「物語の作法」課題提出板の検索：課題７／わたしの勧める３冊

１．「蜜柑」（『舞踏会・蜜柑』1968/芥川龍之介/文庫/角川書店)
これは本で読んだのではなく国語のテストで偶然読んだ。今では古典となっている小説でもここまで人の心を打つことが出来るということを実感させてくれた作品。
色彩的な描写がとても映像的で、実は芥川龍之介はロマンチストでありヒューマニストだったのだと改めて気付かされる。

２・「火車」（『火車』1992/宮部みゆき/単行本/双葉社）
自分が本を読むキッカケとなった本。小説というのがいかに優れた娯楽であるかを教えてくれた本。宮部作品は「ＲＰＧ」までは読んだが「火車」のような衝撃はなかった。

３．「北の国から」（『定本　北の国から』2002/倉本聡/単行本/理論社）
誰が何と言おうと「北の国から」は外せない！ストーリーがどうとかじゃなく本能的に愛してる作品です！このことになると理性が飛びます！
スペシャル版もいいですがダントツで初回シリーズでしょう！田中那衛演じる五郎は永遠に不滅です！純も蛍も不滅です！ふざけてません！本気です！
「遺言」を観る為にバイトを辞めました！「北の国から」万歳！倉本聡　万歳！

＊京極夏彦著『姑獲鳥の夏』（講談社　１９９８）
京極夏彦の代表作、京極堂シリーズの第一作。
１９９４年に講談社ノベルスから出版されていて、私が読んだのは文庫版の方です。
ミステリなのか、哲学なのか。
この世に不思議なものなどひとつもないのだ。という内容。
高校一年生の頃読んで、それまで曖昧にしか疑問に思っていなかった自分の中の世界の認識について、考えるきっかけとなった本です。

＊小野不由美著『月の影　影の海（上下）』（講談社　１９９２）
もとは講談社Ｘ文庫という少女小説の文庫から出ています。
のちに講談社文庫でも出版されています。
小野不由美の、十二国記シリーズの第一作。
普通の女子高生であった主人公、陽子が異世界へ連れて行かれ、苦しみながら生き抜くお話。
少女小説として出されながらも、見事に構築された世界観。構成。その素晴らしさもあるが、
なによりもキャラクターが魅力的。
いわゆるキャラ萌え的な魅力ではなく、醜くもあり美しくもあり泥臭く迷い戦いながら自分を生きている。
弱さも強さも抱え優しく醜く、生き抜いていく。生き様が美しい。
私の根底の強さを育てるきっかけをくれた本です。

＊モーリス・ドリュオン著　安東次男訳『みどりのゆび』（岩波書店　１９６５）
児童文学です。
お金持ちで美しいパパとママのもとに生まれた、心優しく美しい子供、チトの物語。
チトの持っている不思議な能力と、それでチトの起す素敵なこと、そうしてそんなチトを愛した庭師、ひげさんとの心のふれあい。
小さな頃から何度読んでも最後は必ず泣いてしまいます。
人が必ず持って生まれてきたどこかやわらかい部分に触れることのできる物語です。
優しさと悲しみを教えてくれた本です。

読書体験という程、有名な小説も古典も読んでなくて、
最近気付いたのは私は物語を物語として昇華することが苦手で
私の側にひきよせて読むというくせがあるようです。
でも、少ない読書量の中、私は私の核を物語や音楽から得てきたように思います。
そんな人の心の核に触れてしまう作品が私は好きです。
そして、そんな作品を作りたい。

上の３作品はそんなこと無視しても全然オススメです。

　お薦めの本というのはたくさんありすぎて…選ぶのが苦痛でした。その中でも私のお気に入りかなと思うのを挙げるとするなら…この3冊でした。

　神の系譜Ⅰ　竜の封印　≪西風（ナライ）隆介／徳間ノベルス・徳間書店／2000．4.≫
＞かなり内容はマニアック的なものなのですが、歴史や民俗学、ミステリーお好きな方にはお薦めなのがこの作品です。内容は私が説明するよりも読んだ方が早いのですがが、歴史や伝承など民俗学的な要素を含みつつミステリーが転換認知神経心理学という科学を持ちいりながらその背後に横たわる謎というかそれが徐々に見えてくるのが面白い・・・というか続刊が出ています。また私がお薦めのキャラはこの話の中心人物なのにほとんど喋らない天目マサト君と庭弄りではなくガーデニングをしている竜蔵爺さんでしょうか（笑）

