかにのぞいてみると、い
ました、小さな小さな白いねこが、こちらを見ていっしょうけんめいないています。
 みなみは、つっかけをはいてねこの前におりました。ねこはみなみにおびえているよう
にも、たすけてほしいようにも見えます。
 みなみはそっと手をのばして、ねこのせなかのところをさわってみました。けなみは、
ぬれてぺったりしています。にげずに、バケツにぴったりくっついています。みなみはう
れしくなって、ゆっくりゆっくり、せなかをなでました。
 そうしてしばらくなでていると、誰かがみなみを呼ぶ声がしました。
「おーい、みなみー」
 あれはおとなりのお兄ちゃんです。もう中学生ですが、時々みなみとあそんでくれます。
 みなみはねこをふりかえりふりかえり、お兄ちゃんが立っているげんかんまで行きまし
た。お兄ちゃんはかさもささずに、雨まみれになっています。
「どうしたの?」
 みなみが聞くと、お兄ちゃんは言いました。
「おまえちっこい猫見なかった?」
 みなみはどきんとしました。今ちょうど見たところではありませんか。何だか悪いこと
をしてしまったように、しんぞうがどきんどきんと早くなります。
「見たよ、いま見たよ。えんがわにいたよ」
 早く本当のことを言ってしまいたくて、みなみは早口になりました。
「そっか! サンキュ!」
 お兄ちゃんはうれしそうに笑います。みなみもほっとして、お兄ちゃんをえんがわに案
内しました。
「おっ、いたいた。まったく、こんな雨の日なんかに、脱走なんかすんなよなー」
「だっそう?」
 みなみは聞きました。そう言えばおとなりがねこをかっているなんて、はつみみです。
 おにいちゃんは、ねこをふきながらちょっとこまった顔をしましたが、小さな声で教え
てくれました。
「実は内緒で部屋で飼ってんだ。父さん猫嫌いだからさ。おまえ、母さんとかに言うなよ
な、どっちのにもだぞ」
 みなみはびっくりして、こっくりうなずきました。ないしょで部屋でかうなんて、お兄
ちゃんはとても大人な気がします。
「かわいいだろ、公園でひろったんだ」
 お兄ちゃんはえんがわにこしかけて、みなみにねこを抱かせてくれました。タオルでふ
いたねこはまだすこししめっていましたが、あったかくてやわらかくて、おなかのあたり
はふかふかしています。
「でもあちこちでおしっこはするし、部屋のものぐちゃぐちゃにするし、かわいくない時
もあるかな」
 それでもそう言うお兄ちゃんは、とても楽しそうです。みなみも何だか楽しくなりまし
た。ねこはみなみのひざで、丸くなっています。とってもあったかくて、いい気持ちです。
 それから、お母さんに見つかるとまずいからと、お兄ちゃんは帰っていきました。みな
みはもうすこしねことあそびたかったので、とてもざんねんでしたが、いつでもあそびに
来ていいとお兄ちゃんは言ってくれました。

 みなみは、食卓に座って外を見ています。
 みなみはとってもつまりません。ねこはいなくなってしまったし、雨はさっきよりたく
さんふっています。
 でも、今日の夕飯はみなみの大好きなたきこみごはんです。さっき帰ってきたお父さん
は、おみやげにゼリーを買ってきてくれましたし、明日幼稚園から帰ったら、お兄ちゃん
の部屋にあそびに行くやくそくをしました。
 みなみは指をおって数えました。つまらないことは二つ、つまらなくないことは三つ。
つまらなくないことの方が、一つ多いです。
 みなみはちょっと考えました。つまらないとは言っても、雨はいつか上がるし、
小さなねこには明日会えるのです。だったら今日は、つまらなくないことだらけです。

 夕ごはんの後、みなみはお父さんとゼリーを食べていました。
「みなみ、何だか楽しそうだな。五月病は治ったのか?」
 お父さんに聞かれて、みなみはまた考えました。
 五才病は直ったのでしょうか。いいえ、それでもつまらないことはたくさんあるように
思います。でも、つまらなくないこともたくさんあるのです。お兄ちゃんのねこが、かわ
いい時もあればかわいくない時もあるのと、おなじです。
「まあ何はともあれ、いろいろ考えることはえらいことだからな」
 お父さんはそう言うと、みなみの頭をぽんぽんとなでてから、ソファでやきゅうのナイ
ターを見始めました。
 みなみはなでられた頭がとってもあったかくて、もうしばらく五才病にかかっていても
いい気がしてきました。それに、五才病と言うくらいですから、六才になったらきっと直
るはずですものね。ゼリーの最後の一口を、みなみはつるりとのみこみました。

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根本 紗弥花 高橋阿里紗 課題2(2) というか、自分のこと?! 2001年05月30日(水)07時43分18秒
pttp0002.html#pttp20010530063723への応答

彼女の作品を読んでて思ったんですけど、私もそうなんですが、“状況”を書きたくなっちゃうんですよね。
ディティールっていうか、こんな風にきれいだ、とか、こんなことがあった、とか、そういうことを重視しちゃう。
だから、“物語”としては、内容とか、ストーリー性(?)みたいなものに欠けてしまう。
物語のために設定された状況じゃなくて、その状況を伝えたいがために設定された物語、みたいな。
私のだと、課題2(3)は、完全にそれだけで書いてるし、他にも、“それだけ”ってのがたくさんあります・・・
(^^;)
江国香織にそんなようなのがありますが、やっぱり、基本を踏んだ上で成り立つものなんですよね・・・。
そんなようなことを考えて、また反省したのでありました。
私みたいなのはあんまり短編向きではないのかもしれません・・・。
(童話向きでもないかもしれない・・・)
というわけで、次はもうちょっと年齢層を上げて、もうちょっと長いのを書こうっと。

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高橋阿里紗 課題2(2) 2001年05月30日(水)06時37分23秒


「☆天体人観測☆」

コメットさんの天体望遠鏡は高性能です。
特に今夜みたいに、街灯の下の黒い猫が
『ミャーオ』
と鳴いている声が響くような静かな夜は、いつもよりずっとしっかり」星達が見えてくるのです。
コメットさんはいつものように天窓から天体望遠鏡をのぞかせました。机の上に小さなレンズの丸めがねを置いたら天体観測の始まりです。

「今日は金星からいくぞ...!」
金星にレンズを合わせると、その瞬間痛いくらい眩い光が目に飛び込んできました。一面の麦畑です。金星は今刈り入れ時のようです。金星の人が楽しそうに歌いながら麦を刈ってました。黄金色の風が吹きました。

「お前今日はずいぶん調子が良いじゃないか!」
コメットさんは天体望遠鏡をポンポンたたきました。
「ようし、次は水星だ!」
水星にレンズを合わせると、そこは氷の世界でした。氷のお城の氷の庭には、氷のバラが咲き乱れていました。氷のお城の主はどうやら留守のようです。雲と雲の間から冷たい光がさしこみました。

コメットさんは少しブルブルっとなってから、火星にレンズを合わせました。
目の前に大きな火山が見えます。煮えたぎった噴火口から不死鳥が生まれました。生まれたばかりの不死鳥は、力強くはばたいてコメットさんにウィンクしました。遠くの山麗に大きな角を持った翼竜の影を見た気がしました。

コメットさんはドキドキしながら嬉しくなってきました。次は土星です。
雨と風が激しく打ちけてきます。土星の人の親子が窓から遠くの空を走る雷を眺めているのが見えました。その時、コメットさんめがけて桃色の雷が落ちてきました!

