Thu, 15 Aug 2013 21:17:50
『宅間守 精神鑑定書 ―精神医療と刑事司法のはざまで―』 岡江晃/著
亜紀書房 2013年5月23日週刊読書人 2013年7月5日
Mon, 12 Aug 2013 17:29:52
Thu, 10 Nov 2011 18:34:28
『ホーキング博士のスペース・アドベンチャー(全三巻)』 ルーシー&スティーヴン・ホーキング/著、さくまゆみこ/訳、佐藤勝彦/監修
岩崎書店 2008〜2011年週刊読書人 2011年10月28日
Thu, 11 Mar 2010 01:37:16
『イノベーションの作法 リーダーに学ぶ革新の人間学』 野中郁次郎/著、勝見明/著
日経ビジネス人文庫 2009年12月1日Thu, 11 Mar 2010 01:29:00
Wed, 04 Nov 2009 22:35:02
Tue, 05 Aug 2008 21:55:57
『石の花 ―林芙美子の真実―』 太田治子/著
筑摩書房 2008年4月24日公明新聞 2008年7月28日書評
Fri, 25 Jan 2008 01:03:06
『「宇宙」の地図帳 新常識がまるごとわかる!』 懸秀彦/監修
青春出版社 2007年11月10日公明新聞 2008年1月21日書評
Tue, 25 Dec 2007 01:49:05
Thu, 22 Nov 2007 15:41:07
Tue, 20 Nov 2007 23:49:29
Sat, 09 Jun 2007 23:48:46
放置なんと、検死の記録ではないか。
最終生存確認 八月十七日正午頃
家族の一人
同日午前六時三十分 近所の人が草引きをしているのを見ている
「お早う ――さん」 声もかけた」
発見 八月二十一日午後零時十五分頃 家族
本屋から約五〇〇メートルの隠居
同区畳二間の部屋
(後略)
〜老医の記〜
谷口 謙 院長(谷口医院 院長・京都府警察医)
昭和二十五年十二月二十五日開業と申しますと何年になるでしょうか。開業五十年を一つの目標としていましたが、あれよあれよと過ぎてしまい、朝起きると診察室の机の前に座っています。開業当初は、蛔虫(かいちゅう)症が目茶苦茶に多かったことが記憶に残っています。
腹痛にはサントミン投与、こんな一時期がありました。現在は、各分野に別れ、多くの専門医がいらっしゃいます。お恥かしいですが、処方された薬品名をみても、薬価基準を引かなければわからないことがあるほど薬品の開発も進んでいます。八十歳を過ぎた老医としては、ただもう自分でできることを老人らしく、ていねいにすることに限ると思っています。
高齢にもかかわらず、小学校医・保育所医をさせていただいていますが、子どもたちの健康を考えて診察することは、やはり仕事をしたとの思いが残ります。
前任者の先生が急死され、平成七年七月一日から、当時の峰山警察署(現在の京丹後警察署)の警察医の仕事を受けさせていただいています。この仕事には待ったがないので深夜でも出かけます。今回は、豪雨のため発生しました墓地公園崩落による災害で、家屋に押し潰されお二人のかたが亡くなられました。列車事故による死亡例は数例経験しましたが、このような災害は初めての経験でした。
事情に詳しい警察のかたが横に付き添ってくださり、いろいろ教わりながら、検案書を書かしていただきました。
高齢ではありますが、地域の医療に貢献するため、できるだけのことはやっていきたいと思っています。
みなさんには何のご関係もありませんが、開業以来、生活にかかる「詩」を書き綴って参りました。稚拙(ちせつ)なもので人様にお見せできるような作品はありませんが、確かに唯一の私の楽しみであります。
Sat, 06 May 2006 14:06:50
『fantasia[ファンタジア]』 高樹のぶ子/著
文藝春秋 2006年1月15日週刊読書人 2006年2月24日号書評
Fri, 21 Oct 2005 00:32:07