　未明の家―建築探偵桜井京介の事件簿―≪篠田真由美／講談社ノベルス・講談社／1994.9≫
＞手元にない本ですが、私的にはお薦めです。内容の説明は京介という建築にやたら知識がある美貌の大学生が建築物の関する事件に巻き込まれ謎解きをするというのが大体のストーリーです。その助手というか側にいることが多いのが蒼と呼ばれる高校生（新刊では大学生ですが）とその友人である深春という人物の主人公とのやりとりも面白いですが・・・ただ心理描写とか時々リアルなので精神的に突っ込む話もあるのでそれが駄目な方は止めといたほうがいいかもしれません。何よりも、建築とかミステリーとかお好きならお薦めです。コアなファンも多いじゃないでしょうかね、図書館に行けば大抵あるメジャーな作家さんでありますので、興味を持ったら一度手にとってみるといいですよ。

　スカーレット・ウィザード１　≪茅田砂胡／C☆NOVELS・中央公論新社／1997.7≫
＞上の2作品とはうってかわってこれはエンターティメント作品です。この方の前作のシリーズからファンであるのですが、私はこの作品が一番キャラもストーリー展開もはちゃ滅茶すぎて、面白いです。一匹狼の宇宙海賊というかお尋ね者の主人公がある酒場で一人の女に誘われる、誘ってみると自分と結婚してくれという話だがそんなの受けるはずもないが一つ賭けをする・・・俺を捕まえればその条件を呑むという話から展開するストーリーです。このはちゃ滅茶な二人とそれを囲む周りの人物の個性がいいです。あまりにも破天荒すぎて読んでいて笑いがこみあげる作品ですし、エンターティメントしてはかなり上出来な部類に入ると思います。また、前作のデルフィニア戦記、そしてこの続きともいえる暁の天使たち（デル戦で出てきたキャラが活躍します）を続けて読むとまた面白さが倍増します。私的にはこの三作品の中では一番お薦めの作品です。

というような三作品というか、作家さんがお薦めです。作家さんの別のシリーズもお薦めだったりしています。本の量は読んでますがかなり偏りがり、文学的なものは一切読んでいないし・・・あまり、うまく内容の説明出来ていませんが、気になったら手にとって読んでみてください。
これ以外の作家さんの作品では鬼籍通覧シリーズの椹野（フシノ）道流さんや十二国記シリーズの小野不由美さんはぜひ読んでみるといいじゃないでしょうか

村上春樹著『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上,下〉』(新潮文庫　1988)
高い壁に囲まれた街で夢読みの仕事をしている「僕」の[世界の終り]と、自分の脳を暗号化して
生計を立てている「私」の[ハードボイルドワンダーランド]の二つの物語が同時進行する。
云わずと知れた村上春樹さんですが、もう惹き込まれます。スマートで良質。

恩田陸著『三月は深き紅の淵を』(講談社文庫　2001)
稀覯本「三月は深き紅の淵を」を巡る４章立てのミステリー。
とても良く出来た入れ子構造。おおぅ、と関心させられてしまう構成力。

メーガン・ウェイレン・ターナー著『盗神伝〈全3巻〉』(あかね書房　2003)
女王の盗人の少年ジェンがアトリア、エディス、ソウニス云う三国間で活躍する冒険ファンタジー。
「なんだって盗める」と公言する代々盗人の家系ジェンの魅力が一番。
しっかりした設定とハラハラの展開と予想外な結末。

お勧め出来る本として、趣旨と反しているのですが普段そんなに読んでいる作家ではない本を三冊(実際六冊)。
何故かあまり小説では女性の書いた物を読まないのですが勧められるものとなると、
割と最近に読んでメジャな恩田陸と読み易い児童文学のターナー。そして、大メジャ村上春樹。
どれも私がモノを書くにあたって強い影響を受けた訳ではありませんが、
脳もしくは心を揺らされたエンタメ性の高い作品です。

