水草生う水の深きを悲しまず | 四方田犬彦 | |
ただひたすらに昇りゆく泡 | 寮美千子 | |
碧い空街角ノイズ耳塞ぐ | 高橋阿里紗 | |
光に溶けるバーガーの紙 | 小川美彩 | |
私から差しだす右手つなぐ恋 | 竹野陽子 | |
フランス映画は理解できない | 奥野美和 | |
色彩を抱えたこども駈けだして | 鈴木一業 | |
億万の蝶海峡わたる | 寮美千子 | |
文庫本網棚の荷に入れたきり | 松永洋介 | |
続きがあると信じたレール | 仲田純 |
1. | 雨ざらし砂に戻りて風にのる | 根本紗弥花 | |
2. | 行く先は遠く近くて爪の先 | 小川美彩 | |
3. | 五つ子の手の中ぴかり新幹線 | 根本紗弥花 | |
4. | 色褪せたノートの隅の走り書き | 横田裕子 | |
5. | うそっぽいほんとのことば売る少年 | 斉藤麻里子 | |
6. | 腕を伸ばし翼広げてつかむ天(そら) | 横田裕子 | |
7. | 永遠に一つではないゴールを競う | 竹野陽子 | |
8. | 音もなく小石流れる散歩道 | 杉山千絵 | |
9. | かけぬけた日々の写真は粉まみれ | 杉山千絵 | |
10. | 眼前で超高層は崩れ去り | 松永洋介 | |
11. | 築いたは螺旋階段見えぬ先 | 小橋美加 | |
12. | 気にするな信じる者は救われる | 東條慎生 | |
13. | 錆びついたテーマパークは呼んでいる | 鈴木一業 | |
14. | 皿の上行ったり来たり繰り返す | 鈴木一業 | |
15. | 水槽の上も歩ける堺さん | 宮田和美 | |
16. | 過ぎ去った風景たちを悔やむだけ | 東條慎生 | |
17. | 出来るだけやってはみたが覚悟しろ | 東條慎生 | |
18. | なにもない祈りを運ぶ影さえも | 西浦多樹 | |
19. | ひと筋のひびが走ったけぶる地球(ほし) | 横田裕子 | |
20. | 風船に飛べない鳥の羽を入れ | 仲田純 | |
21. | 富士の底地底人を探しに来 | 仲田純 | |
22. | まるめたらはじけてしまったガラスの目 | 杉山千絵 | |
23. | 見えないがきっと先には春がある | 東條慎生 | |
24. | 見なかったことにしようと目をそらし | 松永洋介 | |
25. | むきだしの怒りを笑う足の裏 | 竹野陽子 |
水草生う水の深きを悲しまず | 四方田犬彦 | |
ただひたすらに昇りゆく泡 | 寮美千子 | |
碧い空街角ノイズ耳塞ぐ | 高橋阿里紗 | |
光に溶けるバーガーの紙 | 小川美彩 | |
私から差しだす右手つなぐ恋 | 竹野陽子 | |
フランス映画は理解できない | 奥野美和 | |
色彩を抱えたこども駈けだして | 鈴木一業 | |
億万の蝶海峡わたる | 寮美千子 | |
文庫本網棚の荷に入れたきり | 松永洋介 | |
続きがあると信じたレール | 仲田純 | |
なにもない祈りを運ぶ影さえも | 西浦多樹 |
参加者がそれぞれ3句を選んだコメントです(5人分だけなので集計はしていません)。
選句の際には、作者名は伏せられていました。(⇒「物語の作法」掲示板の候補リスト)
●横田裕子
▼13.錆びついたテーマパークは呼んでいる
虚しい空気が漂う言葉だなぁ。と思った。季節が季節であるだけに、その空気がさらに際立ってる感じがする。
▼20.風船に飛べない鳥の羽を入れ
意味は掴めないけど口に出して言ってみたら、すごく綺麗なシーンが頭に浮かんだので。
▼7.永遠に一つではないゴールを競う
「永遠に」という途方のなさと、ゴールを競う戦い、なんとなくわかるなぁ・・・。
●根本紗弥花
なんとなく、絶望で続けたかったので。↓
だって、高橋さん以降ずっとほのぼの路線できてるし・・・。です。
▼25. むきだしの怒りを笑う足の裏
なんか怖いじゃないすか。
▼14. 皿の上行ったり来たり繰り返す
行き場なくて絶望的で滑稽で好き。前とつくし。
▼11. 築いたは螺旋階段見えぬ先
前とのつき方が好き。裏切ってて。
●仲田純
▼19.ひと筋のひびが走ったけぶる地球(ほし)
レールという前句を背負う言葉がひび、というのは秀逸であると思う。そして地球というイメージ移動が更なる未来への飛躍につながり、水から始まるこの連句に重大な位置をしめると思う。
▼10.眼前で超高層は崩れ去り
流れでいくと深海(暗い)方面に向かうほうがいいという思いで、感情的でもないこの一句を選んだ。ビルが付いてないからなおよろし。
▼ 5.うそっぽいほんとのことば売る少年
少年というのがいけてる。少年の未来をも暗示した句で次にくる句がたのしみになる。
●杉山千絵
▼11. 築いたは螺旋階段見えぬ先
バベルの塔のイメージ? 何かとんでもないことを夢中でやってて、気がつくと先も見えないし、元いた場所も見えなくなっていたという不安。
▼18. なにもない祈りを運ぶ影さえも
私もレールの先にはなにもない気がした、そのイメージに合っていたので。何もない、光源もないのにどこまでも明るい感じがしてこわい。
▼21. 富士の底地底人を探しに来
レールが続いていたはいいが、地底だった(笑)そろそろこんな展開もいいんじゃないでしょうか。次にどんな句がつくのか楽しみです。
●西浦多樹
▼2. 行く先は遠く近くて爪の先
視線がうろうろしている=信じきれない(?)という表現?爪の先は沈黙かな。
▼19. ひと筋のひびが走ったけぶる地球(ほし)
音にして綺麗。現在の地球の危機を大胆かつシンプルにうたっていてよい。
▼8. 音もなく小石流れる散歩道
動かないはずの小石が音もなく流れている…逆に音が聴こえそうな表現で綺麗。