コメットさんはびっくりして天体望遠鏡から目を離してしまいました。
木星は、コメットさんが二番目に好きな惑星です。ワクワクしながらレンズを木星に合わせました。
樹です。大きな宇宙樹が、まるで木星を守るように根をおろしています。太い枝には小鳥たちが巣を作って囀ってます。小鳥達はこの木星の宇宙樹が大好きです。そして、宇宙樹はこの惑星のすべてを愛しています。今日も左下の巣の中から雛鳥達が巣立っていきました。

コメットさんは幸せな気分でレンズから目を離しました。
そして、いよいよ今夜最後の天体観測です。コメットさんが一番大好きで、一番楽しみにとっておいた月の番です。少し緊張しながらゆっくりレンズを合わせていきました。
一瞬何が見えたのか分かりませんでした。それは、とても大きな、レンズから溢れるくらい大きな人の目でした。コメットさんはびっくりしながらレンズを遠くにしてみました。そこにはコメットさんがいました。月から天体望遠鏡で、地球にいるコメットさんを見ているのです。よくよく見てみると、月のコメットさんの頭には白くて長いウサギの耳はえているではありませんか!月のコメットさんも、地球のコメットさんがこちらを見ているのに気がつきました。そして、月のコメットさんは、地球のコメットさんにおどけておじきをして、ニシャリと笑いました。地球のコメットさんも、月のコメットさんにおどけておじきをして、ニシャリと笑いました。月のコメットさんの白くて長いウサギの耳が、月の夜風を受けてピロピロ揺れていました。

夜空が少しずつ明るくなってきました。コメットさんは小さなレンズの丸めがねをかけて、天体望遠鏡の大きなレンズを磨きながら、天窓から今にも消え入りそうな月を見上げて言いました。
「金星も、水星も、土星も、木星も、そして月も、一度は住んでみたい星だな   ぁ...。」
ふと視線を感じて天窓の下を見てみると、黒い猫が黒曜石の瞳でコメットさんを見上げていました。コメットさんは、
「なぁに、地球もまだまだ捨てたもんじゃぁないさ。」
と言ってニシャリと笑いました。黒い猫は、
「ミャウ」
と短く返事をして、朝焼けの街角に走り去っていきました。

                                fin.

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西浦多樹 課題2(3) 2001年05月30日(水)03時45分56秒

なぜか書き出すとちょうど8枚になってしまう西浦です(^^;
この間の講義の後に先生からいただいたコメントのことなど。
前回提出した「ひとつぶの海」はあたためておいて、
「ひとつぶの海」の中に出てくる、小さな木の話を
別に書いてみては?というアドバイスをいただきました。
「ひとつぶの海」は、書こうとしていた物語を実際に書いてみたら、
書くつもりのなかったものまでが露出してきてしまったのでは、
という指摘を受けました。それで、もとの方を書いてみました。
といっても、私が最初に書こうとした物語とはちょっと違う気がするのですが。
ともかく貝殻のなる小さな木に光を当ててみました(ちゃんと当たってないかも)

「海になる」

 風がふけば、その森はまるでもう、海の中です。
 よく晴れた明るい昼間、強い風が森の上をわあっと通りなかなか過ぎてゆかない時など、地にたって見上げれば、木々が風のゆくえにしたがって枝をしならせ葉をはためかせており、それはまるでたえず寄せては返す波のように、ひとつの大きな流れとなっているのです。森の底にじっとしていると、波の音はさらに風をよび、海の底のように、その音は耳をくすぐるには遠く、ただ、光が届かず、やわらかくしめった土のにおいだけが、たしかに地上を思わせるのでした。
 その森に、小さな木がたっていました。ずいぶん長い間そこにたっていたのですが、太陽の光はほとんどまわりの木々へとすいこまれてゆき、小さな木はいつまでも小さいままでした。
 小さな木は、それはもうずいぶん小さいことをかなしく思っていましたが、時々小さくため息をつくほかは、なにも言いませんでした。そして、きちんと一列に時を刻んだようにのびたまわりの木々は、上空をかすめる風の渦に葉をわさわさとさせるほか、小さなため息には聞こえないふりをしてだまってたっているしかないのでした。
 そんな夏のある晴れた日の午後、風のかけらが道をふみはずして迷いこんだのか、いつもはかすんだ遠い歌にしか聞こえないまわりの木々の声が、その時ふいに小さな木のところまではっきり聞こえてきました。
「あの鳥はなんだろう」
「今まで見たことがないな」
「どうしたっていうんだろう」
「さっきからまったく休みなしだ」
「ここらをぐるぐる飛び回っている」
「なにかをさがしているんだろうか」
 木々が口々にいう言葉は、新しい通り道をたどってきた風とともに、小さな木のもとへ届けられました。そして、ふと森の中の音という音が一瞬止んだように思ったとき、その静寂のすきまへ差しこまれた時の使者ように、白い鳥がまっすぐ、小さな木のてっぺんに舞い降りたのです。
小さな木はびっくりして身をかたくしました。しかし鳥は、それを知ってか知らずか、まるで自分の巣に戻ったかのような風なのです。
 小さな木は途方に暮れていましたが、鳥のかすかなあたたかい呼吸を感じると、いつも昼間にわいてくるがさがさした気持ちをのみこまなくていいような気がしていました。そしていつのまにか、どこか遠い国の物語の中にでも迷いこんだような、それでいて遠い昔に住んでいた懐かしい場所であるかのような、ふしぎな気持ちになっていました。
 その日の夕暮れ時のことです。
 小さな木がまどろんでいると、ひとりの少女が、木々の間をぬって歩いてくるのが見えました。晴れた空にうかぶ入道雲をいっぱいくっつけたみたいな真っ白いワンピースをきたその少女は、まるで夕暮れに染まらない、たったひとつのもののように見えました。どこかしんとすきとおっていて、ひんやりと冷たくなっているようなのでした。
 少女はしばらく小さな木のそばに座っていました。そして、なにかを思い出すように見上げました。
 はたして少女の目に白い鳥はうつったのでしょうか。少女ははっとしたように目をきらっとさせると、ポケットからなにかを大事そうにとりだし、そっと指につまむと、光にかざすようにしたのです。
 それは小さな巻き貝でした。小さな木はどきどきしました。少女が泣き出してしまわないかと心配したのです。なぜって、光が届かなくて小さいままの自分よりももっと小さい女の子までなんて、ちっとも届かないと思ったから。
 けれど、少女は泣きませんでした。泣かないばかりか貝殻を見つめる目はまぶしいくらいに輝いていました。たくさんの生きものが住んでいる海みたいな目を、一心に貝殻に向けていました。そして、少女はなにかつぶやくと、その貝殻を埋めたのです。小さな木がたっている、その場所に。すると、小さな木は、時の流れに身をまかせるように、深い眠りへと落ちていったのです。
 小さな木が目覚めると、辺りはすっかり真っ暗で、夜に閉ざされていました。しかし、なにかがいつもとちがいます。小さな木がそばには、鹿がとろんと目を泳がせて寝そべっていたのです。
鹿は、「ごきげんよう。すてきな夜ですね」とおちょぼ口ですまして言うと、大きな目を今度はぱちくりさせました。
「ご、ごきげんうるわしゅう、鹿さん」
 ずいぶん長い間話をしたことがなく少しがさがさした声でしたが、小さな木は思いつく限りでいちばんとっておきのあいさつをしたので、武者震いするように枝がふるえました。すると、聴いたことのない、染み入るような音色が、辺りいっぱいに飛び散ったのです。
「ああ、なんて美しいのでしょう。」
 鹿の声は、闇夜にひとつ明るい穴をあけて、小さな木にまっすぐ届きました。
「ねえ、そのきれいに光っているもの、ひとついただけないかしら」
鹿は立ち上がって、木にいいました。
「え? 光っているものってなあに?」
「とって見せてあげるわ」
 鹿は小さな木に近寄ると、枝に口を近づけました。そして、かすかな音をさせて、それをとって、小さな木に見せました。
「あっ、あの女の子が埋めたものだ」
 それは白く輝く巻き貝でした。月から注ぐ銀の光がまぶされて、まるで星のような。
「あなたの枝にたくさん実っているわ。きれいな声が風にのって聞こえてきたからここまできたのよ。そしたらこの実が遠い海の話をしてくれたの。ああ、ほんとうにすてきだったわ。ありがとう。海のお話なんて、わたしはじめてよ」
 鹿はこれ以上はないというくらいていねいにおじぎをすると、暗がりへと消えていきました。そして、白い鳥は見届けるように、鹿についていったのです。
 その日から、そんなことが毎日続きました。白い鳥は毎日やってきて、次ぎの晩も、その次の晩も、目覚めてみると森の動物がきていました。そして、小さな木の知らない間に貝殻は海の話を動物たちにきかせ、動物たちは喜んで木にお礼を言っていきました。それなのに、小さな木は一度も貝殻の話を聞いたことがなかったのです。
 そうしているうちに、貝殻はどんどん小さな木の枝から消えていきました。そして、月が闇すきまにほんのわずかな光を放つ夜、とうとう貝殻が最後のひとつになったとき、小さな木はほのかに感じたのです。自分の命も、もう長くはないことを。
 そうして、朝がきました。鳥が、いつもより早く、なにかの時をつげるようにやってきて、小さな木のてっぺんに舞い降りました。いつもよりずっと、風のようにからだを透き通らせ、大きな絵を描くように、ゆっくりと。
鳥は、しばらくじっとしていましたが、やがて小さな木の枝から貝殻をとると、またゆっくりと飛び去っていったのです。
 風はいつものように森の上を通りすぎてゆきました。それは森をほんの少し海の匂いにつつんで、そして消えてゆきました。
 小さな木はそうして消えていったのです。
 太陽はぐんぐんのぼってゆき、やがて夕暮れが森を訪れても、小さな風のかけらが森の中を通り過ぎると、森をつつんだかすかな海の匂いは、小さな木がたっていたすぐそばを、ひとすじの河になって流れてゆきました。
 それはやがて森に散っていった貝殻に届き、語られる物語を聞いてゆくのです。

