「物語の作法」課題提出板の検索

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▼夜のサーカス の検索結果(ログ33-34)


児玉武彦 批評1/伝わらずとも解る詩を! 2004年04月20日(火)01時02分25秒
▼課題と連絡:批評課題1/稲葉祐子「冷凍庫には入れないでください」 への応答

1▼夜のサーカス

ガンガラガン、と風が吹き
今日の終わりを告げました
途端に世界は華やいで
偽者の光が差し込みます

我がもの顔で車が走り
サーカスみたいな猛獣だらけ
何を信じたら いいのかな

僕は光にくらまされ
歩くのがやっと なのでした
猛獣に食べられないうちに
家に帰らなければなりません

夜はまだまだ長いから
眠らなくてはなりません
3位;とにかくこの詩集の冒頭という事もあり、何より
   ガンガランという言葉のインパクトに引き付けら
   れた。あと個人的に「眠らなければ」という下り
   が今の自分にリアルに響きました。

21▼かまいたち

身構える余裕はありませんでした
武器も持たない僕は
ただ
立ち止まって
傷付くのみです
不覚にも不意にやってくる
その悪意から
僕は未だに逃げられません
2位:筆者の気持ちがとてもストレートに伝わって来て思
   わず共感してしまう。ただ、折角タイトルに「かま
   いたち」と工夫されているのに「悪意」という言葉
   が、より深く共感するのを妨げているきがする。

34▼無題

刻むほどに厚いものは
いつか何処かに置いてきた
泳がすほどに広い心は
とうに何処かに捨ててきた
空は冷たく 息は白く
今日は終わって流れ去る
1位:表現方法として、とてもセンチなのにそれが鼻につか
   ず、とても素直に共感出来るのは文体のバランス感覚
   によるものなのか。「刻むほどに厚いもの」という言
   葉が特に良い。万人が持ってるであろう形容し難いモ
   ノを絶妙な言葉で過不足無く言い当てているきがする。

総評:全部で55個もある詩の中で共感出来た詩は割合とし
   ては多いとは言えなっかたが、筆者が詩を生み出すバ
   ックグランドはとても興味が持てた。詩というのは一
   体誰に響けば良しとされるのか畑違いの自分には解ら
   ないが、より多くの人に伝わるにこしたことはないき
   がする。なら、例え響かずとも伝わる作品の創作を心
   掛けてみてはどうか。詩の意味が解るのと解らないの
   とでは、心に響く響かないに関係無く大きな前進にな
   るのでは。    




滝 夏海 批評1/テンポの先へ 2004年04月20日(火)01時18分33秒
▼課題と連絡:批評課題1/稲葉祐子「冷凍庫には入れないでください」 への応答

1▼夜のサーカス

ガンガラガン、と風が吹き
今日の終わりを告げました
途端に世界は華やいで
偽者の光が差し込みます

我がもの顔で車が走り
サーカスみたいな猛獣だらけ
何を信じたら いいのかな

僕は光にくらまされ
歩くのがやっと なのでした
猛獣に食べられないうちに
家に帰らなければなりません

夜はまだまだ長いから
眠らなくてはなりません

 語尾と単語の選び方など言葉の使い方が少し気になる詩もいくつかありますが、これはその文章的な言葉使いと詩のイメージが、上手く合わさっているのではないでしょうか。猛獣だけど「サーカス」と付くと、怖そうなのに飼い慣らされてそうでもあって。世界や自分を少し離れてみている感じが出ていて良いと思いました。ただ、最後の2行がどこから繋がっている(連想されている)のか分からず、ちょっと余分に見えました。


15▼洗濯の必要

痛みはたたんで隅に寄せ
汚れたこころは洗います
今日は晴れていますので
明日までには乾くでしょう

昨日も今日も洗濯日和
明日もずっと洗濯日和
必要なのは雨ではなくて
乾いた空気と洗剤です

 どこかで聞いた事のあるような内容ですが、テンポが良いので一票。文字で見るより、口に出した方が楽しめる詩です。青空を見て、ふっと呟きそう。
 個人的な好き嫌いの話になりますが、この詩は4行より2行で区切り、「昨日も〜」からの2行と「必要〜」からの2行を入れ替えた方が、声に出した時気持ちいいかな、と。これは本当に個人の趣味の話ですから。


36▼どうしようか

どうしようか
お金もないし
君には何もあげられない
並んで笑っていようかな
せめて愛の言葉くらい
君に贈れるといいんだけど
私には愛が何なのか
まだよく解からないのです
君の欲しいものすらも
まだよく解からないのです