　中原中也、『山羊の歌』（文圃堂、1934初刊）
大好きな詩がたくさん詰まっています。みなさんも一度はどこかで目にしたことがあると思います。授業の初めのほうで先生も例に挙げていましたね。
【批評課題１／参考作品　中原中也】

　立原道造、『立原道造全集』（角川書店、1950初刊）
第一回、中原中也賞の受賞者。しかしその同年、24歳という若さで逝去。
『優しき歌』が好きです。ソネットという十四行詩の形式で書かれたものです（あまり詳しくないのですがソネットにもいろいろ種類があって、『優しき歌』はイタリア（ペトラルカ）式ソネットというそうです）。人に薦められて初めて読んだ時、なんとも言えない、やはり優しいものに触れたような、そんな気持ちになりました。

　谷川俊太郎（編）、『祝魂歌』（星雲社、2003）
谷川俊太郎、中原中也、三好達治、…30人30色の魂の歌。中にはプエブロ族の古老や、チョンタル族の古謡など、およそなかなか巡り会えないであろう歌も入っていて、とても面白いです。死を扱ったものなので、面白いと言うのも不謹慎だと思われてしまいそうですが、読んでみればわかるはず。帯にはこう書いてあります、「新しい魂の旅立ちを祝う」。装画はフジ子・ヘミングさんです。

中原中也、立原道造、夭折した詩人です（中也は30歳で亡くなりました）。永く、彼らの作品はこれからも愛されるだろうけれど、けれど、もっと生きて欲しかった（なんて言ったらいけないのかなぁ）。生きるということを直視する。目のくもりを払い、見つめることの難しさ。「I HATE MYSELF」なんて少しも格好良くないよ！　と言われてしまったような、僕の青春の断片。

「東京バカッ花」室井滋・１９９４・マガジンハウス
これは、私が漫画以外で初めて自分で選んで買った本です。この本を読んだからこそ、私はここにいるのかもしれません。９歳のときに読んで以来、何度読んだかわからないほど読みました。読むたびに、違う感想を持つのです。エッセイというジャンルを読んだのも初めてだったのですが、砕けた感じにはまって以来、室井滋さんの本は全て買っています。

「未成年」野島伸司・１９９８・幻冬舎文庫
これは、私が初めて買った原作本です。このドラマが大好きで、文庫本が発売されているのを知り買いました。ドラマを見てから本を読んだので、映像がリアルに出てきて、泣けます。しかし、やはり映像と小説は別物で、違う感動を得ることが出来ます。それ以来、原作本にはまり、様々な原作本を読みました。映像と小説、どちらを先にするかでも作品の印象が違ったり…と、２度楽しめる感じで、大好きです。（全部の本を持ってくることが出来なかったので、自分で選んだものが今手元にあるのですが、原作本が凄く多いです。小説を買った後に映像化されたものもありますが…）

「直江庸介という誘惑　人はなぜ『白い影』を語り続けるのか」篠原沙里・２００３・光文社
これは、今回の題材にはあまり向いていない本かもしれません。が、エッセイ、原作本以外にあまり持ってきていないので、別ジャンルということで選びました。これは、ドラマを様々な視点から深く分析している本です。ドラマあってこその本ですが…。この本を読んでからドラマを見るといっそう深くのめり込めます。

改めて、お勧め本を選ぼうと本を見たら室井滋さんの本と、原作本で８～９割だという事実に気付きました。原作本では、黄泉がえり（梶尾真治）クロスファイア、ＲＰＧ（宮部みゆき）ＧＯ（金城一紀）……といろいろです。本は本。映画は映画。と私の中で区別されていないようで、こうなりました。皆さんの本と比べるとなんだか恥ずかしいのですが…

白河夜船、吉本ばなな１９９８角川書店

吉本ばななは知り合いに薦められて読み始めました。
ちょうど眠くてしかたないっていう、主人公とまったく
同じ状態になった時があって。だから共感できました。
吉本ばななは結構誰もが一度は通る心理状態をうまく
書いている気がします。