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杉山千絵 杉山千絵 課題2(3) 2001年05月30日(水)01時27分23秒
pttp0002.html#pttp20010528012804への応答

タイトルは「ばんゆういんりょく」とか。
だめです。か?
引き続き考えます。

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根本 紗弥花 課題2(4) 2001年05月30日(水)01時08分05秒

勝手にスランプに落ち込み、今までのに手直しも出来ず、なぜか今さら新しいのをひねり出してしまいました・・・。
なんだかもう、どれがいいんだか、なにがいいんだかわかりません(泣)
どうか、手のあいた人、突っ込みいれてくださいっ。
なんか、筋としてははじめの「さくらがい」にかなり近いと思うんですが・・・



『夜の公園』

よりちゃんのいえは 大きなマンションの中にあります。
マンションのまえは こうえんになっていて よりちゃんは いつもそこで あそんでいました。
5じになると ママがむかえにきます。でも、よりちゃんは かえりたくなんかありません。
もっともっと あそんでいたいのです。
「よるもあそんでいられたらいいのに」
よりちゃんは ずっとそう思っていました。
その日も、よりちゃんは ママがむかえにきても どうしても もっとあそびたくてたまりませんでした。
そこでよりちゃんは、パパとママがねむってしまうまで ねむらずに じっとまっていることにしたのです。
ずいぶん長いことまってやっとパパとママがねむったようです。よりちゃんは ベットを、そっとそっとぬけだして、一人でそとへ出てみました。
そとの空気は、ひるまより すーんとつめたくて すんでいました。よるのこうえんは オレンジのがいとうのあかりだけで うすぐらく、まるでべっせかいです。人のけはいもぜんぜんなくて、まるでせかいに よりちゃん一人っきりになったみたいな気がします。くらくて どこもかしこも かげだらけで、おばけが出ても おかしくなさそうです。
よりちゃんは なんだかこわくなってきて しまいましたが、ゆうきを出して、いっぽ、にほ、とこうえんに入っていきました。
すると、すぐうしろのしげみで、とつぜん
ガサガサガサ!!
と、なにかがうごく音がしました。
「おばけだ!こわいよ!どうしよう!!」
にげようとしましたが、こわくてうごけません。声も出ません。
ところが、しげみからにゅっとかおをだしたのは、いっぴきのきつねでした。
「ごきげんうるわしゅう、おじょうさん。こよいはなぜによるのこうえんへおいでです?」
きつねはうやうやしくおじぎをしていいました。
よりちゃんはまだふるえている声でこたえました。
「だって、あそびたりないんだもの。よるも あそべたら すてきだなって 思って・・・」
とたんにきつねは おおげさにりょうてを広げて こういいました。
「おお!ということは、よるのどうしになかま入りってわけですな!おおい!!みんな!あたらしいなかまだ。」
すると、いままでなんのけはいも なかったはずなのに、あちこちのしげみから いっせいに、たぬきやうさぎやねずみたちが かおを出しました。
どうぶつたちは それぞれ よりちゃんに ちかづいてきては あいさつしていきました。
「さぁ、かんげいのダンスだ!」そうかけ声があがると、まずうさぎたちがタップをふみだしました。
トンタタ・トンタ・タタタタ・タタン!
するとこれにねずみたちがくわわって、
チッチチ・チチチ・チッチチ・チチッチ!!
そしてたぬきが
ポーン ポーン ポーン
と、ゆるやかなリズムをとります。
どうぶつたちはみんな それに合わせておどり出しました。いつのまにかこうえんはひるまのようににぎやかになっています。
よりちゃんは、どきどきして、わくわくして、きつねに手をとってもらっていっしょにおどりました。
いつのまにか、うたもくわわっています。
「トンタタ・チチチ・ポーン・ポーン
よるのどうしにゃ こわいものなど ございません
トンタタ・チチチ・ポーン・ポーン
おばけに ようかい なんでも ござれ
トンタタ・チチチ・ポーン・ポーン
きょうは しんいり だいかんげい
つきはわらうよ かげおどる
トンタタ・チチチ・ポーン・ポーン・・・」
それから、リスがオニになって たからさがしゲームもしたし、かくれんぼのときは よりちゃんがオニになりました。かけっこは、なんどやってもうさぎが一番なので やめにしました。
そうして うたっておどって あそびつかれると、こんどは きつねとたぬきが 手品をはじめました。
きつねは 木の葉をあやつる天才でした。きつねにかかると木の葉は ちゅうをまい、きつねのいったとおりのかたちを つくるのです。どうぶつたちのかおや、ほしのかたち・・・そしてさいごは ことりのかたちになって とんでいってしまいました。
たぬきは土を思いどおりにうごかして、かたちをつくってみせました。まずは自分、そしてきつね、うさぎ・・・よりちゃんのとなりに 土のよりちゃんをつくったときは みんなだいかっさいでした。
どれくらいたったでしょうか、とつぜんうさぎたちがさわぎだしました。
「かげる!かげるよ!つきがしずんで よがあける!もう おひらきの じかんだよ!!」
するときつねが よりちゃんの手をひきました。
「さぁ、おひらきのじかんだよ。よるのどうしが いるべきところへかえろう。」
「ずっとあそべるんじゃ、ないの?」
きつねはこたえます。
「いいや、よるだけさ。あさがくるまえにかえらなきゃ。さぁ、いこう!」
きつねはまた よりちゃんの手をひっぱります。
「よりちゃんのおうちは そこのマンションよ。そっちじゃないわ。」
するときつねは 少しこわいかおをして いいました。
「だってきみは はじめによるのどうしになると いったじゃないか。よるのどうしには よるのどうしのすみかが あるのさ。ひるまのもののところへは かえれないよ。
さぁ!くるんだ!!」
よりちゃんはこわくなって きつねの手をふりはらって あとずさりしました。
「いや!いや!こわい!よりちゃんおうちへかえる!!」
すると、きつねのかおが バッとかわったのです。
目がつりあがって、口が耳までさけています。そしてずむむむむむんと大きくなりました。よりちゃんの10ばいはありそうです。
「くるんだぁ!!!」
きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
よりちゃんは ひっしではしりました。うしろからはこわいかおをしたどうぶつたちがおいかけてきます。
はぁっはぁっ!!
いきがきれてたおれそうになったころ、よりちゃんのいえのドアが見えました。
がちゃん!!
ドアの中ににげこむと、よりちゃんはへたへたとそこにしりもちをついてしまいました。