 とっても直球な詩で、好きです。稲葉さんの詩は、気持ちとそれを表した言葉と詩全体のイメージとが微妙にズレて複雑に見えるだけで、実はとっても素直な詩だと思うんです。それが表れているのが36『どうしようか』と37『無題』。困っている姿もまた可愛らしかったので、こっちを選びました。

 「テンポは良いけど、もう一歩」というのが全体的な感想です。それはたぶん、どこかで聞いた事のあるフレーズが多かったり、語っている内に主題から違う方へ逸れてしまったり(意図してすり替えるのは別)、どこにピントを合わせて良いか迷ってしまう部分があるからでしょう。フレーズとしてよく使われる物はテンポも良く、耳に気持ちいいのですが、その分さらっと流れてしまう怖れがあります。音の流れやテンポに拘るのも良い事だと思いますが、もっともっと稲葉さんならではの言葉の使い方をしていけば、心に引っ掛かる詩が増えるのではないでしょうか。

千田由香莉 批評1/ 「The Unfinished Symphony」 2004年04月20日(火)21時26分28秒
▼課題と連絡:批評課題1/稲葉祐子「冷凍庫には入れないでください」 への応答

▼夜のサーカス

ガンガラガン、と風が吹き
今日の終わりを告げました
途端に世界は華やいで
偽者の光が差し込みます

我がもの顔で車が走り
サーカスみたいな猛獣だらけ
何を信じたら いいのかな

僕は光にくらまされ
歩くのがやっと なのでした
猛獣に食べられないうちに
家に帰らなければなりません

夜はまだまだ長いから
眠らなくてはなりません

 途端に浮かんだイメージは、幾何学模様。ピカソの絵画に、ぽたり、と対照的な有り得ない色を落とした感じ。…というこの詩をイメージした絵が浮かぶのだけれど、悲しいかな。実際に描いてみせる事が出来ないのが悔しい。

▼箱の中

月が高く昇った今夜も
凍えぬように目を閉じる
まるで孤独の水の中
眠りの音を聞きながら

まるで静かな箱の中
一人で寝るには広すぎる


 彼女の詩の世界を象徴するような詩だと思いました。
この中に存在するすべての言葉が、静かだけれど確実に主張しているような気がします。
「一人で寝るには広すぎる」で締め括ったところがまたよかったです。私はこの詩が一番好きです。
▼アルバイター

氷を落とし 水注ぐ
喉が乾いてたまらない
洗剤落とし 床こする
汚れはなかなか落ちなくて
革靴で走り コップ割る
客に怒られ 詫び入れる
洗った灰皿 素早く戻す
帰る頃にはくたくたで
手にはいつでも火傷跡
夜空を見ながら 歌唄う
首をかしげて 星さがす
落ちない汚れで制服汚れ
泣くこともできず
ひとりで帰る


 これは読みながら、「ああ、わかるなぁ」と、思わずうなづいてしまいました。いや、本気で。私もバイトをしていて、しかも革靴で転びます。転びました。それも何度も。
それに嫌な事って、芋づる式に連鎖反応してくるような気がしませんか?気のせいかな。今後、バイトで嫌な事があった日にはこの詩が浮かぶと思います。 

 最後に、詩の世界のキャッチコピーですが、"The Unfinished Symphony"「未完成交響楽」にしてみました。未完成という言葉は、どちらかというと頼りない負のイメージがあるかもしれませんが、私にとっては全くそうでなく、むしろ「完全」よりも輪郭のはっきりとした言葉だと思っています。稲葉さんの詩は、雨上がりの蜘蛛と、蜘蛛の巣。蜘蛛って存在は何ともはやグロテスク。でも、ふとした瞬間、息も止まるぐらいに美しい…。稲葉さんの詩にはそんな印象を受けました。詩の内容がリアルですよね。なのに胸焼けしない。それは、グロテスクである「リアル」という存在を受け止めている証だと思います。
 英語の苦手な私ですが、タイトルは英語にこだわりました。日本語というよりも、英語の音、”Symphony”という響きがしっくりきたので、こっちにしました。
 
 