ノルウェイの森、村上春樹１９９１講談社文庫

ヒット作品なのでけっこう皆知ってるかもしれません。
出てくる女性のキャラクターが個性的で、本嫌いな人でも
スラスラ読めます。付き合ってる女性が精神病っぽく
なって最後は死んでしまうんですけど、こういうちょっとした
心理系のものは好きです。

MARS、領冬実２０００講談社

これは結構暗くて重い話です。すごく人のドロドロした心理状態を
うまく書いてます。でも私はそういう本が根本的に
好きです。

私は本は心理系のものを読むことが多いです。
本を読むことで、自分が知らなかった事を知ったり、
こういう道や考えをするとこうなるんだ、という事を知る事
ができるのが好きです。そういう意味でエッセイも好きです。

「僕は勉強ができない」山田詠美（新潮社文庫　１９９６）

勉強はできないが女にはよくモテる高校生の秀美くん。そんな彼の日常や価値観は普通の高校生とはちょっと違っていて・・。

ませている秀美くんが可愛くて好きです。世の中にいるアホな大人たちを厳しく見ていて、実は頭のいい子なんじゃ！と思わせます。

「風葬の教室」山田詠美（河出書房新社　１９８８）

転校先でいじめにあう主人公の少女が、淡々と幼いクラスメート達を見つめ、考える。

悲しく、暗い毎日を送る少女が、しっとりとした美しさを持っている。すごくきれいな、そして過激な小説だと思った。

「でも女」群ようこ（集英社文庫　１９９７）

すぐ「でも」を使う女たちの日常を描いた短編集。

皆、どこか欠点のある主人公たちに親しみがもてます。こんな日常きっとどこかに転がっているんだろうと思わせるストーリー。　

『物語の作法の受講生にお薦めの３冊』が課題になったので、この板に載せます。せっかくなので新たに選んだ３冊を記しておきます。

『悪魔の辞典』（アンブローズ・ビアス著　筒井康隆訳）講談社　２００２年
　
　エッセイ、小説、写真集と雑談板で紹介してきたので、次はあえて辞書を選んでみました。これは「最近の小説、詩には『毒』がない。これじゃあ、進研ゼミの付録にある甘い恋愛漫画を読んでいるみたいじゃないッ」とか思っている人にお薦めです。もちろんコレは金田一京助とかが編集したような普通の辞書ではありません。掲載されている単語の一つひとつ。A～Zまで、ビアスの悪意が感じられるような説明があります。また所々に掲載されている謎の神父の詩がよりブラック・ユーモアを引き立たせます。ぼくはこれを本屋で発見した時に、あまりの面白さに二冊買ってしまいました。一つは友人にプレゼントしましたけど。
　ついでに、和光高校には『和光辞典』という『悪魔の辞典』を真似たような辞書があります。

『野分』（夏目漱石著）「二百十日・野分」新潮社　１９７６年
　
　突然ですが質問です。あなたは何故、大学に入ろうと思ったのですか？　「学びたいことがあるから」「まだ社会に出たくなかったから」「良い企業に就職したいから」と、様々な理由があるでしょう。アメリカの大学生の７０％近くが「社会に出たとき、より多くの金を稼ぎたいから」と目論で大学に入学しているそうです。このデータが本当なら、とんだ拝金主義ですね。
　この小説の主人公は、そんな人たちがデカイ面をしてのさばる社会を痛烈に批判しながら、金にならない自分の勉学を貫こうとしています。ぼくはこの本を読んで「学問とは何か」「生きる価値とは何か」ということを考えさせられました。
　就職活動で悩んでいる、もしくは一生安泰という理由で公務員を目指している大学生に、是非読んでほしい漱石の作品です。

『悪童日記』（アゴタ・クリストフ著　堀茂樹訳）早川書房　１９９１年
　
　アガサ・クリスティーではなくアゴタ・クリストフです。この作品はちょっと前に各国で話題になったらしいので、知っている人も多いと思います。
　戦禍を逃れた幼い双子が疎開先の祖母の元で、たくましく生きていく話です。双子が書き記した日記という設定になっており、とても読みやすい作品です。生きてゆくために残酷になっていく彼らにハラハラさせられ、読んでいく内にラストが凄く気になってきます。登場人物の一人ひとりにも暗い影があり、時には恐ろしい行動を取る点にも異形な魅力を感じます。続編の「ふたりの証拠」「第三の嘘」も、おすすめです。