それいらい、よりちゃんは、よるもあそびたいとは 思わなくなりました。
でも、いつか、もうすこし大きくなったら、またよるのこうえんに いってみようかな、とも思っています。
だって、あれからよりちゃんには見えるようになってしまったんですもの。こうえんにあそぶ子の中に、きいろいふさふさしっぽや、長い耳をもった子が。

                       おわり

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仲田純 課題2(3) 2001年05月29日(火)16時46分39秒

 「人 僕 人」 
                  
ぼくは 人と人の あいだ間に ありたいのです。
あのひとはスゴイ、 このひとはやさしい。(君はいつもわらっている)
ぼくは 気づいたのです。 気になるひとが いることに。
気づくまでに、いろんな ひとに あいました。
小さな頃に。
 
むしがよける。くさがよける。
田んぼ道を とおりすぎて ぼくは いきどまりの砂場。
砂場は わすれられたかのように かなしく荒れています。
ぼくは なんだか  かなしいです。
なにかが砂の くぼみにかくれています。
なにかちいさい絵です。
僕の目は すこし 色づきます。
引きつけられた目の輝きが 足を運びます。 
はじめの1歩のいきおいで ぐんぐん ぐんぐん 近づきます。
そして僕は その絵と にらめっこしました。
 
 「王様」、「手品師」「ミイラのらみらみ」「幸せ学者」「ピエロッテ」。  
と、からだを上下にはさんでいる名前。名前に支えられて いかにもきゅうくつそうに みんなは 四角い小さな カードの中に カッチンとはいって、砂場のすみにちいさく 円を描いて立っていました。ぼくはずっと見つめていました。時間がいくら経ったのかわからないくらい。ついに僕の 心が 色が 元に戻ってしまっていくのを感じていたそのとき……。 

「 ひきつけられたこの道に……」何かがささやきます。
「 しあわせもとめてやってきて…… 」なにか かなしい 響きです。
「 きみも しゃべれば 友達さ! 」とってもようきな 調べです。
 ぼくは 円の中で ぐるぐる ぐるぐる 奇妙な声に 回されました。
 ……夢から さめたように 僕はいいました。
「 これは 夢なの?」
 僕は ふいに つぶやくように たずねました。
「 うん、 夢のようなせかいだよ。きみも 今日から 友達さ!」
目の前にさっきのピエロがいました。ピエロはやさしくわらってます。
ここはどこでしょうか。
ここは いきどまりの砂場。ただの悲しげな砂場。
けれど ここはなにかの間でした。そのなにかはわかりません。
 
 一つわかったことがあります。 
 みんなは よくしゃべるのです。
 悲しい時でも。うれしいときでも。

 王様はいいました。
「 わしは 人のうえには たちたくない。だけれど、みながそれを好むなら ま だまだわしは うえにいよう。」 と悲しげな王様。
 そんな横顔にピエロッテは言います。 
「 ねえねえ王様、そんなに しゅんしゅんしないでさ、笑顔のステキな王様だか らみんながみんな好きなんですよ。」 
 ピエロッテのふんわり笑顔で 王様、悩みも 笑顔のかなたに消え去ります。
 うしろのほうから 幸せ学者が言いました。
「 一人の幸せ みんなの幸せ どっちも大事な幸せだけれど、両方とるのは
 むづかしい。あなたはどっちがしあわせ? 今日も元気な、らみらみさん。」
 らみらみがいいます。
「 私は1000年生きたミイラです。いろんな幸せ見てきたけれど、どっちもと るのはむずかしい。元気な時は楽しいけれど、ときどき病気は つまんない。だ からやっぱり 元気が一番!」
 と、今日も晴れの日 げんきな らみらみ。 
ぼくは みんなを 好きになりました。
みんなも ぼくと はなしてくれます。
しゃべることから うまれるものがあるからです。
みんなは 僕のことを 「僕」とよびます。
だから ちょっぴり うれしいです。
最後にはなした手品師は 僕に1枚の カードをくれました。
そして みんなは ふたたび カードにもどりました。

人 僕 人。
ぼくは 気づいたのです。
ぼくは みんなの間 にいたことに。

…僕は いま 田んぼ道にいます。
くさやむしは もうよけません。

道はながくながくつづいています。
道はうしろにもまえにもつづいています。
道は はてしなく広がっています。
しかし 僕は 一人ではありません。

まだ ぼくは 間にいます。 
まだまだ ずっと 僕は 間にいます。
まだまだ きっと 間にいれます。
みんなが ぼくを わすれなければ。 
ぼくが みんなをわすれなければ。

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仲田純 課題2(2) 2001年05月29日(火)15時55分30秒

まちに 記号 がやってきた(2)       

   あるひ まちのものが ぜんぶ 記号化 される日が やってきました。
 
『 ひとはどーしたら しあわせになれるのか』幸せはかせは かんがえました。         
 
 いままでの 記号というのは、いわゆる (おつきさま) (おてんとさま) みたいに かんたんに  だれでも かけるように したものです。このたびのは  めのまえに あるもの そのものが コンピュータによって記号になります。ただしカガミにだけは うつりません。
  
 記号化しよう という かんがえは ずっとずっと むかしから あったのですが、 べつに そんなに あわてて やる ことは なかったので、 ひとびとは ゆったりと めに うつる オレンジイロの おてんとさまが おちてゆく すがたを みたり、 ちいさな ボウケンごっこ は あるく たびに いろいろな むしや いろいろな ヨウセイを みたりすることが できました。 
 