Fri, 25 Feb 2005 00:10:51
『ホエール・トーク』 クリス・クラッチャー/著、金原瑞人/訳、西田登/訳
青山出版社 2004年4月5日共同通信 2004年5月配信
Tue, 27 Apr 2004 01:13:23
『フューチャー・イズ・ワイルド 驚異の進化を遂げた2億年後の生命世界』 ドゥーガル・ディクソン/著、ジョン・アダムス/著、土屋晶子/訳、松井孝典/監修
ダイヤモンド社 2004年1月8日公明新聞 2004年3月22日書評
Sat, 10 Jan 2004 18:13:42
Fri, 09 Jan 2004 01:48:14
この本に出てくる人びとには「善人」も「悪人」も存在しません。誰が悪くて、誰が良い人であるという区別はないのです。その善人でも悪人でもない同士が殺しあい、傷つけあう。それが戦争というものの愚かさで、無惨さなのだ。
人間同士が殺しあわなくてはいけない戦争は、「絶対なる悪」と現場を見てきた写真家は言いきる。
Sun, 23 Nov 2003 22:41:00
『月のしずくが輝く夜に アイヌ・モシリからインドへの祈りの旅』 チカップ美恵子/著
現代書館 2003年9月5日公明新聞 2003年11月10日書評
Sun, 23 Nov 2003 22:29:13
幼い子どもを無差別に殺すなど、人間として許されることではない。はっきりいって最低最悪だ。宅間はどうしてこんな行動に出たのか。防ぐことはできなかったのか。そんな思いを胸に、むさぼるようにこの本を読んだ。
宅間はこの事件以前にも数々の犯行を重ねているが、どれも、吐き気を覚えるほど身勝手で残忍なものだった。しかし、その合間に、単にモンスターと片付けることのできない、さまざまな顔が見え隠れする。
幼いころから「ゴンタクレ」と呼ばれていた宅間には、発達障害があったかもしれない。適切な診断と支援があれば、道は変わったのではないか。思春期・青年期にはレイプなど快楽を求める犯罪を繰り返すが、同時に、さまざまな場面で生きにくさや、神経症的な苦痛を感じている。精神科にも通い、関わった精神科医は15名にも上っているが、彼らも、宅間を救い、軌道修正することはできなかった。事件直前には、尋常ならぬ苦しさを感じ、食べ物も喉を通らなくなり自殺未遂をしている。
岐路はいくつもあったはずだ、と感じる。あんな犯罪を起こさず、なんとか社会に適応する方法は、きっとあったはずだ。けれど、道はあの残忍な結末へと向かう。なぜか。
彼の資質も、もちろんあっただろう。しかし、彼のなかにある格差社会への強烈なルサンチマンが、それを加速したのではないか。エリートだけがいい思いをするこの社会で、自分は差別される側にいる。「劣等な遺伝子から生まれた自分は、一生エリートにはなれない」と自己規定する。「雑民」「列外位置」といった彼独自の造語にも、強烈な差別意識が表われている。「部落問題を解決するには、部落民が団結して子を産まなければよい」と主張する彼は、小さなヒトラーであり、同時に差別される側のユダヤ人でもあったのだ。
だれが、そのような差別意識を彼に植えつけたのか。それは、この社会にほかならない。拝金主義一本槍のこの社会の価値観を覆すことのできなかった一人一人の影が、宅間という奇妙な鏡により乱反射される。
宅間は、「良識ある市民」と無関係のモンスターではない。わたしたちと同じ地平に生き、時代の価値観を共有し、それを極端な形で反映した男だった。宅間という魔物を作ってしまった社会の一員として、我々はどうあるべきか、本書は強く問いかけてくる。
と同時に、司法における精神鑑定の役割という、大きな枠組みに対しても、疑問を投げかけてくる。このような事件の場合、鑑定医の結論が、被告の生死を握ることになるのだが、鑑定医一人にそんな重荷を背負わせていいのか。この事件をきっかけに生まれた医療観察法は妥当なのか。この本を起点に、多くの議論が起こることを期待する。