　皆さんの「お薦め本」の投稿に凄く関心を持ちました。次の作品の批評の際には、より深く意見を理解できる材料になりそうです。
　応えてくれて、ありがとうございます。
　ついでに、ぼくも芥川の『蜜柑』に感動しました。『月の影　影の海』『MARS』『風葬の教室』は途中で挫折してしまいました。いずれ、また挑んでみようと思っています。『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』のラストをドトールで読んでいて、泣きそうになりました。『サバイバー』が欲しくて、本屋で探し回っています。
　
　最後に、越智さんの応答としてぼくの「お薦め漫画」を記すと
『ツルモク独身寮』（窪之内英策）小学館　１９８８～１９９１年
『蒼天航路』（李学仁,王欣太）講談社　１９９６年～
『ハチミツとクローバー』（羽海野チカ）集英社２００２年～
になります。有名な作品ばかりですが。

『空の境界』　上下巻　講談社ノベルス　奈須きのこ (2004) 講談社
　作者は独自の魔術が存在する世界を持っている。
　さてこれは、その世界で生きる不思議な能力を持った人々の話。
　能力者はファンタジーではありがちな設定。だけど他とは違う独特の世界がある！

『イリヤの空、UFOの夏（その1）』　電撃文庫秋山瑞人 (2001) メディアワークス
　電撃文庫で今一番面白いのは――？
　電撃Hpのアンケートで見事一位を獲った本である。その作品の魅力はなんだろうか？ぐんぐん引き寄せられてく『読ませる力』を持った、秋山瑞人が書くボーイミーツガール。
主人公は見てられないほどしっかりしてない中学生、浅羽直之。彼の中二の夏は、夜の学校のプールから始まった。

『ノスタルギガンテス』　寮美千子（1993）パロル舎
　作品の裏側。これにはこんな意味付けがある。
　授業で扱い、その裏側の発見の面白さを教えてくれた作品。
　深読みしてもそれは間違いではない。そこには考えられた設定が、意味付けがある。

栗本薫『いとしのリリー』　角川文庫　１９９４年

　自分は人に薦められるほど本を読んでいないのですが、自分が長編小説を書くキッカケ、というか、教科書にした本がこれです。

　内容は、うろ覚えなのですが、病院の跡取である島村譲（通称ジョー）の中に入っているもう一つの人格、リリーをめぐって、主人公である高倉ケン（通称ケンさん）とリリーのサイコラブストーリー、というものです。
　ちなみに、主人格であるジョーは勿論男性です。
　このリリーなるものは、夜に目覚めて、ケンとクラブで歌ったり、肉体的な関係になったりで、読んだ当時（高１くらい）はものすごく衝撃を受けました。一歩間違えれば１８禁に等しい描写、というか、映像にしたら確実にそっち系統に分類されるであろう作品でした。
　しかしながら、ここまで生々しくも面白みのある恋愛小説はそうないと思うので、これを推薦したいと思いました。
　
　今思えば、この世界観や恋愛感、以前提出した作品の雰囲気は、この辺から影響されているのだなぁ、と実感しました。

　
　という事で、自分のお勧めできるものは三冊どころか、辛うじて一冊ぐらいしか思いつきませんでした。すみません。
　それで、肝心な本は、母親の友人に譲ってしまい、今、手元にはありません。なので今日、これから出かけるついでに探しにいきますので、発見できたら、持参したいと思います。

　

●クラフト・エヴィング商會著　『ないもの、あります』（2001　筑摩書房）
　『夢の標本箱』を本にした物、というとイメージしやすいでしょうか。クラフト・エヴィング商會は毎回違ったテーマで空想の固まりをでっちあげてくれます。しかも現物（や縮小版）まで作り上げてくれます。この本は実際には無い慣用的な言い回しでのみ存在する「舌鼓」「左うちわ」なる代物を取り扱っているカタログなのです。この本には現物の写真はありませんが。

