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■岩井國臣氏との和解調書 16 Jan. 2008

2007年9月18日に提訴した訴訟。11月6日に初公判が開かれました。続く12月11日の第1回弁論準備の場で、裁判長から早くも和解勧告があり、12月20日の第2回弁論準備で和解が成立しました。

和解調書には、ほぼ請求通りの和解条項が記載され、事実上の全面勝訴となりました。地裁判決だと控訴の可能性がありますが、和解なのでお互い控訴もなく、これで確定です。

【裁判上の和解】『広辞苑』第五版より
民事事件において、裁判所の面前でなされる和解。(略)
調書に記載されると確定判決と同一の効力が生ずる。

第2回 弁論手続調書(和解)

事件の表示平成19年(ワ)第24198号
期日 平成19年12月20日 午後2時30分
場所等 東京地方裁判所民事第46部手続準備室
受命裁判官
受命裁判官
裁判所書記官
設樂 隆一
古庄 研
御園生 隆史
出頭した当事者等原告代理人  福井 健策
被告  岩井 國臣
指定期日 
当事者の陳述等
当事者間に次のとおり和解成立
 第1 当事者の表示
  奈良市****
    原告  寮 美千子
    訴訟代理人弁護士  福井 健策
  東京都****
    被告  岩井 國臣
 第2 請求の表示
    請求の趣旨及び原因は,訴状及び訴状訂正申立書記載のとおりであるから,これらを引用する。
 第3 和解条項
    別紙和解条項記載のとおり
       裁判所書記官  御園生 隆史

(別紙)

和解条項

1 被告は、平成19年12月27日限り,別紙作品目録1記載の文章(以下「被告文章」という。)を,同目録2記載のウェブサイト(以下「被告サイト」という。)から削除する。

2 被告は、平成19年12月28日以降,被告文章の全部若しくは一部を,被告サイトを通じて公衆送信しない。

3 被告は,別紙作品目録3記載の書籍(平成17年4月1日第4版発行)を増刷しない。

4 被告は,今後,事前に原告の文書による同意がない限り,被告文章の全部若しくは一部を利用しない。

5 被告は,原告に対し,本件和解金として金50万円の支払義務があることを認め,これを平成19年12月31日限り,原告代理人の銀行預金口座(****)に振り込んで支払う。

6 被告は,下記の文章を,本和解成立後1ヶ月以内に,被告サイトのトップページの任意の位置に,通常の文字サイズで掲載し,その後1年間これを削除しない。
 被告は,上記期間中は被告サイトを閉鎖しない。

  この度、寮美千子編・訳 篠崎正喜画「父は空 母は大地 インディアンからの手紙」(パロル舎)中の文章を第三者が無断で改変したものを、それと知らずに、私の著書「劇場国家にっぽん わが国の姿のあるべきようは」(新公論社)や本ウェブサイトに無断掲載その他利用していたことが判明いたしました。そこで、本ウェブサイトから当該文章を削除すると共に、関係者にお詫びいたします。

7 原告はその余の請求を放棄する。

8 原告及び被告は,原告と被告の間には,本和解条項に定めるほか,本件に関し,何らの債権債務のないことを相互に確認する。

9 訴訟費用は各自の負担とする。

以 上


別紙

作品目録

1 被告文章
1854年、第14代大統領ピアスは、インディアンたちの土地を買収し、居留地を与えると申し出た。1855年、インディアンの酋長シアトルはこの条約に署名。これは、シアトル酋長が大統領に宛てた手紙である。


ワシントンの大酋長へ そして 未来に生きる すべての兄弟たちへ


どうしたら 空が買えると言うのだろう? そして大地を。
私には わからない。風の匂いや 水のきらめきを
あなたは一体 どうやって買おうと言うのだろう?


あらゆるものが つながっている。私達が この命の織物を織ったのではない。
私達は その中の一本の糸にすぎないのだ。


すべて この地上にあるものは 私達にとって 神聖なもの。
松の葉の 一本一本 岸辺の砂の 一粒一粒 深い森を満たす霧や


草原になびく草の葉 葉かげで羽音をたてる 虫の一匹一匹にいたるまで
すべては 私達の遠い記憶の中で 神聖に輝くもの。
私の体に 血が巡るように 木々の中を 樹液が流れている。
私は この大地の一部で 大地は 私自身なのだ。


川を流れる まぶしい水ではない。それは 祖父の
そのまた祖父達の血。小川のせせらぎは 祖母の そのまた祖母達の声。
湖の水面にゆれる ほのかな影は 私達の 遠い思いを語る。
川は 私達の兄弟。
渇きを癒し カヌーを運び 子供達に 惜しげもなく 食べ物を与える。

だから 白い人よ どうか あなたの兄弟にするように
川に優しくして欲しい。


生れたばかりの赤ん坊が 母親の胸の鼓動を慕うように
私達はこの大地を慕っている。
もし 私達が どうしても ここを立ち去らなければならないのだとしたら
どうか 白い人よ 私達が大切にしたように
この大地を大切にして欲しい。
美しい大地の思い出を 受け取った時のままの姿で
心に刻みつけておいて欲しい。
そして、あなたの子供の そのまた子供達の為に この大地を守り続け
私達が愛したように 愛して欲しい。
いつまでも。どうかいつまでも。

2 被告サイト http://www.kuniomi.gr.jp
(該当ページは、http://www.kuniomi.gr.jp/togen/iwai/titisora.html

3 被告書籍 「劇場国家にっぽん わが国の姿のあるべきようは」(新公論社刊)


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