 このころには すこしの 記号化 された ものたち が いました。 それは おおくの ひとが きらう ような へび や クモ あるいは いえの中に げんてい された ゴキブリ などが記号でした。 ですから、まちのひとびとは すこしの ひとのモヤモヤがあるくらいで、さほど 気には していなかったのです。
 ………しかし、このたび すべてが 記号化 されると きいて あるいは 記号化 された コトバ をみて  まちじゅうの ひとびとは それはそれは もう たいへんな さわぎよう です。 いえ ひとびとだけに とどまらず ちきゅうにすむ むしたちや 木々 あるいは そこらへんに ころがっている いしころたちも たいへんな さわぎようです。

 「 ねー 記号化って、なーに? 」 空を飛んでいる とりのこどもが おや  どりにたずねました。
 「 『記号化』 っていうのはね 、目にうつる ものの うごきかたを カンタンにしてしまう ことなのよ。」
 「 ふーん、 ねー ボクが 記号に なったら どーなるの? 」
 「 そーねー わたしたちは つばさ だけに なっちゃうわね。」
 「  へー  」  
……ソノトオリ。
 トリのおやこは ものごとを わかっていました。
 トリたちは  みんな つばさに なるのです。
 しかし なかには トンチンカンもあります。  
つぎに ぞうのおやこが やってきました。
 「 ねー とーちゃん。 ボクたちが 記号に なったら どーなるの? 」
 「うーん、そーだなー からだが いまより かるくなるぞ きっと。」
 「 ふーん 」
 ……チガイマス。
 ぞうのおやこは ものごとを わかっていない ようです。 
 めにうつる ものが カンタンに なるからといって たいじゅうは かわりません。
 つぎに スカンクの おやこが やってきました。
 「 ねー おにいちゃん。わたしたち 記号に なるんだって。 」
 「 あー しってるよ。 」
 「 ねー おかあさん ワタシたちが 記号に なったら どーなるの?」
 「 そーねー わたしたちは いーにおいに なれるわね、 きっと。 」 
 ……ナリマセン。
 スカンクの ゆめは かないません。 スカンクのにおいは コンピュータが きらうため、 記号にはなりません。スカンクが にげるときに はなつ あのにおいは スカンクたちにとって とても すばらしいのですが………。

 さて、 いよいよ 記号化される ときが やってきました。30分 にわたる まちびと まちおさ まちせんにんの はなしをおえて まち小人の 手によって 記号化コンピュータの ボタンが おされました。まずは 空ボタンです。
 
 記号化 されていく いっせいの 空もようの ひろがりに まちの ひとびとは おくちを おーきく まるく ほっぺを りんごのあかで みとれています。 とりは みんな つばさ になり、 おひさまや おつきさまも かわいらしい 記号 になりました。 つぎに 大地ボタン をおしました。 でっかな 
ちきゅうが 記号化されると いっしょに ちきゅうに どしどし のっかっている どうぶつたちや 木々たちも すべて 記号に なりました。 どうぶつたちは みつめあっています。  

 のこされた ボタンは あと1つ。 ひとボタンです。 
この ひとボタンは コンピュータが もっとも なやんでできた ボタンでした。大地ボタンとは べつに とくべつに できたボタンです。
 
 ひとびとは いまかいまかと まちくたびれている ようすです。しかし まちのひとびとは じぶんたちが どんな 記号になるのか まったく しりません。 しかし いちにも はやく 記号になりたい ひとびとは ついに コンピュータの おかれている まちの たかだいを とりかこみました。ひとの ひとの 汗と 胸のドキドキで たかだいは熱気に つつまれました。 
 
 そんな、 熱気をきらったコンピュータ。 にげようとして あしをすべらせ 丘のうえから ゴットン ゴットン おちました。そんな ひょうしで ボタンはおされ  ひとは みてみるうちに 記号化 されて いきました。
 
 ……まっしろお顔に もじゃもじゃカミノケ。 りんご ひとつを おハナにのせて ほっぺたうえに おてんと おつきが おちました。 それは まるで ピエロのようです。 たがいに まちの ひとびとが みつめ あったら わらいが おこり わらって ワラッテ とまりません。 なんだか わた しもワラッテ し  ま い、 はなしが なかな か はなせ ま せん。
 (あなたはピエロ?わたしはピエロ。)
カガミのなかで なみだが きらきら おちました。

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横田裕子 課題2(3) 2001年05月29日(火)15時43分44秒

 
 「さくらなみきの むこうがわ」

 しゅんは おとこのこだけど はなをみるのが
だいすきです。
あかい チューリップも、おひさまみたいな
ひまわりも、なつやすみ はやおきして みる
あさがおも、みーんな。
 そして しゅんの いちばんの おきにいりは
さくらです。
だいすきな おかあさんや ようちえんの
ともだちと いっしょに あるく、
ピンクいろの トンネルみたいな
さくらなみきが だいすきなのです。
 しゅんは さくらのはなが いっぱいにさく
はるが やってくるのが たのしみでした。

 ゆりなちゃんは しゅんの ともだちです。
かみのけが ながくて、いつも ピンクいろの
リボンをつけています。
「ゆりなちゃんって、かわいいなまえだね。」
あるひ、しゅんが ゆりなちゃんに
いいました。
「ありがとう。でも どうして そう おもうの。」
「ゆりの はな みたいだからだよ。
いいかおりがして すごく きれいなんだよ。」
 しゅんが そう いうと、ゆりなちゃんは
ピンクいろ、いや、さくらいろのリボンを
ゆらして よろこんでくれました。

 はるです。
さくらの はながさく きせつに ゆりなちゃんの
たんじょうびは ありました。
 しゅんは ゆりなちゃんに なにか
プレゼントを あげあいな、と おもいました。
そして、 いままで おかあさんと いっしょ 
にしか いったことのない ゆりなちゃんの
いえまで ひとりで いって、 プレゼントを
とどけるのです。
 しゅんは なんだか わくわく してきました。
なにを あげようかな、と かんがえて、
「そうだ!」
ぽん、 と てを たたきました。
 しゅんがもってきたのは ピンク色の
おりがみに ちゃいろの おりがみ。
しろい がようしに のり。
しゅんは おりがみを こまかく こまかく
ちぎりはじめました。  
 そして、のりで ぺたぺたと がようしに
はっていきました。
 ちぎっては ぺたぺた。
 ちぎっては ぺたぺた。
みるみるうちに  さくらの ちぎりえの
できあがり。
 それを くるくる まるめて 
おかあさんから もらった あかい 
リボンを きゅっ、と むすびました。
「でーきた!」
しゅんは まんぞくそうに わらいました。

さて、ゆりなちゃんの たんじょうびに
なりました。
 とても いいてんきです。
「いってきまーす!」
しゅんはプレゼントを もって
げんきよく いえを でました。
「きをつけてね。」
おかあさんが てを ふっています。
 ゆりなちゃん、この えを 
きにいって くれるかな。
 しゅんは そんなことを
かんがえました。おかあさんと
あるいた みちを おもいだしながら。
 てくてく、てくてく・・・
 