●別役実著　『淋しいおさかな　別役実童話集』（1973　三一書房）
　別役実の短編童話集、と言っても子どもがこれを読んで喜ぶかは別ですが。どれもこれも、ナンセンスに満ちあふれ、くすっと笑えたり、不条理のままモヤモヤした物を抱えたり、切なくさせてくれます。そしてどれもこれも2度読みする事を勧めます。別役はラストを知った後に読み返すのが面白い。22話あるうち1話くらい、感性を刺激される話があるのではないでしょうか。私は『白いロケットがおりた街』という「SOSを発信するロケットと助けようとする街の人達」の話が好きで、読むたびに泣きそうになります。

●津原やすみ著　『ロマンスの花束』（1992　講談社X文庫）
　最後の最後まで他の人の作品を紹介しようか迷い続けましたが、あまり読まれないのでは無いかという事で、これを。現在はホラーや怪奇物を主に書いている津原泰水が少女小説作家時代に書かれた作品。男性の書いた少女小説（本人は「もどき」だと書いていましたが）の中編が2話入ってます。1話目の『フラッシュライト』はカメラ好きの不器用な少年がよく知らない年上の女性に恋をする物語。2話目の『ヒマワリズム』は美人で気の強い女の子と気弱な男の子との、もどかしい恋愛話。どちらもさほど甘くはなく、不思議な肌触りの作品です。けして上手いとは言わないけど、なんだか読んでしまう。今、持っている技術で青春物を書こうとした時に参考になるのでは、と思い出してみました。個人的に、向上心のない男共を「ゾンビ」と表現する2話目の女の子が好きです。

　ちなみに最近のお気に入りは『ちびギャラリー』というキャラクター系の一コマ漫画（？）「けっ」と言いたくなるような文章に「おいおい、待ってくれよ」と突っ込みたくなる絵が添えられてます。本もあるけど、サイトで見れてしまうのでそちらを紹介。「Bonmoya-zyu Gallery＞ボンコーナー＞ちびギャラ」と進むと出てきます。癒し系だけど、時々、これで癒されちゃいけない気になる物も。

http://www.bonsha.com/

「重力ピエロ」伊坂幸太郎　（新潮社　２００３年）

一番最近読んで眠れなくなった本。ミステリー？サスペンス？ヒューマンドラマ？とりあえず読み終わった朝方に奇声を上げてました。お父さんが癌だったり、主人公と弟が父違いの子だったり、内容的には本当に暗い。でもなんだか軽く読めてしまう訳は読み終わってタイトル見たら分かります。映画のネタが多い。セリフも多いし、主人公の弟がやたらキザっぽくて惚れる。作者も若い。ジェットコースター小説。

「ＢＡＮＡＮＡ　ＦＩＳＨ」　吉田秋生　（小学館　全１９巻）

漫画ですが。中学生のときに読んで眠れなくなった本。このとき空前のアッシュ（主人公の名前）ブームが我が家で吹き荒れました。私は初めて漫画で黒人やら、コカインやら、ヘミングウェイやらＣＩＡやらコルシカ・マフィアなんかの存在を知り、穴あきジーンズにえらく憧れ、ニューヨーク市立図書館といえば、マシュマロマンではなく、バナナフィッシュだよとすり替えられたのでした。

「二分間の冒険」　岡田淳　（偕成社　１９８５年）

小学生のときに（以下略）小学生上級からの児童文学です。図書室で冒険とつけばなんでも読み漁っていた私が発見した一大事でした当時。まあ異世界いっちゃうんですけど、小学生の空想の域を出ずにあのころみんなが憧れていた剣だの勇者だの竜だのが出てきて、あまりにも怖かったので私は絶対、選ばれし者なんかになるかよとやさぐれた本。竜が息を吹きかけるとみんなじじばばになるんです。怖い。

