「物語の作法」課題提出板の検索

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鏡の果実 の検索結果(ログ9-)


杉井武作 鏡の果実 2002年08月18日(日)19時40分53秒

鏡に映る自分を眺めていたら
いつの間にか鏡の迷宮に迷い込んだ
どこを見回しても鏡ばかり
そこで女を見つけた
一目で恋におちた
女は鏡の中だけで見ることができた
私はそれで満足だった
あるとき男が現れて女を汚した
男が去りまた別の男が汚した
その柔らかい素肌が幾度となく
醜い血で染めあげられているのが見えた
何人も何人も
何度も何度も
女は笑っていた
「この女は自分が見えていないのか・・・?」
女の無垢な笑みの大切さは
どうしようもなく私を苦悩させる
その重みに耐えきれなくなったときに女が私のまえに現れた
鏡ではなく触れることができた
私は募る想いを打ち明けた
女は他の男に見せるおなじ笑みを浮かべた
その瞬間私の中にざわざわと狂おしい感情が生まれた
嫉妬ではなく羞恥心
女を支配せずにはいられなかった
「若さを無駄に振り撒く
しでかしてきたことの卑しさを思い知るがいい」
私はありとあらゆる手を使って女を執拗に虐待した
女は私の子供を身ごもったがそれでも罰を与えつづけた
だが女は動じない
変わらぬ笑みを浮かべて私を見つめる
その瞳はいつまでも澄み切っていた
いつしか女は子供を残して消えていった
まるで幻だったように
醜く血まみれた奇形児は
私とうりふたつだった
私は鏡の迷宮から一生抜け出せないことだろう。

杉井武作 6B「鏡の果実」 2002年11月06日(水)07時22分06秒

ぼく かがみをみるのがだいすきなんです
きょうも いちにちじゅうみています
ぼく とってもかわいいんだ
かおも からだも さこつも かわいい
あれ ここはどこでしょう
みぎも ひだりも ぼくだらけ
ぼく いつのまにか かがみのなかにすいこまれちゃったみたいです
じかんをわすれて ぼくをながめていました
うん とってもすてきなせかいです

ぼく くまのぬいぐるみをみつけちゃいました
かわいいかわいい くまちゃん
ぼく ひとめぼれしちゃいました
ぶーさんって なまえをつけました
ぼく ぶーさんがほしいなぁ
でも ぶーさんはかがみのなかだけでみえるのです
だから みてるだけのひびでした

しらないおとなのひとがやってきて
ぶーさんのことを たたいたりちぎったりしました
つぎつぎと しらないおとなのひとがやってきて
ぶーさんをいぢめたのです
ぶーさん ぼくのぶーさんがよごされていく
ぶーさんは ひょうじょうひとつかえませんでした

ぶーさんが めのまえにいます
かがみのなかじゃないです
さわることできます
ぶーさんだ わあい
ぼく ちからいっぱいだきしめました
つよく つよく だきしめて だきしめて

ぶーさん こうしていると キモチいいね
ぼく ぶーさんのおちんちんをいぢくりまわします
どうぶつはこうするとキモチいいってならいました
ぶーさんは ひょうじょうひとつかえませんでした
ぶーさん なんかしゃべってごらん
ぼくのぶーさん
ぶーさんのおめめをもいであげました
おくちをひきさいてあげました
おててとおあしをちぎりました
おちんちんをかみちぎりました
おしりにさけめをいれます
ぼくのおちんちんをぶちこみます
ぜんごうんどうさせます
はなちます

ぶーさんは ひょうじょうひとつかえませんでした
がんきゅうのないめで ぼくをみてます
どこまでもひややかなぶーさんなのです

ぶーさんは いなくなっちゃいました
こどもたちをうんで いなくなっちゃったよ
かわいいかわいい こどものぬいぐるみ
それは ぼくでした
さこつのきれいな ぼくのぬいぐるみでした

ぶーさんは ひょうじょうひとつかえませんでした

ぼくのぬいぐるみが やまのようにつらなって ぼくのゆくてをさえぎります
いま おめめをもがれたところです。

松永洋介(アシスタント) 16日の授業で扱う作品 2003年01月16日(木)01時35分02秒
松永洋介(アシスタント) 今年度最後!あす(16日)の授業は杉作作品 への応答

今年度最後の授業で扱う作品は、杉井武作くんの
鏡の果実
空の上のサイクリング
ある阿呆の生涯
です。

昼休みの延長はしない予定です。よろしく。

杉井武作 6C「鏡の果実」 2003年01月16日(木)03時35分46秒

鏡に映る自分を眺めたら
迷宮に迷い込んだ
どこを見回しても鏡ばかり
そこで女人を見つけた
一目で恋におちた
不思議なことに女人は
鏡面の世界だけに在った
私はそれで満足だった
あるとき男が現れて女人を汚した
男が去りまた別の男が汚した
柔らかい素肌が幾度なく
醜い血で染めあげられていた
何人も何人も
何度も何度も
女人は笑っていた