 ゆりなちゃんのいえは さくらのきが
いっぱいならんでいる みちを ぬけた
ところにありました。
 だから、さくらのきが めじるしになって
います。
 そのさくらの ところに しゅんは
やってきました。
 ここを とおりぬけたら、ゆりなちゃんの
いえが あるんだ!
 しゅんは どきどきしてきました。
なにしろ、ゆりなちゃんの いえまで
ひとりで いくのは はじめてなのです。
 とおりには だあれも いません。
しゅんは さくらのきを みあげて
みました。
 まんかいの さくらが さわさわ ゆれて
います。
 ところが、いつも あんなに きれいだと
おもっていたのに、きょうは なんだか
ちがいました。
 さわさわという おとだけが しゅんを
つつみこんで います。
 おおきな おおきな さくらのきのまえに
たった しゅんは じぶんが だんだん
ちいさくなっていくような きが して
きました。 
 さくらは まるで ピンクいろの ばけもの
です。
「こわい!」
 でも、このまま いえに かえってしまっては
ゆりなちゃんに あうことも できません。
 しゅんは それだけはいやだな、と
おもいました。
 けれど、あしは じめんに はりついた
みたいに いっぽも うごきません。
 「たすけて!だれか、きて!」
しゅんは ぎゅっ、と めを つぶりました。
 にげなければ、ばけものに おそわれて
しまうかもしれません。
 そのときです。
「しゅんくん、めを あけて ごらん」
だれかの こえがしました。 
しゅんの しらない こえです。
「こわくないよ、ほら」
しゅんは いわれるままに ゆっくり
めを ひらきました。
 そこには、しゅんが つくった
ちぎりえと おんなじ さくらがたって
いるでは ありませんか。
 ピンクいろと ちゃいろの おりがみで
つくった さくらが、ずうっ、とむこうまで
つづいて います。
「きみは だーれ? どこに いるの?」
しゅんは こえがした ほうを 
きょろきょろ みまわしました。
「ここだよ。」
こえは、しゅんのいちばんちかくに
たっている さくらのきから したのです。
 しゅんが びっくりして めを
おおきくしていると、さくらは
「もう こわくないだろ?ひとりで
いけるだろ?しゅんくんなら、きっと
へいきさ。」といいました。
 しゅんは おどろきもわすれて 
「うん!」というと、
はしりだしました。
 もう ちっとも こわく ありません。
 おりがみの はなびらのなかを
しゅんは かぜを きって かけて  
ゆきます。
 すると、むこうに だれか います。
ピンクいろの リボンに ながい かみ。
 ゆりなちゃんでした。
しゅんは さくらが ほんものの
おおきなきに もどっているのに きが
つきません。
 しゅんは とうとう ゆりなちゃんの ところに
たどりつきました。
 「たんじょうび、おめでとう!」
しゅんは プレゼントを ゆりなちゃんに
わたしました。
 あかいリボンを しゅるん、と ほどいて、
さくらのちぎりえを みた ゆりなちゃんは、
「わあ、うれしい!これ、しゅんくんが 
つくったの?」
とよろこんで くれました。
 しゅんは おおきく うなずきました。

 ゆりなちゃんは このちぎりえが とても
きにいりました。
そして、じぶんのへやに、かざったのです。
それから、こんどの しゅんくんの
たんじょうびには、なにをあげようかな、
とおもいました。 
    
  おしまい

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根本 紗弥花 本屋に行っても、どうしても「おひさま」がみつからないよー!という人へ。 2001年05月28日(月)18時37分29秒

バックナンバーがありますので、先着2名さままで応募券ありまーす。
欲しい方、メールで根本まで連絡ください。(^^)
助け合いの精神が肝心♪

・・・でも肝心の作品の方が出来てないんですけどね・・・
寮さん、ギリギリまで粘ると思います。ご迷惑おかけして申し訳ありませんm(_ _)m

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東條慎生 課題2(5) 2001年05月28日(月)15時51分24秒

   わらうかおの木

 石けりあそびにあきたとき、きがつけば、ボクはどこにいるのか、わかりません。
 石けりあそびにむちゅうになって、しらないばしょに、きてしまったようです。
 空がオレンジ色になっていました。そろそろ、かえるじかんです。
 けれども、道がわかりません。
 道をききたくても、だれもいません。
 かべばっかりで、せまい道が、まっすぐ、まっすぐ、つづいています。
 むこうから、人のこえがしています。
 道をあるいていくと、だんだん人のこえが、大きくなってきました。
 
 しょうてんがいが、そこにありました。
 たくさんの人がいて、たくさんのものがあって、たくさんのこえがきこえます。
 でも、そこにはいつもとちがうものが、ありました。
 いいえ、あったのではなく、なかったのです。
 しょうてんがいをあるく人たちには、みんな、あたまがないのです。
 くびからしたしかない人たちが、たくさん、あるいてます。
 
 ボクはこわくなって、くるりとまわれ右をすると、いちもくさんに、かけだしました。
 ところが、まえからも、くびなし人が、あるいてきました。
 そのとき、ひだりのほうに、小さなまがりかどが、みえました。
 ボクは、そのかどをまがりました。
 すると、いきなり、だれかにぶつかってしまいました。
 「おやおや、あぶないじゃないか」
 せびろをきたおとこの人はいいました。
 「おじさん、たいへんなんだ。いまそこにね……」
 そういいかけると、おじさんはこういったのです。
 「おや、きみはなんで、あたまがついているのかな?」
 みあげると、おじさんにもあたまがありません。
 もうだめだ、とおもいました。
 たぶん、ひあぶりとか、はりのやまをあるかされたりとか、させられます
 まちがいありません。おかあさんがいってました。
 でも、そのおじさんは、やさしいこえでいいました。
 「よし、おじさんがとってあげよう。このままだと、いろいろまずいからね」
 「え、でも、あたまがないとこまります」
 「だいじょうぶ、だいじょうぶ。さあ」
 おじさんは、ボクのあたまをポンっとはずしてくれました。
 「どうだい。ちっともこまらないだろう」
 おじさんのいうとおり、ぜんぜんだいじょうぶでした。
 おじさんは、いいひとです。

 「ありがとう、おじさん」
 ボクはうれしくなりました。
 でも、これだとおうちにかえれません。くびなしおばけだと、おもわれてしまいます。
 「おじさん、ボク、おうちにかえりたいんだ。あたまをもとにもどしてよ」
 するとおじさんはすこし、おどろいたようすで、こういいました。
 「おや、ちょっとそれはむずかしいなぁ。ところで、おうちはどこなんだい?」
 「にしまちの3ちょうめ」
 「それは、いよいよむずかしいなぁ。そこにいくには、あしをはずさないとだめなんだ」
 「じゃあ、あたまをもどして、あしをはずしてください」
 ボクはひっしに、おじさんにたのみました
 「うーん、それはできないんだよ。あたまをはずしたら、もう、もどせないんだ。あしも、はずそうとしてはずれるもんじゃないからねぇ」
 「そんなの、ひどいよ。ボクのあたまを、かえしてください」
 ボクは、おじさんから、ボクのあたまをとりかえしました。じぶんのくびに、くっつけてみましたが、いくらやっても、もとにもどりません。
 「あっ」
 てがすべって、あたまがころころと、ころがっていきました。
 おじさんがおいかけて、ひろってくれました。
 「だから、もとにはもどせないといったろう」
 「おじさん、ボク、どうしたらいいの?」
 おじさんはすごく、こまったような、こえをだしました。
 「おうちにはかえれないんだ。ここから、あそこにいくには、とおすぎるんだ」
 ボクは、なきだしてしまいました。でも、かおがないので、なみだはでません。
 でも、おじさんがもっている、ボクのあたまのめからは、なみだがでています。

