石けりあそびにあきたとき、きがつけば、ボクはどこにいるのか、わかりません。
石けりあそびにむちゅうになって、しらないばしょに、きてしまったようです。
空がオレンジ色になっていました。そろそろ、かえるじかんです。
まわりにはだれも、いないようです。まわりはかべばっかりで、せまい道です。
せまい道はむこうにつづいていて、むこうからは、人のいる音がしています。
まえを見ながら、道をあるいていくと、だんだん人のこえが、大きくなってきました。
しょうてんがいが、そこにありました。
たくさんの人がいて、たくさんのものがあって、たくさんのこえがきこえます。
でも、そこにはいつもとちがうものが、ありました。
いいえ、あったのではなく、なかったのです。
そのしょうてんがいをあるく人たちには、みんな、あたまがないのです。
くびからうえしかない人たちが、たくさん、あるいてます。
ここはおばけのくにです。
そうおもって、いちもくさんに、かけだしました。
しょうてんがいから、くびなし人からにげようと、はしりだしました。
そのとき、まえからあるいてきていた人に、ぶつかってしまいました。
「おやおや、あぶないじゃないか」
せびろをきたおとこの人はいいました。
「おや、きみはなんであたまがついているのかな?」
ボクはおばけにつかまりました。
たぶん、ひあぶりとか、はりのやまをあるかされたりとか、させられます
まちがいありません。おかあさんがいってました。
でも、そのおじさんは、やさしいこえでいいました。
「よし、おじさんがとってあげよう。このままだと、いろいろまずいからね」
しんせつなおじさんは、ボクのあたまをポンっとはずしてくれました。
「ありがとう、おじさん」
ボクはうれしくなりました。みんなはおばけじゃなかったのです。
でも、これだとおうちにかえれません。くびなしおばけだと、おもわれてしまいます。
「おじさん、ボク、おうちにかえりたいんだ。あたまをもとにもどしてよ」
するとおじさんはすこし、おどろいたようすで、こういいました。
「おや、ちょっとそれはむずかしいなぁ。ところで、おうちはどこなんだい?」
「○○まち」
「それはむずかしいなぁ」
おじさんはおなじことを、いいました。
「そこにいくには、あしをはずさないとだめなんだ」
「じゃあ、あたまをもどして、あしをはずしてください」
ボクはおじさんにたのみました
「うーん、それはできないんだよ。あたまをはずしたら、もう、もどせないんだ。あしも、はずそうとしてはずれるもんじゃないからねぇ」
あたまをつけようとおもって、いくらやっても、あたまはもとにもどりません。
これでは、かえれません。ボクはどうしたらいいのかわかりません。
「おじさん、ボク、どうしたらいいの?」
おじさんはすごく、こまったような、こえをだしました。
「おうちにはかえれないんだ。ここから、あそこにいくには、とおすぎるんだ」
ボクは、なきだしてしまいました。でも、かおがないので、なみだはでません。
かおのないこどもたちが、ボクのそばに、ちかよってきていました。
その子たちは、ボクたちといっしょにあそぼうと、さそいます。
「ああ、この子とあそんでやってくれ。この子はまだここにきたばかりなんだ」
「わかった。ねえ、きみ、あっちであそぼうよ!」
ボクは、みんなにつれられて、くさのはえたあきちにつきました。
ボクは、ふしぎにおもいました。
さっきからそらはオレンジいろのまま、くらくも、あかるくもならないのです。
ずっと、ゆうがたでした。
なきながら、ボクは、みんなとあそびました。
みんな、とてもなかがよくて、すぐにボクもみんなとなかよくなりました。
あたまのないボクたちは、ずっとあきちであそびます。
おかあさんや、おとうさんにあいたいけれど、ボクのあしははずれてくれません。
それまで、あえないんだと、みんなはいいます。
いつか、あしのはずれた子がいて、その子はかるいあしどりで、どこかへいってしまいました。
ボクのあしは、はずれません。
でも、ゆうがたのあきちで、みんなとあそぶのは、とてもたのしいのです。
オレンジ色のゆうひが、まだ、そらにありました。