「自分が見えていないのか?」
女人の無垢な微笑みは
どこまで私を悩ませたのか
もう耐えきれなくなったとき
気付けば私のまえに女人
こんどは鏡のなかでない
募る想いを打ち明けると
返されたのはおなじ笑み

笑窪
八重歯
目尻の皺
鏡のまま

瞬間
私の中にざわざわと
芽生える狂おしい感情
嫉妬ではなく羞恥心
支配せずにはいられない
「若さを無駄に振り撒く
しでかしたことの卑しさを思い知るがいい」
女人を執拗に虐待した
子供をはらんでも罰を続けた
それでも変わらぬ笑み
澄んだ瞳は何をうつす?
いつしか女人は子供を残し
あとかたもなく消えていた
まるで幻であったように

私とうりふたつの
醜く血まみれた奇形児が叫ぶ


私は一生鏡の迷宮から抜け出せないだろう。

杉井武作 6D「鏡の果実」 2003年01月16日(木)03時36分03秒

疣なんて、消えてしまえばいいのに。

この疣(いぼ)さえ無ければ、桃子は振り向いてくれるに違いないんだ。
掌で顔を隠した俺が、あざ笑うように俺を見る。
俺は苛立ちを押さえきれずに、また俺を叩きまくる。

拳から血が吹き出る。
ステンレス製の鏡はついに割れてしまった。
痛みでうずくまる。鏡の欠片にうつる俺が、そのとき一斉に俺を見た。



ようやく意識がもどったとき、異次元空間に俺はいた。
ここはいったい、どこなんだ?
目の前に広がるのは・・・見たくもない無数の俺だ。
鏡?そうか、ここは鏡の迷宮だ。

よく見ると俺、疣がとれてるぞ。
へへへ、やったぜ。ついに消えた。見てくれ桃子。

・・・あれ?何故か桃子がここにいるぞ。
駆け寄ろうとすると、俺はコメディーのように鏡に頭をぶつけた。
俺を取り囲む鏡の中だけに、桃子は存在していた。
せっかく理想の俺になれたのに、桃子は俺に気付かない。
鏡の中の桃子を観察する。やっぱり桃子は、最高に可愛い。
と、高校の担任のエロ数学教師がやってきた。

桃子、なに笑ってんだよ。逃げろよ。
おい、なにやってんだよ。やめろヒヒジジイ。
桃子、なに汚いモンくわえてんだよ。
ふざけるなよ、それ以上触れないでくれ・・・

桃子が犯された。
ショックを受ける間もなく、次にやってきたのは小学校のときのクラスメートだ。
普段まったくしゃべらないクセに体育のときはニヤニヤ気味悪い笑みを浮かべながら女子の着替えをちらちら覗いてた、あいつだ。

桃子、なにされるがままなってるんだよ。
お前、綺麗な身体してたのに。

それからも次々と、桃子は変態共に・・・輪姦されていった。
桃子はずっと、変わらない笑顔を浮かべていた。

桃子・・・何故?桃子・・・

気が触れかけたとき、桃子がおれの前に現れた。
今度は鏡の中ではない。手を伸ばすと、柔かい感触が伝わった。
桃子、無事だったのか?よかった。
そうだ、桃子に伝えたいことがあるんだ。

おれ、桃子が好きだ。

桃子は、笑った。
それは、朝学校で会ったときの「おはよ」の微笑み。
帰り際の「さよなら」の微笑み。

そして、あいつらに汚されているときに浮かべていた微笑みだ。


汚らわしい。
その顔やめろよ。さわるなよ。変態。
桃子に腹を蹴り倒した。
近づくなよ。雌豚のくせに笑いかけるなよ。だらしない目でほしがるなよ。
「インラン・バイタ・キチガイ・ハイジン・チクショウ・ゴキブリ。」
しばる。のませる。まきつける。ねじふさぐ。
あらゆる言葉を浴びせ、あらゆるギャクタイを加える。
それでも微笑みをやめない桃子。

鏡にうつる自分を見ると、顔中がぼつぼつの疣だらけになっていた。
それよりも俺は、桃子を飼いならすことに夢中だ。
桃子を虐めれば虐めるほど、疣はどんどん増殖していった。
汗と血と膿で顔はぬるぬる。ぱんぱんに膨れ上がった顔の疣で、既に前も見えない。
唇が塞がれて窒息するのも時間の問題だ。

桃子はもはや動かない。ただ微笑みを浮かているだけの人形になった。
それを虐めながら俺は声にならない声で呟いた。

おれ、桃子が好きだ。

管理者:Ryo Michico <mail@ryomichico.net>
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