 あたまのないこどもたちが、ボクのそばに、ちかよってきていました。
 その子たちは、ボクたちといっしょにあそぼうと、さそっています。
 「ああ、この子とあそんでやってくれ。この子はまだここにきたばかりなんだ」
 「わかった。ねえ、きみ、あっちであそぼうよ!」
 「さあ、みんなとあそんでごらん」
 おじさんは、そういって、ボクのせなかをおしました。
 ボクは、みんなにつれられて、くさのはえたあきちにつきました。
 おじさんも、ついてきてくれました。
 あきちでは、あたまのないこどもたちが、たのしそうにあそんでいます。
 まんなかに、大きな大きな木がありました。
 木には、大きな大きな実が、たくさんぶらさがっています。
 よくみると、大きな木の実はみんな、あたまでした。
 どれも、かなしそうなかおをしています。
 なかには、かなしさがきえて、うっすらわらいだしそうなかおがありました。

 おじさんは、ボクからはずしたあたまをとりだしました。
 そして、木にボクのあたまをぶらさげました。
 ボクのあたまは、とてもかなしそうなかおをしています。おうちにかえりたいと、泣いています。
 「あのきみのかおがね、かなしそうななきがおから、たのしいえがおになったとき、あしがはずれて、あたまがもとにもどって、おうちにかえれるようになるよ」
 おじさんは、やさしくゆっくりとボクにいいました。
 「さあ、あそんでおいで。たのしくゆかいにあそんでいれば、あの木のみんなのかおが、わらいだすから」
 みんながボクをさそいます。ボクもみんなといっしょにかけだしました。

 空はいつまでも、ゆうがたのままです。
 もう、どれくらいじかんがたったのか、わかりません。
 ずっと、あそんでいます。みんなとあそんでいます。
 あそんでいると、かなしいきもちを、すこしだけわすれます。
 すると、ボクのかおがすこし、あかるくなった気がします。
 おうちにかえる日をまちながら、ボクと、みんなはあそびます。
 木は、おおきなひかげをつくっています。
 空があかくなっています。くもがオレンジ色にひかっています。
 空はいつまでも、ゆうがたのままです。
 もう、どれくらいじかんがたったのか、わかりません。
 ずっと、あそんでいます。みんなと、あそんでいます……

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杉山千絵 課題2(3) 2001年05月28日(月)01時28分04秒

講議に中で、指摘されたのは以下の点です。
 ・とびおくんの涙と、窓の下の花の関連が見えづらい。
 ・まるみちゃんの足に直に花が咲くのは、突然すぎる。
 ・”種”とだけ言ってしまうと、風に飛ぶイメージがない。
この3点を、書き直しました。

「タイトル未定」(まだピンとくるものが浮かびません。)

とびおくんの窓は高い
ここらで一番 空に近い

とびおくんは そこから空を見ている
いつも そこから空を見ている

うれしい時も ただ もう なんとなくかなしい時も 空を見ている
高い 高い とびおくんの窓から 涙は雨のように降ってくる
とびおくんは知らないけれど
窓の下にこんもり咲いた花たちは その涙を浴びて 気持ちよくなって
おもわず とびおくんが大好きになる
月のきれいな夜などは 歌を歌ってあげたくなる
 
まるみちゃんは ふかふかで ふわふわで あったかい
だけど ちょっと大きすぎる足のことを とても気にしている

まるみちゃんの足は大きくて ぺったり地面にくっついている
だから 歩くと すごく疲れてしまう
すぐに お腹が空いてしまう
まるみちゃんはお散歩が大好きなのに

お腹が空くと まるみちゃんは動けなくなる
まるみちゃんは 足もあったかいから
動かないでいると 足の下もあったまる
ほわっとなった土の中で 種がむずむず目を覚ます
足の指の間から 土踏まずのすき間から
しゅるっと芽が出て ぐんぐん育って 花が咲く
大きな足が花に埋もれて うれしいくらい くすぐったい
それで まるみちゃんは すこしさびしくなくなる

今日は まるみちゃん
とびおくんの窓の下で 動けなくなった
さびしくなったので 足に咲いた花を見ていた
いつもよりいっぱい歩いて 遠くに来てしまったから
おにぎり持ったお母さんは なかなかまるみちゃんを見つけられない
黄色い花がまっしろ綿毛になっても まだ 見つけられない
まるみちゃんは どんどん さびしくなる

とびおくんは 空を見ているから
窓の下のまるみちゃんに 気付かない
まるみちゃんは 足ばかり見ているから
頭の上のとびおくんに 気付かない

風が吹いた
とびおくんをなでて
まるみちゃんをなでて
花の種をなでた
種は風に乗って 飛んだ

まるみちゃんは 種を追って空を見た
とびおくんは 種に気付いて下を見た
おにぎり持ったお母さんは まるみちゃんを見つけた

とびおくんは また 空を見る
まるみちゃんは また 足を見る
だけど もう 知ってる
まるみちゃんの中に 空を見てる子が
とびおくんの中に 花を咲かせてる子が 住んでいる

だから もう ちょっとだけ 大丈夫
さびしくなっても そこだけあったかいから
ちょっとだけ 大丈夫

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寮美千子 再/住所メールの送り方・応募券について 2001年05月26日(土)21時45分29秒


住所を送ってもらうメールのタイトルの付け方、
説明が足りなかったようなので、もう一度書きます。
このように書いてください。

和光/寮美千子/住所

そして、メールの本文で住所を送ってください。

タイトルはメールを振り分けて整理するためのもの。
統一したフォーマットが欲しいのです。
それくらい、類推してくれよ、諸君!

▼応募券について
各自、本屋で「おひさま」を買う努力をしてください。
どうしても入手できなかった人のみ、出版社から雑誌をとりよせます。
応募券は、次の授業のときに集めます。

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寮美千子 連絡/住所をメールしてください・応募券入手 2001年05月26日(土)01時43分02秒


賞に応募するために、作者の住所、電話番号、年齢が必要です。
至急、寮美千子までメールしてください。
メールのタイトルは必ず下記のように。

和光/自分の名前/住所

間違えて、掲示板に書き込まないこと!
プライバシーが、全世界的にバレバレになってしまいます。
送り先はこちら↓

mail@ryomichico.net


応募券が必要です。
至急、本屋に走って「おひさま」を購入してください。
次の授業で、応募券を集めます。

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寮美千子 宮田和美 課題2(1)/根本紗弥花リライト 2001年05月26日(土)00時32分23秒
pttp0002.html#pttp20010525223446への応答

おいおい紗弥花ちゃん。
他人の原稿にリライトかけている間に、早く自分の原稿手直ししなさいね。
まあ、元気のいいのはいいんだけれどね。

原稿のリライトに、二種類あると思います。
  1. 原文をなるべく生かし、作者の言わんとしたことを、よりよく伝わるようにするにはどうしたらいいかを試行錯誤してみたリライト。
  2. 作品のアイデアに触発され、そこから独自の物語を展開したもの。