読んだ時眠れなくなったものを選びました。
みんなで眠れぬ夜でも過ごしましょう。ところで３冊どころじゃないですね。すみません。

雑談板にも、漫画小説の各オススメ３冊を載せましたが、課題になったのでさらに３冊オススメを書きます。

○『「イメクラの血液。」』　エンドケイプ著
これはネット上に掲載されている物語なのですが、管理人の方に許可を取っていないのでアドレスは控えておきます。サイトのほうには十の物語と、絵本のようなお話が掲載されています。最初読んだとき、凡庸な表現ですが、まさに頭をガツンとされたような感覚でした。中心に合わせるという文字配列をした文章や、日記のように綴っていく物語があり、どの文章にも切れとねっとりとした生々しさがあります。

○『もしもし』　二コルソン・ベイカー著　白水社
最初から最後まで、テレクラでの男女の会話のみの話です。でも話している内容が眉唾というか、かなり感覚的なことばかりで、読んでいると人の本当に微細な部分を覗いている感じでおもしろいです。それに、見えているものを表現する言葉が詩のように美しい。表紙は私の敬愛する岡崎京子が描いています。

○『電話がなっている』　川島誠著　　国土社
表題の『電話がなっている』が収録されている『誰かを好きになった日に読む本』を図書館で手にしたのは、私が小学三年生のころでした。呑気にページを開いて読んでいった私は、最後から二つ目に収録されていたこの作品を読み終わり、そのまま一生消えることのないトラウマと出会ってしまったことに気づきました。
そのトラウマは今の私を見事に形成し、小説を書きたいという衝動に日々突き動かされる人間につくりあげました。
それほどインパクトの強い作品であり、とても大事な物語です。
是非読んでみてください。

●羽海野チカ『ハチミツとクローバー』集英社(2002年8月24日)コミックス
　
　舞台は横浜。ボロアパートで貧乏生活をしながら何気に楽しく生活する美大生、竹本、森田、真山の三人。新入生の花本はぐみと出会い、妙で不器用で純粋な三角関係が始まって…！？常にはぐみの隣で支え続け、自分でもはぐみへの想いに気づかない純朴な青年、竹本。互いの天才的な美術の才能に惹かれ合う森田とはぐみ。ある女性を想い続ける真山を傷つきながらも一途に好きでいる、あゆの一方通行な恋。自分の行きたい道が分からず自分探しをする彼らの、純粋で甘く切ない青春ストーリー。

　漫画ですみません(汗)これはまじでお勧めです！！切なくて泣けます！！
この本との出会いは、友達からの勧め。『麻東加に似てるキャラがいる』と言われ、どれどれ…と読んでみてビックリ。自分がよく言う台詞を片想いするあゆが同じ事を言っていました。例えば…好きな人に限ってどうして振り向いてくれないの、とか、好きな人が目の前にいると顔が赤くなって言いたい事も言えずに泣きたくなったり。あぁ～内容を思い出すだけでも泣きそうですっ。純度１００％です。後悔させません！

●谷川史子『愛はどうだ！』集英社(1997年2月19日)コミックス

　初恋もした事がない中学二年生の元気少女、小町はお姉ちゃんの事が大好き。気になる年上の彼はどうやらお姉ちゃんの事が好きらしい…。揺れつつも、二人が好きだから気になる彼の弟と二人の恋を応援する。「好き」という言葉が一切ない、爽やか初恋ストーリー。

　小さい頃読んだ思い出のある作品。月刊誌「りぼん」を四歳から読んでいたのでやはりお勧めしたいです。主人公が彼の弟と丘を下って街並みを自転車で二人乗りするシーンは一昔前の時代を思わせ、青春って感じです。本当、今だに繰り返し読みますよこの作品はっ。見所は、ミステリアスで表情のない彼の弟が、主人公の素直さや明るさに徐々に影響をされて感情や表情が変わっていく姿がいいです。

●唯川恵・選『こんなにも恋はせつない』光文社(2004年1月20日)文庫

　唯川恵さん含む多数の作家による、十作品を収録した恋愛アンソロジー。

　まだ読み途中なのですが、この間初めて小説を書いて皆さんの批評を頂いた時に、貪欲に本を読むべきとおっしゃってくれたので、その日即行本屋に行って目に止まった本です。好きだとか言わなくても、文字だけでこんなにも切なくじんわりと泣けるし、妙に頭に残る作品ばかりなので、単純に、すげーと思いました。そして純粋！文の作り方とか勉強出来る話ばかりです。