「物語の作法」課題提出板の検索

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忘れられない人 の検索結果(ログ13)


水落麻理 水落麻理2A/忘れられない人 2002年07月03日(水)01時44分33秒

受話器から聞こえる、聞きなれた友達の声。
「あの二人、より戻ったってね。彼から言ったらしいよ。あの人やっぱりずっと好きだったんだね。」
無邪気に話す、友達の声。

ドクン
頭の中で音がした。
心臓が、頭の中にあるように
ドクドクと耳の奥から音がする。
その振動だって伝わってくる。
押し殺してた記憶の中で
よみがえる。
彼と彼女の並んで歩く後ろ姿。
彼と彼女の幸せそうなあの笑顔。
よみがえる。
行き場のないもう一つの思い。
彼が向けた、私への笑顔。

心が素直に反応してる。
痛い
のどの奥でその気持ちは
固体となる。
息がつまる。
そしてゆっくりぼやける視界。

「良かったじゃん。」
思わず口から出た言葉。
いつもより、少し高くて少し大きい私の声。
「彼、あの子のことすごい好きだったしね。」
「別れてから一年半もずっと忘れられないでいたんだね。」

自分が言った言葉で、自分を傷つけるなんて笑っちゃう。
彼にとっての一年半。
同時に私の一年半。プラス半年。

受話器の中から聞こえる友達の声。
体の中から聞こえる私の声。

友達の声を遠くに聞きながら、私は顔をあげた。
目からこぼれ出て主張しようとする本当の心。
決してこぼすものか。
まだ耳の奥で音だってするし、よみがえった情景はまぶたに焼きついているけど。
ゆっくり目を閉じる。
その涙を認めることは、ふりだしに戻ること。

涙がまぶたの裏側で、ゆっくりと押し戻されていくのを十分に感じた。

友達の声はまだ遠いけど、私の口からはするすると言葉があふれてくる。
友達の話に大笑いもできる。
受話器を耳に挟みながら、いらなくなった紙に無意識のうちに落書きし始めた。
ふと窓を見ると夜はもうふけて、街頭がその夜に映えていた。

水落麻理 2B/忘れられない人 2002年07月04日(木)00時36分55秒

受話器から聞こえる、聞きなれた友達の声。
「あの二人より戻ったってね。彼から言ったらしいよ。あの人やっぱりずっと好きだったんだね。」
無邪気に話す、友達の声。

ドクン
頭の中で音がした。
心臓が、頭の中にあるように
ドクドクと耳の奥から音がする。
その振動だって伝わってくる。
押し殺してた記憶の中で
よみがえる。
彼と彼女の
並んで歩く後ろ姿。
彼と彼女の
幸せそうなあの笑顔。
よみがえる。
行き場のないもう一つの思い。
彼が向けた私への笑顔。
飛び跳ねた心臓。

心が素直に反応してる。
痛い
のどの奥でその気持ちは
固体となる。
息がつまる。
そしてゆっくりぼやける視界。

「良かったじゃん」
思わず口から出た言葉。
いつもより、少し高くて少し大きい私の声。
「彼、あの子のことすごい好きだったしね。」
自分の言葉で自分を傷つけるなんて笑っちゃう。

受話器から聞こえる友達の声。
体の中から聞こえる心の声。

友達の声を遠くに聞きながら、わたしは顔を上げた。
目からこぼれて出て主張しようとする本当の心。
決してこぼすものか。
まだ耳の奥で音だってするし、よみがえった二人の情景はまぶたにやきついているけど。
ゆっくり目を閉じる。
その涙を認めることは、振り出しに戻ること。

涙がまぶたの裏側で、ゆっくりと押し戻されていくのを十分に感じた。

私の口からはするすると言葉があふれてくる。友達の話に大笑いもできる。
受話器を耳にあてながら、いらなくなった紙に無意識のうちに落書きし始めた。
ふと窓を見ると夜はもうふけて、街頭がその夜に映えていた。

管理者:Ryo Michico <mail@ryomichico.net>
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