室橋あや 批評1/擬音語。 2004年04月20日(火)23時05分50秒
▼課題と連絡:批評課題1/稲葉祐子「冷凍庫には入れないでください」 への応答

1▼夜のサーカス

ガンガラガン、と風が吹き
今日の終わりを告げました
途端に世界は華やいで
偽者の光が差し込みます

我がもの顔で車が走り
サーカスみたいな猛獣だらけ
何を信じたら いいのかな

僕は光にくらまされ
歩くのがやっと なのでした
猛獣に食べられないうちに
家に帰らなければなりません

夜はまだまだ長いから
眠らなくてはなりません
この前授業が終わった後に、稲葉さんの詩をみんなで声に出して読んでいろいろ話していたんですが、最初に読んで創作の擬音語があるよと騒いだので一番印象に残っています。途中で1文字空く「歩くのがやっと なのでした」の部分が読んで面白かったんですが、「何を信じたら いいのかな」の1文字空きはちょっと読んでいてひっかかったのでいらないかと思いました。

3▼夜粒

夜を一粒切り取って
そらの畑にまきました
僕はじょうろで月光を集め
水の代わりにしてやりました
夜はすくすく育ちます
薄闇の芽が出て蔓が伸び
月光を喜んで吸い取ります
そうして星が咲いた頃
月光はじょうろでは足りなくなり
夜粒はいつの間にか夜になって
僕は夜粒の世話をやめました
じょうろは未だに持っています
夜粒はもう実をつけたでしょうか
まだ夜は二つにはならないから
枯れてしまったのかもしれません
全体的にストーリーがあってオチがついて一番分かりやすかったです。でも月は星のうちじゃないのかとか細かい指摘もでましたが・・・(みんなで話していたときに)もしおとぎ話のようにするのなら、「僕はじょうろで月光を集め 水の代わりにしてやりました」の部分はわざわざ説明しなくても通じると思います。ここで現実的な説明が入ってちょっと拍子抜けしました。

15▼洗濯の必要

痛みはたたんで隅に寄せ
汚れたこころは洗います
今日は晴れていますので
明日までには乾くでしょう

昨日も今日も洗濯日和
明日もずっと洗濯日和
必要なのは雨ではなくて
乾いた空気と洗剤です
一つの道具や動作を使って心情を表現するのはとても面白いと思います。個人的にも好きなんですが、これはなんだか結局よく分かりません。なんの比喩なのかが分からないと面白さが半分になってしまう気がします。タイトルが好きです。

気になったのが2カ所ぐらい出てくる創作の擬音語です。確か「4▼失うこころ、咲く桜」のときも「僕はことり、と胸が痛んで」というところがありましたが、何がどう「ことり」なのか聞いてみたいです。

松永洋介(アシスタント) 批評課題1で選ばれた作品の集計結果 2004年04月25日(日)00時15分40秒
▼課題と連絡:批評課題1/稲葉祐子「冷凍庫には入れないでください」 への応答

批評課題1で、稲葉祐子さんの詩集「冷凍庫には入れないでください」から各自3編を選んでもらいました。その集計結果です。
単純に、1回選ばれたら1票と数えました。順位をつけてくれた人もいましたが、重みづけ(たとえば1位3点・2位2点・3位1点とか)はしてありません。また、今回選ばれなかった作品は省いてあります。

⇒稲葉祐子 作品1「冷凍庫には入れないでください」
⇒批評課題1の投稿一覧

▼批評課題1集計結果
票数作品選んだ人
743▼街と夢越智、城所、松本、露木、寺岡、土橋、前澤
56▼はるうらら雨宮、露木、寺岡、土橋、前澤
536▼どうしようか高澤、滝、加賀、瓜屋、野島
41▼夜のサーカス児玉、滝、千田、室橋
34▼失うこころ、咲く桜越智、寺岡、高澤
37▼月夜の天国雨宮、高澤、藤森
314▼枯れた喉五十嵐、加賀、吉見
315▼洗濯の必要志田、滝、室橋
28▼回送列車松本、五十嵐
210▼旅吉見、野島
232▼変化城所、瓜屋
237▼無題藤森、加賀
250▼選択の世界菊池、露木
253▼無味乾燥土橋、前澤
254▼アルバイター雨宮、千田
12▼水の便り菊池
13▼夜粒室橋
15▼いつかの僕の夢吉見
19▼口笛を吹く余裕城所
111▼箱の中千田
118▼幸福の王子菊池
120▼白紙瓜屋
121▼かまいたち児玉
123▼蜂蜜ハニー志田
124▼東京の夕暮れ五十嵐
129▼この心越智
134▼無題児玉
135▼川藤森
140▼もしもこれが夢だったなら志田
141▼内側野島
148▼不動の自由松本

管理者:Ryo Michico <mail@ryomichico.net>
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