さらに、その折衷であるような、独自の要素を盛り込みつつ、原文の意図も生かす、というものもあるでしょう。

さて、わたしのリライトは基本的に1のつもり。作者本人になったつもりで、どうしたらよりよくなるかを考えています。
みなさんにぜひ試みて欲しいのは、できれば2の方です。
このアイデアで、こんな展開も、あんな展開も考えられる、というような想像力の遊びを試してほしい。「つめのなかのゆうひ」という「物語の肝」があったとしたら、自分ならどんなお話を書くか、というようなことです。主人公ももうのんちゃんじゃなくていいのです。

もちろん、原作のどこをどう直したらもっとよくなるかなあ、という問題提起も大切。実際にリライトしてしまうという手もあるにはあるけれど、それより、できればまず、言葉できちんと指摘したほうが、その問題点をみんなで共有しやすいと思います。

この場合でいえば「誰かに贈り物としてもらうのではなく、夢が実現する形で爪の中の夕日になったら、すっきりするのではないか」という提案。その提案だけでもいいのですが、さらに一歩踏み込んで、そうした場合、どこに話の終着点をもっていったらいいのかのシュミレーションをしてみる。それが先決です。

根本さんのアイデアで、確かに物語はすっきりするけれど、なんだかすっきりしすぎで、物語が痩せてしまったようにおもいます。「何が欲しいの?」ときかれて、答えられないのんちゃんが「ほんとうにほしいもの」を探す気持ち。それが、この物語のいいところのひとつ。「ほんとうにほしいもの」が、おもちゃなんかじゃなくて、夕日のオレンジ色の輝きだというところが、胸にじんとくるのです。このお話の読後感がとてもいいのも、そのためではないかとさえ感じます。わたしは、こういう気持ちを大切にしたいなあ。ま、すっきりするというのも、試みのひとつ、発想の転換だけどね。でも、この物語に限っていえば、成功ではないように思う。

というわけで、紗弥花ちゃん「でいだらぼっち」をよろしくね。

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根本 紗弥花 宮田和美 課題2(1)の感想・・・にしようと思ったけどリライトになってしまった 2001年05月25日(金)22時34分46秒

子供って不可解ですよねぇ。
だからやるなといっとろーが!!というようなことを、どうしてもやってしまう。
我慢できないんですよね。
なんか、その我慢できない感を書きたかった。(勝手だ・・・)
平たく言えば、幼稚園児が“人に見られないようにトイレにいく”という発想をするかなぁ、と思ったんです。子供って、もっとわけわかんないよなぁって。
それから、夕陽のプレゼントは人を介さない方向でもいけるんじゃないかなぁという考えから冒険しました。
あと、リライトの反響がほしいなぁ。
反論してください。よろしくね。

「ての なかの ゆうひ」

のんちゃんは ゆめをみています
ゆめのなかで のんちゃんは あたたかいおれんじいろのなかを あるいていました よこをみると うすいぴんくのふわふわに きんのれーすが ふちどりされています
「うわあ きれい
くもの なかに いるみたい」
のんちゃんは おもいました
だんだん だんだんまぶしくなってきました だんだん だんだん まぶしくなって まっしろで なんにもみえなくなったころ……
めのまえの ふわふわぴんくが やさしくちぎれ おおきなゆうひが かおをだしました あたりはきんいろに そまります
のんちゃんは りょうてを いっぱいにひろげながら なぜだか なきたくなりました
「いいなあ いいな なんてきれいなんだろう!
のんちゃん ゆうひが ほしいなぁ のんちゃんだけの きれいなゆうひ」

あさです
のんちゃんは おふとんから のそのそと おきました 
うう〜ん おおきな のびを ひとつ
すると のんちゃんの あたまの うえで なにかが きらっと ひかったのです
のんちゃんは あわてて てをおろしました
さぁ なんだったで しょうか?
なんと のんちゃんの ひだりの おにいさんゆびの つめの なかに おれんじいろに ひかる ゆうひが あったのです!
「ゆめの なかの おねがいが かなっちゃった・・・」
のんちゃんは わくわくして どきどきして いまにも おどりだしそうに なりました
「ゆめが おねがい かなえてくれた!」
まばゆい ばかりの ひかりが のんちゃんの つめから あふれだして います
あんまり ゆうひが あかるく ひかって いるので のんちゃんは そのひかりが もれない ように てを ぐうに しました
だって ひかりが もれて ゆうひが なくなって しまうかも しれないし えんで おこられるかも しれないからです 
「これなら きっと だいじょうぶ」
のんちゃんは あさごはんを たべる ときも てを ぐうに したまんま
でも ての なかの ゆうひが きになって しかた ありません
テーブルの うえに ある ものまで なんでも ゆうひに みえて しまいます
かごの なかの みかん めだまやきの きみ・・・
のんちゃんは えんで すべりだいを すべって いるときも おうたを うたって いるときも ずっと てを ぐうに したまんま
でも のんちゃんは ての なかの ゆうひが きになって きになって しかたありません
きになって きになって きになって、あんまりにも きになって しかたなく なったので のんちゃんは ちょっとだけ ての なかの ゆうひを のぞいてみる ことに しました
ちょっとだけ ほんの ちょっとだけ・・・
「あっ!!」
のんちゃんは めを まるくして おどろきました 
おともだちも のんちゃんの ようすをみて あつまって きました
そして のんちゃんの つめを のぞきこむと・・・
「のんちゃん どうしたの おにいさんゆびの つめが まっくろ!!」
きれいな ゆうひは どこにも ありませんでした
のんちゃんの おにいさんゆびは すみをぬったように まっくろ
ゆうひはどこ? おとしてきちゃったのかな? のんちゃんは うわばきとくつしたを ぬいで あしのつめも みましたが どこにもありません のんちゃんは かなしくなって ついに なきだしてしまいました
そのこえをききつけたえんのせんせいがあわててとんできました
「どうしたの?のんちゃん
あら その ゆび どこかに はさんだの? いたいでしょう いま てあて してあげる」
せんせいは やさしく のんちゃんの つめを のぞきこみました
「あら のんちゃん これ じぶんで かいたのね ずいぶん じょうず なのねぇ! ほらほら どうして ないてるの?」
ほかのこたちものぞきこんでいいました
「うわぁ、ほんとだ きれいな おほしさま」
のんちゃんは あわてて なみだを ぬぐって つめを のぞきこみました
すると どうでしょう
まっくろの つめの なかに ちいさな ほしが いくつも またたいて います
おれんじゆうひは いつのまにかおわり まっくらくらの よるが はじまっていたのです 
「ほんとだ きれい!」
のんちゃんは また うれしく なりました


自分で気付く方向にもっていきましたが、おわらなかった・・・
ラストは誰か考えてください・・・(無責任!!)
書いてて思ったんですが、あんまりしっくりこないんですよねぇ、この設定。なんか、つめの中に夕陽がある、って設定がもっと効果的に生きる方法がある気がする・・・。
どうしたら、よくなると思います?皆さん。
夜になって、そこまでは展開としてはわりとありがち。こっからどう面白く持ってくか、なんだよねぇ・・・それを考えろってことでしたねぇ、ごめんなさいm(_ _)m
リライトといっても、ほとんど原文ありません・・・。ごめんなさい。
手を開いちゃったから夜になっちゃったってことにしてもよかったかなぁ、とかとも思うんですが・・・。
なんだか勝手に混乱中・・・

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管理者:Ryo Michico <mail@ryomichico.net>