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ミニレポート



*地球史カレンダーをひも解くと*

黒田武彦

地球46億年の歴史は、偶然と必然が見事に織りなしていて、一つ一つたどっていくと実に興味深い。

地球をはじめとする惑星の形成は、原始太陽系星雲と呼ばれる大きなガス雲の収縮によるものです。中心はたくさんのガスを集めてまず太陽が形成されます。ガスは収縮とともに回転し、円盤状につぶれていきます。ガス円盤の中に含まれる塵(砂粒のようなもの)はやがて沈殿し、おびただしい数の微惑星(惑星の材料)をつくります。回転しながら微惑星は衝突、合体を繰り返して原始惑星へと成長していったと考えられます。原始惑星は厚いガスを取り巻き、いったんドロドロに溶けて重いものが沈み、核、マントル、地殻といった層構造を形成します。とても熱い時代を過ごした地球は、当然ながら生命の材料である様々な分子も壊れてなくなっています。このままでは生命が誕生することはありませんでした。

惑星になりそこなった微惑星はまだ原始惑星のまわりにたくさん残っていました。一度も高温にさらされたことがありませんから、汚れた雪だるまのような微惑星は水分をたっぷり含み、生命の材料である分子も健在です。地球が冷えてからこの微惑星が地球にぶつかり、海の水と生命の材料を提供したという考えが有力になりつつあります。

原始地球を取り巻く大気は炭酸ガスでした。海の中で誕生した原始バクテリアの中に、光合成を行い、炭酸ガスを吸って酸素をはきだすという藍藻類が誕生しました。これがその後の地球の生物進化を運命づけたといっても過言ではないでしょう。

酸素優勢の大気は、やがて太陽紫外線と作用してオゾンを作り上げます。オゾン層こそ太陽紫外線からの防波堤の役割を果たし、生物の陸上進出を可能ならしめた重要な存在でした。海の形成、バクテリアの発生、大気の酸素化、オゾン層の形成…長い長い時間を要していますが、地球の生物にとってこの過程は偶然でもあり、必然でもあったような気がします。その中で最後に登場した人類、このカレンダーを見ていると、なぜかとても厳粛な気分になります。みなさんはいかがでしょうか。




黒田武彦の「地球史カレンダー」

できごと 何年前カレンダー
地球誕生46億年前 1月1日0時
海の形成
 数多くの彗星(微惑星)が衝突し
 水と生命の材料を提供した?
約40億年前2月中旬
生命の発生
 原始バクテリア(1500mの深海底、
 超高熱性)
約35億年前3月下旬
シアノバクテリア(藍藻類)発生
 光合成で海中や大気中に酸素増加
 海水中鉄分+酸素=酸化鉄の層
約25億年前5月中旬
真核生物(核分裂)の出現約18億年前7月中旬
オゾン層の形成始まる
 浅海に腔腸動物、環形動物
約8億年前10月下旬
硬組織(殻・甲羅)生物の出現
 三葉虫等の大量の化石
約5億7千万年前11月中旬
生物の陸上進出
 肺魚等の出現
約4億年前11月下旬
両生類、大森林時代約3億5千万年前12月上旬
恐竜、哺乳類の出現
鳥類の出現
 恐竜、アンモナイトの全盛
約2億年前
約1億8千万年前
12月中旬
恐竜の絶滅
 哺乳類の発展
約6500万年前12月24日20時頃
人類の出現
 最古の猿人化石
約600万年前12月31日12時34分
日本列島の形成200万年前12月31日20時10分
四大文明の発生5000年前12月31日23時59分30秒
釈迦牟尼の生誕2500年前12月31日23時59分45秒
産業革命240年前12月31日23時59分58秒35
高度経済成長40年前12月31日23時59分59秒73


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